銀色の日記
モクジイク?モドル?ススム?


2007年04月01日(日) 520の夢桜

たまたまテレビのチャンネルを変えたら新しい報道番組をやっていた。
見たい番組も他になかったので何気なく観ていた。

番組の一つのコーナー「運命の舞台裏」
タイトルは『520の夢桜』。

22年前、日航機御巣鷹山墜落事故で次女を亡くされた徳島のある母親の話だった。
徳島県南のお寺の方らしい。

最初は徳島と聞いて興味半分で見ていた。

次女は東京に住んでいたが、お盆の帰省のために母親が飛行機のチケットを送ったらしい。
次女は「13日でいい」と言ったのを、母親が12日に早めて帰省ラッシュでなかなか手に入らないチケットを必死で手に入れ送った。
そこで遭遇した日航機墜落事故。
自分が娘を殺してしまったと深く悲しまれたらしい。
事故の二ヶ月後、長女が滋賀県の石山寺に嫁いだ。
結婚式の写真も放送で映ったが、花嫁の顔は幸せな顔はしていなかった。
事故前から式の日取りは決まっていたとはいえ、妹の無惨な死に方を思うと幸せからはかけ離れていたのだろう。

ある日、母と長女は同じように妹の夢を見た。
それがキッカケで母は石山寺に桜を植える事を決めた。
母の夢に出てきた風景が石山寺によく似ていたそうだ。
長女は桜を枯らさないように大事に育てた。

520本の桜。
次女が亡くなった歳が22歳。
桜を植えて22年目の今年、母は初めて石山寺に桜を見に行った。
満開の桜。

520という数字、これは事故で亡くなった人の数。
520人の人生。
520人の夢、希望、物語。
大きな事故や災害があった時、死者何百人、何千人と数だけが注目されるが、人の数だけの物語が終わったのだ。

人それぞれに見る桜の風景。
こんな桜もあるのだと今日初めて知った。

毎年桜の咲く前の季節は少し気持ちが鬱になる。
三月は、色んな大切なモノを無くしている。
取り戻せないと分かっていても、毎年思う事は同じ。
「明日になれば」という儀式を毎夜繰り返し、桜が咲くのを待ち望む。
やはり春はワタシにとっては式日なのだろう。


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