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2007年03月21日(水) アンパンマンのエキス

三宮献血ルームのメッセージノートに記されていた言葉。
それは、わずか4歳で小児ガンのためにお空に逝ってしまった“りょうすけ君”ことを思って書かれたものでした。

私の4歳の長男は小児ガンです。
10ヶ月の闘病生活の末、亡くなってしまいました。
その間、皆様の献血のおかげで
安心して治療を受ける事ができました。
本当にありがとうございます。
あの子は輸血されると元気になる事を知っていて
『アンパンマンのエキスだ~』と言っていました。

一時は毎日のように輸血させて頂きました。 
輸血が必要な時 『今 足りないので待っていてください』
と言われ 祈るような想いで待っていた事もありました。
届いたときは、本当に嬉しかったです。
献血して頂きました皆様になんてお礼を言ったらいいのか。
ありがとう! ありがとう!
医療スタッフと皆様のおかげで生きながらえる事ができて
どんなに《ありがとう》と言っても足りません。

今でも病院では、多くの子供たちが輸血を待ってます。
これからも献血をお願いします。 もちろん私も来ます。
子供たちの笑顔が消えませんようにと祈ってます。



 このメッセージに広島のテレビ局が興味を持ち、やがてそれは特集として放送されました。
http://www.tss-tv.co.jp/news/anpan/
(ブロードバンドで10分30秒の動画を観る事ができます)

 わたしの母が循環器の病で長期入院している時、周りにはたくさんの血液疾患と闘う患者さんがいました。
 治療は凄惨を極め、歯を食いしばり頑張る姿をみました。
 そして、血小板輸血(黄色い血)の供給が実に不安定で、朝の回診で「今日は輸血やりますねぇ」と言われたのに、昼になり、夕方になり、そして夜になり、就寝時間を迎えようとしている時に「今日は血液が来なかったので、また明日にしますねぇ」と言われてしまう現実もみました。

 地元赤十字血液センターの今年のスローガンは、
「献血は 世代も距離も 越える愛」
 献血協力者がひとりでも増えることを願います。


2007年03月13日(火) 財団地区普及広報委員会議(備忘録)

 平成19年3月11日(日)に宮城県仙台市で行われた、骨髄移植推進財団・平成18年度・地区普及広報委員、説明員合同研修会の備忘録を残しておこうかと。

 研修会のプログラムは以下の通りです。
1、骨髄バンクの概要と現況
2、「将来展望に関する検討会議」進捗状況報告
3、地区普及広報委員・説明員の再委嘱について
4、普及啓発グッズの著作権と財団のコーポレート・アイデンティティ
5、ビデオ「骨髄バンクコーディネーター確認検査」上映
6、ドナーコーディネートについて
7、ビデオ「骨髄採取の実際」上映
8、ドナーフォローアップ
9、質疑応答

 参加前は、ドナー登録30万人達成を目前として、その後の骨髄バンクのあり方をみんなで考え、意見交換をする場だと思っていたけれども、実際は上意下達の一方的な会議であった。
 財団の見解を聞くのはいい。そこから私たちは勉強し、考え、実践し、患者さんの救済やドナーさんの貴重な気持ちの結実に役立てればいいわけだから。
 しかし、では私たちにどのような動きをしてくれと財団はお考えなのですか?と質問しても、ひとことも「こうです」という返事は聞けなかったし、次年度は広報渉外としてどのような普及啓発をお考えなのですか?と質問しても、「それは想定外のご質問でしたので・・・」と下を向いたまま答えに窮していた。
 次年度の計画も教えない(考えていない)、せっかく集まった現場の実働部隊に次年度はこのような動きをお願いしたいとの話もない、ただただドナー登録30万人達成後は、数値目標を設定せずひとりでも多くの方にドナー登録してもらえるように普及啓発を推進する、というアウトラインが「将来展望に関する検討会議」での中間答申として出された、という報告を聞いただけ。
 この会議に先立ち、地区普及広報委員と説明員に出された三択形式のアンケート。
 ①これまでのように具体的なドナー登録者全体の数値目標を設定する。
 ②ドナープール全体の規模を目標とせず、年間の登録者数を目標とする。
 ③数値目標は設定しないが、一人でも多くの方にドナー登録してもらうことを目標としてキャンペーンを展開する。
この結果もこちらから催促して初めて、三択の選択割合を紹介しただけに終わり、この三つの選択肢以外に各々の回答者が財団に寄せたプランの紹介や、それに対する財団としての考えなどは聞くことが出来なかった。
 回答者はそれぞれ忙しい中、そのアンケートを書いてくれたのだろうに。

 午後の「ドナーコーディネートについて」では、実際に現場でコーディネート業務を行っているコーディネーターより、これまでの実例紹介を聞き、その中にあった「自分はぜひとも提供をしたいが、職場が日当性なので出来れば会社に骨髄バンクについて説明しに来てほしい」と依頼されたが、直接コーディネーターが企業に説明に伺うのは【提供の強制】と取られかねないので、ビデオの送付を行った。結果的にその事例はドナーさんの提供辞退を以って終了となった。しかし、今後またその候補者さんが選ばれた場合には、必ずや新たな展開が期待できると考えている。というお話に対して以下のような質問が出た。
 財団が定めるコーディネーター業務の中味を見ると、『ドナーを精神的・社会的な面からもサポートします』とあるが、ドナー候補者が会社に説明に来て欲しいとお願いしているのに、ビデオの送付を行って終わりとは、サポートしていることになるのですか?提供の強制と言うけれど、ドナーさんのお願いを叶え、直接コーディネーターが企業を訪問し説明することこそ、精神的・社会的サポートに当たるのではないですか?ビデオを送って終わるより、企業に与えるイメージは格段良いのではないですか?
 これに対し、財団事務局長の回答は次の通り。
 個別の対応ではなく、社会的にドナー休暇の認知と必要性の周知を財団は考えていて、それは【草の根運動で広めていくことが望ましい 云々】
 ・・・・・・・・・・?
 今回の会議で、ここが、この発言が一番盛り上り、失笑を買った。会場からは即座にブーイング。
どうしてこんな本質を全く理解していない天下りの人が事務局長になるのだろうか?厚労省は何をさせたいの、財団に?
能力のない人に高額な給料を出すムダが許されるなら、もっと現場で働く説明員に手厚い手当てをしてほしい。日当1,000円で説明業務をさせている現実をしっかり見直そうよ。

 で、広報渉外部長の言によれば、ボランティアの皆様に個人情報を扱う業務を行わせる現状は甚だ疑問で、今年の7月くらいをスタートに、財団の普及啓発と広報のあり方を抜本的に見直したいとのことでした。
 早い話、日赤さんにその部分をお願いすることを意味する発言なのだろうと俺は思いましたが、もしその考えが本気で、どんな圧力にあっても実現させる勢いがあるなら俺は全面的に応援するけれど、どうもその場しのぎの時間稼ぎに思えてならない。

上記の中で事務局長が発した「草の根運動で広めていくことが望ましい」という失言を考えると、結局財団はボランティア頼みの組織で、今すぐにボランティアが実務を放棄したら骨髄バンクは立ち行かなくなるわけで、まったく困ったちゃんだねぇ財団は、ということになる。これを是正するには、日本骨髄バンク(厚労省、財団、日赤)の仕組みを抜本的に見直して、新生骨髄バンクを生み出すしかないのだと思う。

 ところで財団は、30万人達成後は、数値目標を設定することなく、多くの人に骨髄バンクを知ってもらい登録して頂こうという方向性を示した。
 ではそれは、30万人のドナー登録者数をキープするのか、それともますますその数を増やすのかまでは示されていない。まさか30万人を切ってもいいとは考えていないだろうけれども、本音は成り行きに任せて・・・という漠然とした考えなのだと思う。つまり、草の根で・・・行くところまで・・・ボランティア頼みで・・・。
 ま、それならそれでもいい。ただ、30万人のドナー登録者に対して『ひとり以上のHLA適合ドナーが見つかる率』を見ると、93%の患者さんに誰かしらとの一致をみる環境が整備されたことになる。これはかなり高い数字だけれど、あと7%の患者さんにはドナー候補が誰も見つからない現実を残している。これをどうするのか。
 これに対して財団はなんの見解も出していないけれども、おそらくこの7%をカバーするには30万人より一桁もしくは二桁多いドナー登録者を確保する必要があると思う。この現実を考えれば、費用的にも時間的にも国が本気で骨髄バンク事業に取り組まない限り7%の救済は見えてこない。これは30万人の達成が目前となった今だから分かることなのに、財団はまるでここに目を向けてはいないようだ。

 30万人の達成。93%の患者さんにHLAの適合するドナー候補者が見つかる数字。
 しかし、実際に移植をすることが出来た患者さんは15年で8,000人しかいない。(のべ数だから8,000人に移植出来たわけではない)
 目標としていた30万人の達成を目前としたから次を考える、というのはとても大事だけれど、今現在登録してくれているドナー登録者の質の向上もまた重要な要素。共に同時進行で考えなければならない。
 質の向上などと表現すると誤解されるけれども、引越しをしたら忘れずに住所変更の手続きを行って頂けるあの手この手を考案したり、日本の大多数を占める中小企業に対しドナー休暇の導入を推進したり、煩雑な提供前健康診断や自己血採血をできる医療施設の拡大や遠方までご足労願わなくても実施できるシステム作りといった、ドナー候補者の利便性をとことん追及する姿勢を財団が持ち、「仕事を休めず都合がつかない」とか「連絡が取れない(住所変更がされていないため)」などの、提供に結びつかない要素を潰していくことを必死に考えていかなければならないのは誰もが知っていることだろう。
 30万人という数字にとらわれることなく、気持ちはあっても提供するには現実は厳しいという現状を変える努力が必要なのは言うまでもない。

 現在財団には、109名の一般コーディネーターと18名の選任コーディネーターがいるけれども、なぜ骨髄移植のコーディネーターはボランティアなのか。臓器移植のコーディネーターは身分保障がされ、きちんとしたフィーを頂いて活動しているのに。
 財団ではたったの18名しか安定した環境になく、他のコーディネーターは出動した時だけの実費精算。ほとんどボランティア。これで満足いくコーディネート業務など出来ないと思うのだが。
 財団は、それは国庫補助金が20名のコーディネーターを雇用する分しか頂けないので仕方がない、などと暢気なことを言っているが、これからますます増加する(するはず)コーディネート業務を見据えたら、早急に改善しなければ患者さんの救済に結びつかない。
 そして財団は個々のコーディネーターに「自分がコーディネーターであることを公言しないこと」などという圧力をかけるんじゃありません。バンバン公言して、行政機関と交渉したり、ドナー登録会で説明をしたり、財団所属のマンパワーとしてコーディネーターを有効活用しなさい。それでなければもったいない。

 それにしても、30万人の達成は喜ばしい。
30万人という根拠の定かではない予測の数字を掲げたのは全国協議会(ボランティア)だけれども、財団はその設定に乗って事業を展開した。そして、間もなくその数字は達成される。
しかし、この30万人というドナープールは新たな問題を生んでいる。
ドナー登録説明時にも、コーディネート時にも、骨髄バンクはドナー候補者にこう説明する。
 「ドナーさんの希望を優先しスケジュールを決めますから」
 でも、ドナー登録者が増え、移植件数も年間1000例に迫る現在、この説明が嘘になってきた。
 調整医師のスケジュール調整が厳しくなり、ドナーの希望ではなく、調整医師の空き時間優先となってきたのだ。
 調整医師もまたボランティアなのだ。勤務医などは、ルーチンワークを優先し、骨髄バンクの作業は自分の(病院の)空き時間に行わなければならない。ボランティア頼みで運営されている骨髄バンクという仕組みの弊害である。

 本当に問題は山積している。
 国の補助事業である以上、国が動いてくれなければ始まらないなどど他力なことをいつまでも言うのではなく、それでも自力で改革できることはまだまだあるのだと意識改革してほしい。
 ボランティアは納得すれば本気で動くのだから。


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