2001年03月21日(水) |
書評:笠井潔「バイバイ・エンジェル」 |
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いまさらながら、笠井潔である。
余りにも70年代風なそのタイトルに、何度か手に取るのを躊躇した挙句、とあるところで薦められた笠井潔の処女作を購入。
休日を利用して正味1日で読破。至るところで、独自の味付けをしているが、やはり70年代の産物という印象をぬぐえないのはなぜだろうか。
筋立てと、凝った意匠はそれなりに興味を引き、面白いと思う。 「テロルの現象学」でその名を知られる笠井潔が本格ミステリを書くというその才能には感服する。
現在流行しているいくつかの小説の流儀(特に藤本ひとみのシャルル・シリーズとか)に共通する要素が多く、もしかしてこれが源流なのかもしれないと思わせる。 無論、それらよりも遥かに読み応えがあるが。
しかし、なぜこれがミステリという衣装を纏わなければならないのか、その必然性は残念ながら感じられない。 この問いに対する明快な回答を、現実的な必要に迫られて感じている私としては、やや残念ではあった。
でも、ちゃっかり矢吹駆シリーズ第二作「サマー・アポカリプス」を買ってしまったのであった。
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