遂にマイナス１０度を突破してしまった。

夕刻。近くのスーパーにて、食料品買い込む。豆腐を手にとってしばし躊躇する。

「豆腐の角に頭をぶつけて殺す」という状況が、ここ盛岡ならば、不能犯ではない（という噂がまことしやかにささやかれている）。
アパートの隣の部屋の家族が引っ越していった。雪降る夕闇の中を、家財道具を積んだワゴンが走り去った。どこからか、ピアノの練習曲が聞こえてきた。

凍える体を暖めるように、北の国の音楽家であるグールドの小フーガとプレリュード曲集を流す。単調で、あくまで平均的な音階が沁みる。

BGM:GLENN GOULD/JOHANN SEBASTIAN BACH/SIX LITTLE PRELUDES,and so on.

たとえば、気が付いてみればいつもそこにあるような何気ない飾りのごときもの。

その何気なさが、「日常」というつかみ所のないシームレス（継ぎ目のない）な物体を構成しているという確かな手触り。

いまや交通事故で再起不能との情報もある岡崎京子の「リバーズ・エッジ」は、６０年代７０年代の価値観がすでに終わりを告げたところから出発し、「何気なさ」が変貌を遂げた８０年代を通過して、 ９０年代の「日常」を、（従来なら日常の突破口となったはずの非日常の典型である）ショッキングな事件に対する無感動というデヴァイスで裏側からあぶり出している。

ちょうど、戦後のフランスの若者にとって、アルベール・カミュの「異邦人」がそうであったように。

「絶対に「現代人」でなければならない」（アルチュール・ランボー）のだ。

すでに非日常が日常化している現代にあって（現実は文学を後追いしている）、批評という方法論の向こうから、もはや新しい音楽は聞こえてこない。

そして、今日も日が暮れる。

BGM:SONNY STITT,BUD POWELL,J.JJOHNSON/ALL GOD'S CHILLUN RHYTHM

就職活動をすべきかどうか、真剣に思案中。いくつかの渉外事務所にアプローチを考えているのだが、まだ、本格的に渉外弁護士になろうと決めたわけではないし、逡巡している。 だが、裁判官になるにしても、そろそろ本格的に意志表示をしなければならないが、それも迷っている。ああ、時間がほしい。

窓の外に降り続ける雨。一月の盛岡に降る奇妙に暖かい雨。
まだ、止まない。

ＢＧＭ：BUD POWELL"UN POCO LOCO(1st take&2nd take)"/BLUE NOTE VERSION/THE AMAZING BUD POWELL

英語の勉強を本格化しようと決心。基本的な単語や熟語のレベルはそれほど問題がないが、会話となるととっさに口から出るか否かいまいち自信がない。

"Aren't you worried about what they are saying about you?---I could care less what they are saying about me!"

「あの人たちがあなたのことを何と言ってるか気にならないの？」「奴らが何と言おうとへのカッパさ」
どうして英語の教材ってこうもおもしろいのだろう。そして残る謎。

ＢＧＭ：CHARRIE PARKER"COSMIC RAYS"/VERVE RECORDS/NOW'S

同期の友人から来た年賀状。「あなたにとって小説を書くという行為はどのような意味を持っているのか？」

新年早々投げかけられた、単純な問い。すでに何度も反復されたが故に、フォーカス・アウトしてしまっていた問い。

法律の世界にシフトしてしまった僕が、未だに書き続けたいという欲望を持っていること。このことが僕の胸を刺す。

痛みはやがて、狂気への道を辿る。

ＢＧＭ：GLENN GOULD/J・S・BACH/GOLDBERG VARIATIONS

今年もよろしく。

さて、今年の目標をいくつか挙げておきます。というのも、ここで宣言しておけば、追い込まれて実現させるだろうという安易な考えに基づくものです。

１．自分の納得できる進路を一月末までに決定する。
２．英語と仏語をブラッシュアップする。
３．一月末までに文学系のホームページ（オンライン文芸誌）を立ち上げる。（サンプルはすでに置いてあります）
４．ピアノのレパートリーを増やす。
５．小説を書く。（二本ほど新作を書く。）
６．新民事訴訟法、民事執行法などをものにする。
さて、一年後にこのうちいくつが実現できているか、今から楽しみだ。

BGM:SONNY ROLLINS/SAXOPHONE COLOSSUS