昨日・今日・明日
壱カ月|昨日|明日
2005年04月30日(土) |
コーヒーのおかわりはいかがですか? |
4月最後の土曜日。午前中は家事仕事に励む。明日は雨らしいので太陽の出ている時に出来ることを中心にやる。シーツの洗濯をし、布団を干し、スニーカーを洗い、台所の掃除。家事の合間に日記書きと本とCDの整理も行い、大家さんに家賃を持っていき、回覧板もまわし、ラジオで「米朝のよもやま噺」を聞いてから、外出する。 今日の「米朝のよもやま噺」は、日露戦争の話題から入って、当時は脚気が流行ったそうやなあ、というような相も変わらず古い話なのであるがそれに続けて、そういえば徳川家康も脚気やったそうやなあ、とか言い出して、話はどこまでも古くなっていき、この先一体どうなるのだろう。
自転車で梅田へ。旭屋で「図書」と「月刊百科」の5月号をもらい、家族亭で蕎麦をすすって、ブックファーストでモランディの絵と中条省平の「エレニの旅」評にひかれて(1ページだけだけど)、久々に「芸術新潮」を買って、3階のカフェに2時間ほど居座って、時折うとうと居眠りしつつ珈琲を飲んで、買ったりもらってきたり家から持ってきたりした本を読んだ。禁煙であることさえ我慢すれば、ブックファーストのカフェは落ち着いて本が読める居心地のいい場所で、最近のお気に入りのひとつだ。
夜は、テアトルで「コーヒー&シガレッツ」を観た。 何ヶ月も前に前売り券を買って、サントラも幾度も聞いて、観るのを心待ちにしていたくせに、どういうわけかわからぬが、11話の短篇中、ケイト・ブランシェットが出ていた話の間だけ、最初から最後まですっぽり寝てしまった。なんちゅうこっちゃ、信じられん。後日(って、これを書いてる5月2日のこと)、Iちゃんに聞いたところによると、ケイト・ブランシェットが出てる話が一番良くできてるらしいですねー、とのこと、へえっホンマかいな、と我がまぬけぶりを呪うばかり。 というわけで未見の話もあるのだが、しみじみと可笑しい楽しい映画であった。私の好きな「愛すべきアホな人」が次から次へとでてきて、飽きない(だからなんで途中で寝たのかわからん。リラックスしすぎたのかも)。私としては後半の、オチもしっかりあって風刺もきいたいわゆる「よくできた」会話よりも、前半の、全然かみあってなくて中身がなく、話題も流れも内容もバラバラなのにすごく親密な会話のほうが好き。コーヒーと煙草はもちろん美味しそうだし、それらがのってるテーブルの乱雑で雑多な感じもいい。まあジャームッシュ好きならハズすことはない映画だとは思うけど。
帰り、タワーで「ライフ・アクアティック」のサントラを買って帰った。予告編でチラッと映ったセウ・ジョルジの姿を見て、歌声を聞いて、キャーッステキ!と思い、もういてもたってもいられなかったため。セウ・ジョルジがカバーしたデビット・ボウイの曲が5曲収録されている。早いとこ観たいものだ。
よろよろ帰宅。あっさりめのラーメンを作って食べ、パンフレットで映画の復習をして、寝る。
・購入物:「芸術新潮」5月号 特集/モランディのまなざし サントラ「the life aquatic with steve zissou」(hollywood records) 「コーヒー&シガレッツ」パンフレット
・朝食:トースト、トマトとレタス、ヨーグルト、珈琲 昼食:家族亭にて。特盛天ざるそば 夕食:もやしとニラのラーメン、冷奴、ピーナツ、麦酒
2005年04月29日(金) |
あなたの声が聞こえてた |
午前中のみ、出勤。えらい暑い。もう夏か?復活した自転車で出勤するも、日傘を忘れるなど紫外線対策を怠り、強い日差しが肌に痛い。 12時頃までには仕事を片づけ、ふたたび自転車にまたがって谷町筋の坂をえっちらおっちら越えて南へ。四天王寺の古本市行く。本の背表紙が焼けつくほどの良い天気、連休初日とあって多くの人で賑わっていた。売れているのかどうかはわからんけど。
本日買った本のこと。 福武文庫を2冊。水上勉の「私版 京都図絵」は200円で、山田稔の解説にひかれて購入、「評伝国吉康雄」はカラーで4枚、中にもモノクロながら図版が多く掲載されているのが嬉しい。解説は川本三郎。 「モーテル・クロニクルズ」は、好きな映画「パリ、テキサス」の原案となったサム・シェパードの自伝的エッセイ集。土埃にまみれる100円均一台から発見した。この解説も川本三郎。サム・シェパードは好きな役者のひとりで、「ボイジャー」での演技が渋くてすこぶる格好良かったが、最近はすっかりおじいちゃんになってしまったなあ。 小川国夫の短編集は、司修のカラー挿画8枚つき。カバーも司修。描いてあるのは全て女性で、最後に「装画ノート」として文章も寄せている。どの女の人にも、どことなく影があり、もちろん色気もありそれでいて清潔感もある。 350円で買った絵本はブラジル民話。トウモロコシでつくったおにんぎょうの話で、ぽってりした温かみのある絵と、訳者が長谷川四郎なのにひかれて買った。長谷川四郎の本は他にも欲しい物がたくさん出ていたが、どれも非常に高くて、今日の私の予算では手がでなかった。残念。 最後に近藤富枝さんによる矢田津世子の評伝を買って、収穫披露終わり。しめて1000円ちょうどの買い物でした。地味ながらも、昼からの参加にしてはまずまず満足。池の亀を見ながらパンも食べられたしね。
難波まで自転車をころがして、タワーでバウンスとイントキシケイトをもらって、早めに家に帰る。晩ご飯の支度をしつつ、声優がかわった「ドラえもん」を見る。声優がどうのこうのという以前に、話が説教くさくて全然ダメ。つまらんかった。 7時半より、公民館で町内会の班長会議に行く。赤十字社資の集金の説明や秋の運動会についての話を聞く。おそらく、国内でも一、二を争うんじゃないかと思われるほど、段取りの悪い会議。議題がほとんどないにもかかわらず2時間近くかかる。おばちゃんの私語が多いことにも辟易とする。終了後、缶コーヒーをもらう。 帰ってから晩ごはん。食後にはレーザーディスクで「パリ、テキサス」を見直す。家族をやる、って難しい、すんごく好きな人と共に生きるっていうのも、やっぱり難しい。映画のあと、お風呂。ライ・クーダーのギターが頭をめぐる。お風呂あがりに顔のマッサージ。ちょっと日焼けしたかも。古本焼け。午前1時ころ、就寝。 ・購入物:小沢善雄「評伝国吉康雄・幻夢と彩感」(福武文庫) サム・シェパード「モーテル・クロニクルズ」(ちくま文庫) 水上勉「私版 京都図絵」(福武文庫) 小川国夫「女性小説集・温かな髪」(河出文庫) 近藤富枝「花陰の人・矢田津世子の生涯」(講談社文庫) C・センドレラ 文、グロリア・C・バイベ 絵「ヤチのおにんぎょう」(ほるぷ出版) 全て古書
・朝食:ごはん、焼き鮭、梅干し、卵焼き、たんざく山芋、昨夜の残りの白和え、ほうじ茶 昼食:鳴門屋で買ったパン(クリームチーズのパン、ミルクボール、ミニクロワッサン、珈琲) 夕食:鶏ささみとキュウリの辛子和え、冷奴、ひじきの煮物、イカフライ(総菜売場で買った)、麦酒
カラリと晴れ。空に雲なし、風もそよそよ、絶好の自転車日和であるが、昨日パンクしたまま放ったらかしにしてあるので、今日は地下鉄で出勤。帰ってから近所の自転車屋まで修理にもっていった。とりあえず応急処置をしてもらうが、タイヤがすり減って破れかけているので今度パンクしたら丸ごと交換したほうがいいと言われる。はあ…。思い返せば、パンクしたり、ハンドルがぐちゃぐちゃになったり、ブレーキがきかなくなったりと、この自転車にまつわる哀しい話があまりに多い。大切にしているつもりなんだけれど、愛車は日ごとに傷だらけになっていく。
昼休み、旭屋で本を買った。「古本道場」。この連休にはいくつか古本市に行く予定なので、巻頭の古本心得を熟読して、よい収穫が得られるように備えたい。それから「一冊の本」の5月号をもらう。 もらったもの、もう一冊。Iちゃんに「Arne」の10号をもらう。村上春樹のお宅拝見ページが載っている号。妹とダブって買ってしまったそうで、家に2冊あったからと言って、よかったらどうぞ、と持ってきてくれた。美味しそうだったので、レシピページに載っていた「人参とこんにゃくの白和え」を早速作ってみた。豆腐の扱いにちと手間がかかったが、あっさりしてて旨かったー。極楽。
夜はずっとカエターノを流す。途中、ラジオでニュウスを聞く。脱線事故の続報など。落ち込む。その瞬間の、運転士さんの気持ちを想像してみると、胸がふさいでどうしようもない。スポーツニュウス。阪神が8点差を逆転されて負けたとか。なんと情けない。顔を洗って出直せ。
寝る前に「容疑者の夜行列車」を読む。
・購入物:角田光代・岡崎武志「古本道場」(ポプラ社)
・朝食:トースト、ハムエッグ、ヨーグルト、ブルーベリージャム、珈琲 昼食:お弁当(塩鮭、蒸しジャガイモ、ピーマンとジャコの炒め物、ごはん、梅干し) 夕食:帆立のバター焼き、きぬさやの卵とじ、人参とこんにゃくの白和え、ほうれん草の辛子和え、麦酒、ごはん
2005年04月27日(水) |
それぞれの軌跡をえがけ |
晴れ。昼間の外出時に、今年はじめて日傘をさした。うすい黒の日傘をクルクルまわす。どうか日焼けしませんように。
仕事が終わってから、テアトルに「バッド・エデュケーション」を観に行った。ご苦労さまなことに、お昼休みにわざわざ映画館まで行って整理券を取りに行ったから私は席を確保することができたけれど、立ち見まででる盛況ぶり。観客は見事に女の人ばかり。レディースデイだから当たり前か。
映画はというと、まあな…。まあ…、ふつう、かな。今回アルモドバルは、完全に趣味に走った。趣味でもなんでも心に刻めるものがあれば全然かまわないのだが、観る前に漠然と頭に描いていた印象をただなぞったというだけで、そこを越えてくるものがなかった。サスペンス風に仕立ててあるけれど、仕掛は標準的なものだし、愛のかたちは相変わらずイビツで、純粋と狂気の間を行ったり来たりしたのち破綻して終わるのも、想像の範囲内であり、少しがっかりした。 でもゴルチェが担当したという衣装や、原色を多用したデロリとしたインテリアや美術品、音楽のみずみずしさなど、細部に見るべきところがあり、映画を観る歓びは充分満たされる。 良かったわ!また何回も観たいワ!、と話していた人たちもいたので、まあよかったんじゃないでしょうか。 それから、館内に、各雑誌に掲載された映画評をまとめて掲示してあるコーナーがあり、「ウオモ」とかいう得体のしれない気色の悪い雑誌に、作家の石田衣良という人が書いた、この映画はおしゃれでちょっとスノッブな彼女と一緒に観に行って、映画の後はバーでカクテルをかたむけながら男の身体のどこに魅力を感じるか話し合ってみるといいだろう、きっと映画と同じような濃密な時間がすごせるよ、というようなアホ極まる文章が載っていて、開いた口がふさがらなかったりもした。
帰り道、扇町公園を走っている時、自転車の前輪がパンクした。この自転車がパンクするのは一体何度目だ?立腹することしばし、引きずるようにして無理矢理運転して帰る。疲れた。
・購入物:なし
・朝食:トースト、ヨーグルト(ブルーベリージャム入り。最近これに凝っている。但し、ジャムは手作りか、オーガニックのものでなければおいしくありません。)、珈琲、バナナ 昼食:お弁当(ごはん、ミニトマト、野菜天、筍の土佐煮、卵焼き) 夕食:映画の前に、くるみパンとミルクティ。帰ってから、ネギ入りかきたまうどん
朝まで雨がのこる。だんだん晴れてくるが、昼過ぎになって一転にわかにかき曇り、しばしの間ザアッと雨が降った。洗濯しなくてよかったとホッと胸をなでおろし。夕方になって再び晴れる。夜は少し冷える。ホットカーペットのスイッチを入れる。
昼休み、銀行へでかけたついでに旭屋に寄って、文庫を2冊買う。庄野潤三と村松友視を。幻冬舎文庫を買うのはとても久しぶり、という気がする。財布からお金を出すのに手間取っている間に、ブックカバーをかけられてしまう。旭屋のカバーは見慣れぬブルーのものになっていて、表紙の左隅にボーッとしたウサギみたいなのが描いてあった。
午後7時半頃帰宅。今日も寄り道せずまっすぐ帰ってきた。昨夜ゆがいておいた筍を使って、筍ごはんを炊いて、土佐煮を作る。 ごはんの後、ビデオで「宵闇せまれば」という実相寺昭雄監督の日本映画を観る。1969年の制作でモノクロ、45分の短編。以前、深夜放送で流れたものを録画しておいた。 実相寺昭雄といえば「ウルトラマン」や「帝都物語」で、あんまり期待していなかったのだが、夢中になって食い入るようにみてしまった。 アパートの一室に大学生がたむろしている。男3人女1人。何にもすることがないから煙草をくゆらせて賭け事をして遊んでいる。楽しいわけでもない、悲しいわけでもない、幸せでもない不幸でもない、がらんどうで無為な日々。女がお茶を入れようとして(ここのシーンはちと唐突)、あやまってガスホースに足をひっかけてしまう。このことがきっかけで仲間内のひとりの男が「ガス」を使ったゲームを思いつく。「ガスを充満させた部屋に一番長くいられるのは誰か、我慢比べしようぜ」。単調な毎日に退屈していた他の3人はこの突飛な思いつきを歓迎し、ガスの元栓を開け、4人はガスが満ちる小さな部屋にこもり続ける。 室内での会話劇だけれど、ただの遊びが次第に命をかけた真剣勝負になっていく過程と、ガスが漏れるシューシューという音がスリリングで、手に汗にぎる展開。ごくごくシンプルながら、低い位置からのカメラワークも新鮮だったし、いやあ面白かったなあ。 Tに聞くところによると、この「宵闇せまれば」は大島渚の脚本だとか。なるほど、そう言われればいかにも大島渚っぽい。
映画を観たあと、甘夏みかんを食べる。みかんの皮は捨てずにまとめて置いといて、湯船にいれて「みかん湯」につかるつもり。 洗濯機をまわして、弁当を下ごしらえをすませ、午前1時ころ就寝。
・購入物:庄野潤三「うさぎのミミリー」(新潮文庫) 村松友視「ヤスケンの海」(幻冬舎文庫)
・朝食:トースト、冷やしトマト、ヨーグルト(ブルーベリージャムを混ぜて)、珈琲 昼食:お弁当(卵焼き、キンピラゴボウ、千切り大根の煮物、ミニトマト、ごはん) 夕食:筍ごはん、筍の土佐煮、鯖の煮つけ、冷奴、小松菜とえのきだけのおひたし、水菜の漬物、麦酒
月曜日。午前7時起床。カーテンを開けて青空を見る。洗濯、弁当つくり、朝ごはん、あとかたづけ、いつもとおんなじ、穏やかな朝。
会社。午前中の打ち合わせに使用する資料を整理する。10時に打ち合わせにくるはずのMさんより、少し遅れるかもしれないとの電話あり。事故があってJRが使えないから、とのこと。携帯電話は雑音がひどくてよく聞こえなかったが、ああ事故か、とその時は思った。事故ならしょっちゅう起こってる、毎日のようにどこかで。Mさんが会社に来て号外を見せてもらって話を聞き、テレビをつけてみて愕然とした。事故ってこのことか…。
残業して、帰り道。薄くて黒い雲がはり出してきて、今にも雨が降りそうだ。昼間はきれいに晴れていたのに。スーパーで買物。豆腐と抹茶わらび餅を買う。雨が落ちてきたこともあるけど、今日はどこにも寄り道する気持ちになれない。
テレビ。テレビで脱線事故のニュースを見る。知人や友人が乗っていたかもしれないこと(結果的には乗っていなかったけれど)、自分もよく利用する路線であること、沿線の風景が見慣れたものであること、などを差し引いても、この事故にはとても衝撃を受けていて、この暗くやるせない気持ちを今はなんとも言葉にできない。もしかしたら、今朝電話でMさんに、事故があって、と言われた時に、ああ事故か、と軽く受け流した自分に、苛立っているというか、失望しているのかもしれない。
筍。宅配野菜の中に入っていた筍を茹でる。ここんとこ毎日、筍を茹でているようだが。沸騰して糠があふれ、レンジがずいぶん汚れた。でも今日は掃除をする気にならず。茹ったことを確認して火を止め、そのまま寝る。
・購入物:なし
・朝食:ダッチブール、ドーナツ、ヨーグルト、珈琲 昼食:お弁当(ゆで卵、塩鮭、キンピラゴボウ、千切り大根の煮物、ごはん) 夕食:ニラと豚肉の炒め物、春キャベツのおひたし(柚子こしょうマヨネーズ添え)、トマトサラダ、冷奴、水菜の漬物、麦酒、ごはん
2005年04月24日(日) |
ラジオとドーナツ、鳩と山芋 |
午前8時起床。よく寝ました、約10時間睡眠。メザシを焼いて、朝ごはん。食べながら、昨日録音しておいた「米朝よもやま噺」を聞く。エアチェック、怠ることなくやっている。桂米左さんを交えて、怪談話。とあるホテルで米左さんが怖い目にあって(壁から手がいっぱい出てきたらしい)、その話を志ん朝さんにしたら、「アッそのホテル、あすこだろッ!」と言われて、志ん朝さんもおんなじホテルでおんなじような出来事に遭遇していたことがわかった、というような話。あとは、主に昔話に終始する。 ごはんの後、洗濯と布団干し。今日も晴れ晴れといい天気。ベランダにいると、風がそよそよと顔にあたって気持ちいい。部屋と、お風呂、トイレの掃除をおこなう。それから、持ち帰ってきた仕事を広げてやり始める。この晴天の日曜日に家にこもって仕事とは、にわかには信じられない事態だが、夜まで置いておくとさらに嫌になる可能性が限りなく大きいので、日のあるうちにやってしまうことにする。 お昼に、Tが「ホットケーキの素」を使って、ドーナツを揚げてくれた。アツアツを食べると美味しい。2袋ぶんも揚げたらしく、大きいお皿2枚にいっぱいできたので、家の前の道でサッカーをして遊んでいたコウちゃん(近所のこども)とその友達にあげた。子どもたち、イッヤッター!、と言って喜んで食べてくれる。でも、美味しいか?、と聞いても、ウンウン頷くだけで感想はなかった。 4時頃までになんとか片付け、洗濯物を取り入れてから、お茶とドーナツを携えて買物がてら散歩に出かけた。自転車を天満橋駅において、新緑の川沿いを歩いてベンチで持ってきたドーナツを食べる。鳩にも少しやる。鳩はホントに何でも食べる。帰りにジュンク堂で、宮本常一のムックと、海野弘の文庫本を買う。海野弘はこのほかに、「ホモ・セクシュアルの世界史」という分厚い本もでていた。たたみかけるような刊行ペースだ、とてもついていけない。 デリスタの「青い麦」で、ダッチブールを2個買う。
日がとっぷり暮れてから帰宅。今日の朝日新聞朝刊に載っていたレシピを参考に、山芋をつかったパンケーキのようなものを作ってみる。山芋をすりおろして、卵と片栗粉と細かく切ったキャベツを加えフライパンで焼き、塩とレモンか、または、鰹をふりかけて醤油をつけて食べる。キャベツを入れたからお好み焼きみたいになったが、レシピどおりシシトウやキクラゲか、またはニラやオクラを混ぜたらまた違う食感になったかもしれない。
夜。連休の予定をたてる。予定通りにことが運んだためしがないが、まあ一応。写真集「赤いゴーヤー」を眺めたり、買ってきた本をパラパラ読んだり、「忘れられた日本人」を本棚から出してきてめくってみたりなどする。今月は「存命中の作家強化月間」をやってきたけれど、とうとう月末になって禁を破ってしまった。まあ、どうでもいい禁だけど。 昨夜、よく寝たためかなかなか寝つけず、日記を書いて、午前3時半ころ枕に沈む。
・購入物:「佐野眞一責任編集 宮本常一・旅する民俗学者」(河出書房新社) 海野弘「アール・デコの時代」(中公文庫)
・朝食:メザシ、筍と人参と鶏肉の煮物、ひじきの煮物、ジャコごはん 昼食:ドーナツ、珈琲、ヨーグルト 夕食:山芋とキャベツのパンケーキ風(いや、お好み焼き風、かな)、キンピラゴボウ、千切り大根の煮物、麦酒、ちょっとだけごはん
2005年04月23日(土) |
夜明けの色はブルーだ |
午前3時に目覚める。生活リズムがバラバラだ。歯を磨いてシャワーを浴びる。金曜日の日記を書く。書き終えてボーッとネット散策。てっきり今日から公開されると思ってた、ジャームッシュの珈琲と煙草の映画が来週からだと知ってがっくり。がっくりしてたら、新聞配達のバイクが前の道を通る。窓を開けて外を見る。夜明けの色はブルーだ。バイクが走りすぎた後、すぐさま向かいの家の戸がガラガラッと開き、ピンクの花柄のパジャマ姿のおばちゃんが出てきて新聞をポストから引き抜いた。私の朝も早いが、おばちゃんの朝も早い。どこかで目覚まし時計のアラームの音がする。時刻を見ると5時だ。雀がチュンチュンと鳴きはじめ、私も動き出すことにする。
米を研いで、筍を茹でる。昨日Nさんにもらった筍。昨夜のうちに茹でておかねばならなかったのだが、遅くなってしまった。エグミが出ているかもしれない。キンピラゴボウとひじきの煮物、卵焼きを作り、鮭を焼いて、Tの弁当にいれる。ラジオで「ウィークエンドサンシャイン」がはじまる。今日はカエターノ特集なので一応MDにおとしておく。Tを起こして朝ごはん。昨夜、私が言ったという寝言の話などする。なあなあフランスパンにキムチはさむ?、と言ったらしい。寝ている間も食べ物のことを考えているようだ。平和なひとだな。
洗濯と台所の掃除と本の整理をして、昼すぎに自転車で出かける。久々の「絵本の会」。『しずくのぼうけん』を読む。Iさんが買ってきてくれたたこ焼きをいただく。食べながら今年度の予定を聞き、メモ。今年もいろいろ助けてね!、とIさんに握手を求められる。さあ、助けられるかな。 帰り、梅田のタワーレコードに寄って、フイッシュマンズのベスト、『空中』と『宇宙』を買うかどうするか迷って、今日のところはやめにする。それぞれ3300円するから、2枚とも買うと6600円にもなる。お金ない。2枚買ったら5000円にしてくれるとか、そういうのがあればいいのに、と思う。せこい。旭屋で『本』の5月号をもらう。珈琲館でカフェオレ。『本』からは町田康と森達也の連載分だけを読み、多和田葉子の『エクソフォニー』を読む。眠くなってきたので帰る。
夜。麻婆豆腐と筍を使って一品作る。サラダも。筍は案じていたほどのこともなく、美味しかった。 10時から「美の巨人たち」を見る。谷中安規について。365日風呂に入らず、貧乏を極め、最後は餓死した。その死をみとったという、友達のような恋人のような女性が出ていた。谷中安規の版画を見ていると、すいこまれそうで怖い。 番組終了と同時に電池切れ。ズルズルと這うようにして寝床へ。朝までぐっすり寝る。
・購入物:なし
・朝食:トースト、トマト、レタスとツナのサラダ、珈琲、ヨーグルト 昼食:たこ焼き8つ、ほうじ茶 夕食:麻婆豆腐、筍と人参と鶏肉の煮物、ひじきの煮物、水菜とスプラウトのサラダ、麦酒、ごはん
2005年04月22日(金) |
きょうとあしたの境界線 |
午前7時前に起床。寝不足に加えて、ちと二日酔い気味。あたたかいコンソメスープを飲む。二日酔いの朝は、あたたかいものを食べると回復が早い、ような気がする。まあ、体調にもよりますが。
打ち合わせのため会社にきたWさんからポール牧が亡くなったことを聞く。Wさんは、ポール牧は日本のビル・マーレイのような存在だと思ってたのに、と言って、とても残念がっていた。私も残念だ。それから、花粉症がなかなかよくならない、という話をする。もうすぐブタクサの花粉の季節になり、これがまたしんどいのだとか。打ち合わせの後、顔面下半分を覆い隠すマスクを装着して、Wさんは帰って行った。 少し残業して退社。外に出ると、風が冷たくてけっこう寒い。阪神百貨店で、冷凍して保存しておくための鮭と豚肉を、それから阪神前の古本屋さんで野坂昭如を2冊、それぞれ100円で買う。地上にでて帰ろうとしたその時、会社にいるIちゃんから、Kさんから電話があってなんかエライ怒ったはります〜、という連絡が入り、何事かわからんけれどどうも逃げられそうにないので、とにかく会社に戻ることにする、手に鮭と豚肉と古本をぶら下げたまま。トホホ。
なんとか片づけて自転車で帰宅。すっかり遅くなってしまった。今日はロールキャベツを作るもつもりだったが、こうお腹が空いてはやる気もおこらない。手抜き晩ごはんを作って食べ、Tが買ってきてくれた古本(多和田葉子とカメラ毎日の別冊)にお金を払い、テレビを見ながら話をしていたら、急激な眠気に襲われて目を開けていることも困難になり次第に意識不明、そのままテーブルに突っ伏して寝てしまう。こんなところで寝るな、と蹴られて起こされ布団に入ったことと、食べてすぐ寝るのはよくないなあ、と思ったことは何となく覚えているが、その前後のことはよくわからない。ジーンズをはいたまま寝たせいか、夜中に足がつって痛さのあまり一度起きたが、なんとか治ったためまた寝る。下のリビングでTがビデオで見ているらしい映画から、誰かが話している低い声が耳に入りそれが心地よく、ああこのセリフのテンポと音楽の感じは一昔前の映画っぽいな、たぶんモノクロだな、ヒッチコックとかかな、と思い、起きていって私も観たいなと思うそばからまた意識が遠のいていく。 次に起きたのは午前3時頃だったのだけれど、そこからはもう土曜日の出来事なので続きはまた明日に。
・購入物:野坂昭如「赫奕たる逆光」「夏わかば」(文春文庫) 多和田葉子「飛魂」(講談社) カメラ毎日別冊「マン・レイ」(毎日新聞社) すべて古書
・朝食:トースト、コンソメスープ(インスタント)、ヨーグルト、珈琲 昼食:お弁当(焼き鮭、ゆで卵、じゃこ天と小松菜のさっと煮、ミニトマト、ごはん) 夕食:九条ネギと温泉たまごのうどん(レモン醤油をかけて食べる。うどんにレモンをかけて食べるの好き)、冷奴、トマトサラダ、玉ねぎのかき揚げ(Tがスーパーで買ってきたもの)、麦酒
雨あがる。風さえわたり、さわやか天気。終日、外を歩き回る。ヒールのあるパンプスを履いていたため、足が、特に足の裏がだるく疲れる。普段スニーカーばかりひっかけてペタペタ歩いているから、ちょっとまともな格好をするとこういうブザマなことになる。
昼間、外回りの途中で通りかかったあちこちの古本屋に寄り、安い文庫を3冊買う。木山捷平の旺文社文庫が最も高く、300円。木山捷平は文芸文庫でほとんど読んでいるんだけれど、旺文社文庫版は装幀がかわいいので(今日買った「耳学問・尋三の春」は木綿めがね織の布が張り付けられている)、ついつい買ってしまう。松本清張の「過ぎゆく日暦」は創作日記。ちなみに松本清張の小説はいまだかつて読んだことがない。
夕方、会社とその周辺の人、数人で飲みに行く。プロジェクトの打ち上げと新人の歓迎会を兼ねて。大部分の人が仕事の話で盛り上がっている横で、ふたりの新人さん相手に、安藤忠雄と平野レミの物真似を地味に披露する。すごくうけた。ただ単純に嬉しい。 新人さんに、昼休みとか空き時間にいつも何か読んでおられますよね、「いつも本を読んでいる人」というイメージがあります、と言われる。はあ、そうかな、まあ私にとって読書は生活の一部だからな。どんなの読まれるんですか、おすすめはありますか、と聞かれる。いやあ、どんな本を読んでいるかと言われても…、こういう質問にはいつもうまく答えられなくて困る。 二次会はスナックでカラオケ。帰るつもりだったのに酒乱気味のNさんにつかまってしまい、抵抗虚しく連れて行かれる。みなの下手くそな歌を聴きながら、お店のママさんから波瀾万丈な人生遍歴(男遍歴というか)を聞く。半分は作り話だと思う。沢田研二を物真似つきで歌う。何をやっても物真似になってしまう。
1時頃、よろよろと自転車で帰宅。お風呂に入ってから、甘夏みかんを半分食べて、寝る。昏倒。
・購入物:吉行淳之介・選「文章読本」(福武文庫) 松本清張「過ぎゆく日暦」(新潮文庫) 木山捷平「耳学問・尋三の春」(旺文社文庫) すべて古書
・朝食:ライ麦パン、ブルーベリージャム、ヨーグルト、珈琲 昼食:お弁当(焼鮭、ゆで卵、ミニトマト、茹でキャベツの胡麻ソース和え、ごはん) 夕食:居酒屋で。各種刺身、各種焼き鳥、枝豆、大根サラダ、もずく、若竹煮、ししゃもの焼いたやつ、麦酒と焼酎あわせてうーん、6杯か7杯くらいかな
しっとりとした雨が降る。ちょっと肌寒い。桜の花が散って、新緑になりつつある。花より葉っぱのほうが鮮やかで好きだ。バスの窓から大川沿いの木々を見ると、雨にぬれて緑が少しけむっている感じがする。塀の外から垣間見える、造幣局の八重桜はまだ咲いているが、昨日で「通り抜け」は終了した。今年は晴天続きで、満開の時期と週末が重なったため、過去最高の人出だったらしい。
帰りに旭屋に寄って、集英社の「青春と読書」をもらう。前はレジで90円とられるところだったのだが、今日はすんなりもらえた。「青春と読書」は読むところがないとずっと思っていたけれど、今月号から鈴木道彦と茂木健一郎の連載が始まったので、良い読みものができた。これから毎月楽しみだ。 昨日お金がなくてあきらめたヴァレリー・ラルボーの「幼なごころ」と、今はまっている佐伯一麦の文庫を買う。このところゆっくりと読書の時間がとれなくて、読みたい本がどんどんと、本棚の前に積み上がっていくばかりなのがストレスだ。
夜、10時頃友人より電話があり、2時間近く話をしたので、貴重な読書の時間をまた紛失してしまった。 友人の電話の内容は、8歳年下の彼氏ができたという、その顛末と途中経過の報告であった。20歳の時に12歳の男と恋愛する、というのは現実感がなくてどっちかというと犯罪っぽいが、34歳と26歳なら全然問題ないように思え、年をとるといろいろ不自由なことも多いけど、男のストライクゾーンは広がって、それは悪くないことだ、などということを話したりする。俺はまだ結婚とかは考えられないんだけど、と釘をさされたらしく、そんな面倒くさいこと考えてもらわなくていいよな、と言い合う。でも友人が心からホントに、結婚することを面倒くさいと思っているかはわからない。たぶん、思ってないだろう。これから先は、やっぱりよく見えない。
長く話していたので、耳が痛い。洗濯機をまわし、風呂に入って就寝。雨はやんだみたいだ。
・購入物:ヴァレリー・ラルボー「幼なごころ」(岩波文庫) 佐伯一麦「遠き山に日は落ちて」(集英社文庫) ・朝食:コーンパン、トマトとキュウリのサラダ、ヨーグルト、珈琲 昼食:お弁当(豚の生姜焼き、ゆで卵、人参とジャコのキンピラ、ごはん) 夕食:ビーフカレーライス、春雨とハムのサラダ、冷奴、麦酒
2005年04月19日(火) |
奴の尻尾をつかまえろ |
午前6時すぎ起床。さっぱりと晴れてさわやかな火曜日。でも仕事はカツカツで、朝は神戸に直行、午前中いっぱい打ち合わせをして、午後からは会議(だらだらと長い)と、新バイトに仕事の説明(こいつがまた物分りが遅くてひと苦労)、夕方はWさんとの打ち合わせが急に入ったりなどして、初対面もふくめて多くの人と話したせいか、けっこうくたびれる。 くたびれたところへもってきて、帰り支度をしているとNさんが「ちょっとアンタ、ちょっとちょっと!」と呼ぶからそばへ寄ってみたところ、「森進一と森晶子が離婚したんやて」とひそひそ声で言うので心底がっくりした。声をひそめて言うようなことか。それから、産経新聞に連載されている秋元康の小説が全然面白くないことについて話して帰る。面白くないどころか、稚拙で紋切り型の文章が鼻について、読んでて腹が立ってくる。だったら読まねばいいのだが。
京橋の紀伊国屋に寄って、「i feel」の最新号と、気になっていた浅生ハルミンさんの「私は猫ストーカー」(イラストがかわいい!文章も飄々としてて好き)と、白洲正子の文庫を買って帰る。岩波文庫の新刊も欲しかったのだが持ち金乏しく、晩ごはん用の食料にあてるお金も残しておかねばならぬため、今日のところはあきらめる。 モールの「百円市」で、ハムと豚肉とジャコ、トマトときゅうりを買う。
夜、何気なくテレビをつけたらまた小林旭がでてきた。二日連続、小林旭。暑苦しい。那智勝浦でコンサートをしているところから中継放送。芸能活動50周年らしいが、けっこう細かい仕事をしているな。今日はメドレーで何曲か。「自動車ショー歌」も歌う。これを聞いてから寝るまで、ずっと頭の中で「自動車ショー歌」がまわっていた。こんな歌を口ずさんでいたら、悪い頭がよりいっそう悪くなりそうな感じがする。
寝る前に、佐伯一麦の「川筋物語」を半分くらいまで読む。ていねいな自然描写をじっくり読んでいると時間がかかるのだが、それもまた良し。すっかりはまったかも。島村利正に通じる静けさがある。
・購入物:白洲正子「おとこ友達との会話」(新潮文庫) 浅生ハルミン「私は猫ストーカー」(洋泉社) 「i feel」2005年春号(紀伊国屋書店)
・朝食:トースト、ブルーベリージャム、珈琲、ヨーグルト 昼食:お弁当(牛肉とゴボウの甘辛煮(昨夜の残り)、ゆで卵、ミニトマト、ピーマン炒め、ごはん) 夕食:鰈の煮付け、サニーレタスとジャガイモのサラダ、人参とジャコのキンピラ、麦酒、ごはん
2005年04月18日(月) |
まるいコミュニケーション |
月曜日。晴れのちくもり。気温高く、暑い。初夏みたい。朝ごはんにアツアツのきつねうどんをこしらえて食べたら、ものすごく暑くて汗をかいた。そろそろストーブをしまうかどうしようか検討中。シクラメンの葉っぱ、腐りかけのレタスの葉みたいになって、とうとう枯れた。季節が移り変わったせいなのか、私の世話の仕方がずさんだったせいなのか、たぶん後者のような気がするけれど、まあとにかく今日でお別れすることにした。さようなら。
少々残業して、退社。旭屋に寄って「草思」と「ウフ」をもらう。「ウフ」は柴崎友香の連載が終わってしまったので、読むところがなくなってさみしい。今日は宅配便の夜間配達で荷物がいろいろ届くことになっているので、店内は見ずにさっさと帰る。
通販で頼んでいた化粧品と宅配野菜、Tのお母さんよりジュースや米、ジャガイモや梅干やインスタントラーメンなどが届く。Tの実家にお礼の電話をかける。お母さんは、こないだ友達と愛知万博に行ってきた、と言ってすこぶる元気であった。入場の際、弁当の中身チェックで一時間以上も待たされてイライラきたけど、愛知万博は「めっちゃおもしろかった!」らしい。へえー。それから毎日プールで泳いでいること、お風呂場をリフォームした話などを聞く。 ごはんの後テレビをつけたら、小林旭が「ダイナマイトが百五十屯」を歌っていたので聞く。『ダイナマイトがよー、ダイナマイトがヒャクゴジットン〜』という、特に意味のない歌。高音のノビが素晴らしい。小林旭は500グラムくらいの牛肉を毎日食べているんだって。歌の後のインタビューで言っていた。どうりで油でテカった顔をしていると思ったよ。おそろしい66歳だ。
夜。友人へメールの返事を書いた後、借りてきた多和田葉子の小説を読む。
・購入物:なし
・朝食:きつねうどん、ほうじ茶 昼食:お弁当(ネギとジャコ入りの卵焼き、蒸しジャガイモ、ピーマンのキンピラ、ハムステーキ、ごはん) 夕食:ゴボウと牛肉と九条ネギの甘辛煮、冷奴、ほうれん草のおひたし、トマトサラダ、麦酒、ごはん
日曜日。今日も晴れて暑い。日を追うごとに、太陽光線が強くなってくるような気がする。早起きして二日連続で布団を干す。少しは元気になったけれど、まだ咳がたくさんでる。薬は飲んでないけれど、うがいだけはコマメにするように心がけている。
午後、お昼ごはんを食べてから、仕事上の調べものをしに自転車で中央図書館へ行った。2時間か3時間くらい、コツコツと集中してやって、それから7件分の資料の予約をして、多和田葉子の本を3冊借りた。「容疑者の夜行列車」と「エクソフォニー」、「球形時間」。このうち、「容疑者の夜行列車」を借りるのは2度目。何度も読むならもう買ってしまえよ、と、‘マインドB’に言われる。おっしゃる通り。‘マインドB’はだいたい常識的なことしか言わないから、時々つまらない。 図書館を出て、南堀江界隈で買物。ヌメ皮のレザーサンダルと白のジャックパーセル、オーガニックコットンのTシャツと靴下、それからインドネシアの小さな島、ロンボク島で作られた素焼きの小物入れを買った。ロンボク土器、というらしい。素朴で温かみがある。これは葉書差しにするか、珈琲のフィルター入れにするつもり。 紙袋を抱えてTを待ち合わせている公園へ向かう。Tはどこだかの床屋で髪を切ってきており、貧相で人相の悪いキューピーさんみたいになっていた。 北極星でごはんを食べ、難波まで自転車を押しつつ歩いて、丸福珈琲店で珈琲を一杯飲んでから、心斎橋のギャラリーでおこなわれた大橋仁のスライドショーを観に行った。第二作目となる写真集の刊行を記念してのものらしい。私は誘われてついていっただけで、この写真家についてはほとんど何も知らない。映像作品の上映の後、新写真集からのスライドショー、それからトークショーと続いて、2時間近く床の上に体育座りをしてたからお尻が痛くてしょうがなかった。 たまたま目撃することになったアパートの火事を定点で延々と撮った映像作品や、赤ちゃんがお母さんの股間から出てくるまさにその瞬間を捉えた写真などを見る。燃えさかる炎とか、血にまみれた赤ん坊は、確かに衝撃ではあるし、現実の中の非現実、というような鮮烈さは残るんだけれども、どうもそれ以上には自分の中で高まってくるものがなくて、ちょっともてあまし気味。 終了後、感想をうだうだと述べ合いながら、自転車で帰る。昼間は、半袖でもちょうどいいくらいであったが、夜になるとさすがに少し冷えてくる。
帰ってからピーナッツを食べ、ビールを1本飲む。夜中に米を研ぐ。 寝る前に録音しておいた「ワールドミュージックタイム」を聴く。 ・購入物:なし
・朝食:ごはん、野菜のみそ汁(昨日の残り)、梅干、海苔、目玉焼き 昼食:ホットケーキ、珈琲、ヨーグルト 夕食:北極星にて。ラム肉と白いんげんのトマトソースオムライス
2005年04月16日(土) |
ところかまわず寝たのです |
風邪悪化のため、家でひねもすゴロゴロ。澄みきった青空を窓から眺めて過ごす。朝、実家の父から電話がかかってきた時、風邪ひいて寝てる、と言うと、風邪ひいて寝んと布団ひいて寝とけ、と返された。ダイマルラケットのネタです。なんでもいいけど古いなあ。
ゴロゴロするのに飽きておこなったこと。 布団干し。洗濯。台所と風呂の掃除。床みがき。晩ごはんの支度とその片付け。本の整理。などなど、毎度おなじみなことばかり。今日は一歩も外に出なかった。日中はほとんど誰とも話さなかった。電話もかかってこなかったし、独り言も言わなかったし、歌も歌わなかった。声、というものを発しなかったと思う。咳とくしゃみはした。でも、咳とくしゃみは、声とは違う。
夜、高田渡のアルバムを聴いた。「石」とあともう一枚。ライブ、楽しかったなあ、と思い出す。死は終わるということではない。
読書。黒川創の「もどろき」を最後まで読み、日曜の朝にももう一度読んだ。祖父と父の思い出、家の記憶、届かなかった手紙、口にできなかった思い、形にならなかった夢、のことを書いた小説。ほとんどの人にとっては、地味でひっそりとしててすぐに忘れ去られてしまいそうな小説だけれど、私は個人的にいろいろと感じ入るところがあり、いろいろと心に残った。
『祖父は、何ほどでもない人である。また、自分は何ほどでもないという信念に、疑いをはさまずに生きていた。かつて、夕食どき、ビール一本を二日間に分けて飲んでいた。祖母が死ぬと、自分で食事をつくりはじめ、それから十五年間、同じペースの暮らしを守った。おぼつかない足取りで、最後の入院まで、銭湯に通っていた。生活上の管理全般にわたり、金銭のことを含めて、最後まで息子を頼ろうとした様子がない。』
『好きなように生きることは、どこかで、いたるところで、横車を押しつづけることである。ひとは、いつか、自分で、そのことにケリをつけなければならない。』
・購入物:なし
・朝食:トースト、トマト、ゆで卵、ヨーグルト、珈琲 昼食:りんご一個、バナナ、オレンジジュース 夕食:ホタテのバター焼き、野菜汁(ゴボウ、人参、えのきだけ、しめじ、コンニャク、揚げ、豆腐、豚肉、ネギ)、レタスサラダ、山芋たんざく、麦酒、ごはん
2005年04月15日(金) |
アイロンは、やさしく炎に接吻する |
今日も晴れ。すがすがしい風がふき、日差しがホックリとあたたかい。 ポカポカ陽気にさそわれて、昼休みは文庫本とお弁当包みと水筒をぶら下げて公園へ行った。ベンチでお昼ごはんを食べたあと、ほうじ茶を飲みつつ、佐伯一麦の「川筋物語」を読み始める。丁寧な自然描写がなかなか良い感じだ。パッとページを開いた時、文字がびっしりつまってて、漢字の分量が多いところも好きだ。ああ、極楽極楽。でも一章読んだところで、昼休みは終わってしまう。トロトロと会社へ戻った。極楽は長くは続かない。
追われていた仕事が午前中で一息ついたため、午後からは全く働く気なし。やるべきことは全部来週にまわして、ほとんど時間をボウとして過ごした。あかん奴だ。しかし、まわりには仕事をしているようにみせかけておいて、ボウとしつづけるのはけっこう難しいのだ。とにかくずっとボウとしたまま、定時でさっさと引き上げる。
天神橋筋商店街の八百屋さんで、人参一本とえのきだけとピーマンを一袋買う。天牛でTと待ち合わせて、商店街角の中華料理屋さんで「油そば」というのを食べた。ネギとネギ油をかけた和風味の汁なしラーメン。名前は油っこいが、しつこくなくてなかなか美味しい。B級グルメ大好き。 ジュンク堂に本の並べ方の偵察に行く、とTが言うのでついて行った。最近やっと書店員魂がめざめてきたようで、それはまあ喜ばしいことなのだろう。天満橋は「通り抜け」に行く人でいっぱいなので、松屋町方面からまわっていく。大川沿いの桜はもうほとんど散ってしまっているというのに、車座になって酒を飲んで騒いでいる輩がたくさんいた。 本を2冊購入。「よりみちパン!セ」というシリーズのものを初めて買ってみた。そのあと、児童書コーナーでひとしきり絵本をチェック。堀内誠一が画を描いた「きこりとおおかみ」を3回熟読する。子どものころ大好きだった絵本。きこりのおじいさんとおばあさんが「すかんぽのスープ」をグツグツと煮ているところが特に好きだった。私の好きな本の記憶の片隅には、いつも食べ物がある。
夜。読みさしでほったらかしになってた多和田葉子の「きつね月」を読んでしまう。すばらしく良かった。言葉はおもしろい。
・購入物:京須偕充「古典落語CDの名盤」(光文社新書) 深見填「こどもためのドラッグ大全」(理論社)
・朝食:トースト、ブルーベリージャム、バナナ、ヨーグルト 昼食:お弁当(卵焼き、れんこんのきんぴら、ジャガイモのサラダ、筍の土佐煮、ミニトマト、ごはん) 夕食:えーと、店名全然覚えてない。油そば、餃子、麦酒
晴れる。空のすみずみまで青。午前5時30分すぎ起床。この時間に起きるのは久しぶり。やっぱり朝一番の空気は澄んでいて実にさわやか。昨夜さぼった食器洗い、入浴、洗濯など片付ける。部屋の整理なども少し。晩ごはんの下ごしらえも。スズメのさえずる声を聞きながら、洗濯物をたくさん干していく。それでも出勤までに時間があまって、ゆっくりと朝刊も読むことができた。早起きすると気持ちが充実する。
喉が痛くてイガラっぽいので、時折のど飴をなめる。一日で5個ほどなめた。鼻水もでる。ズルズルと。Nさんに、それ花粉症やん、と言われるが、違うと思う。本人が違うと言っているのだから違うのだ。 膝の痛みはマシになったけど、どういうわけか右上腕部が筋肉痛。なんでだ?わけがわからない。 仕事は、ようやく出口が見えてきたような気がする。今日は日が沈む前に会社を出た。会社なんかに長居は無用だ。いつもなら造幣局の前をかっ飛ばして帰るのだが、昨日から「桜の通り抜け」が始まっているので、人ごみを避けるため都島をまわって帰ることにした。
途中のPANTRYで、有機木綿豆腐一丁とバナナを一房、ヨーグルトを買う。ミレービスケットが食べたくて探してみたが、ない。以前、ここで買ったことがあるのだが、常に置いているものではないのだろうか。別の自然食品の店にも行ってみたが、なかった。がっくり。ミレービスケット、食べたいよう。 今里筋沿いのブックマーケットに行ってみる。ここでは「森茉莉全集」の5巻と6巻をそれぞれ800円で買ったことがある(まだ読んでないけど)ので、けっして侮れないのだ。単行本のコーナーで多和田葉子を2冊見つける。500円。新刊で買うかどうするか迷っていた「旅をする裸の眼」が、特にじんわりと嬉しい。それから100円文庫コーナーで、新潮文庫の「幼年時代」と「青年時代」を。原卓也訳で読みたかったので、これまた満ち足りた気持ち。ブックマーケットは普段あまり利用しない新古書店ではあるが、来てみれば何かしらいい事がある。
夜、ごはんを食べた後したこと。 洋服の整理。春夏物を出してくる。シワシワなものにアイロンをあてる。ボタンつけ。ヨレヨレになったTシャツを雑巾にまわす。 新潮文庫の「Yonda?シール」の整理。あちこち集めて20枚たまったので、応募用紙に貼る。ブックカバーをもらうことにする。このキャンペーンで今までにもらったものは、ブックカバー2つ、マグカップ、カバン、Yonda人形、すべて旧バージョン。そのうちカバンは使ったことがなく、どこにしまったものやら行方不明。 夜中に、タケノコを茹でる。春ですね。 ・購入物:多和田葉子「旅をする裸の眼」「光とゼラチンのライプチッヒ」(講談社) トルストイ「幼年時代」「青年時代」(新潮文庫)いずれも古書
・朝食:カレーライス、ヨーグルト、珈琲 昼食:阪神百貨店のヘンゼルでパンを買う。黒ゴマとアーモンドのパン、フィセル、リンゴ半分、珈琲 夕食:カレーライス(カレー、もう飽きた)、豆腐とジャコとレタスのサラダ(ゴマドレッシングをかけて)、ほうれん草のピーナッツ和え、スライスハム、麦酒
2005年04月13日(水) |
口惜しさをわけてあげよう |
午前7時起床。喉の痛みは変わらず。あーあ。くもり時々晴れ。桜も散ったというのにけっこう寒い。そんなこんなで水曜日。まだまだ先は長い。
仕事、いつまでたっても終わらず。悶々とした気分でひとり残業。出てくる原稿を待つ間、テレビで阪神巨人戦を観る。また井川が投げている。私が野球を観ようとすると、いつも井川が投げている。そしてまた負ける。どういうことやねん。でも今日の井川は悪くはなかったと思う、悪くなかったとは思うけど、スタミナ不足なのかな?まあ、桧山がホームランを打ったのでよかったということにする。ベース上を走る桧山の背中を見ていると、ちょっと泣けてくる。夜、会社で、ひとりで、野球を観て、意味なく泣く女。
結局、21時半まで働く。昼から何にも食べてないから空腹でフラフラ。喉も痛いし。阪神は負けるし。やる気なく自転車をこいでいたら、前方からやって来る、ケイタイでメールを打ちながらよそ見してフラフラと運転しているオヤジの自転車を避けきれず、相手の前輪に衝突してしまった。倒れてきた自分の自転車でしたたかに左膝を打つ。ジーンと痛い。今も腫れている。まさに踏んだり蹴ったり。オヤジは、チッ、と舌打ちしただけで、またすぐ何事もなかったようにメールを打ちながら行ってしまった。クソオヤジ。アイツに天罰が下りますように。
帰宅後、Tが作ってくれたカレーを食べる。カボチャとほうれん草が入っている。おまけにご飯が黄色。ターメリックを混ぜてみたらしい。けっこう凝ったことするなあ。 寝る前にもう一度うがいをする。それから膝に湿布を貼る。
昼休みに、旭屋で買った本のこと。楽しみにしてた新書「焼跡のグラフィズム」が出てたので買う。それから「一冊の本」を読んで気になった佐伯一麦の文庫も。この人の小説を読むのは初めてだけど、たぶん私の好きな部類の文章を書く人だと思うのだ、たぶんね。 それにしても、喉と膝が痛い。
・購入物:多川精一「焼跡のグラフィズム」(平凡社新書) 佐伯一麦「川筋物語」(朝日文庫)
・朝食:バタートースト、ブルーベリージャム、ヨーグルト、バナナ、珈琲 昼食:お弁当(ほうれん草とベーコンのソテー、ジャコ入り卵焼き、水菜のゴマ和え、ごはん) 夕食:カレーライス、コンソメスープ、レタスサラダ、麦酒
2005年04月12日(火) |
水玉の傘、水色の長靴 |
目を覚まして、ハッと時計を見たら7時40分。ああ寝坊。よせばいいのに意地になってお弁当を作りはじめたため、すっかり時間をとられて朝ご飯を簡略化した。おかげでお腹が空いて空いて空きまくって、午前中はほとんど死に体となる。腹が減っては戦どころか仕事もできぬ。
今日は一日中、雨。目をこらさないと見えないような細かい細かい雨が降る。おまけに吐く息が白くにごるほど寒く、夜は辛抱たまらずストーブをつけた。 雨なのでバスで帰る。停留所でバスを待っていたら、腰のまがったおばあさんが、「すんませんけどこの傘を広げてもらえませんやろか、ワタシ手が痛うてねえ、力がはいりませんのどす」と言って近づいてきた。もちろん協力する。おばあさんは、「いや、えらいすんまへんなあ、お気の毒さんどした」と、傘をさして帰って行った。 あのおばあさんはもしかして京都出身の人だろうか。私の父方の祖母とおんなじような喋り方だった。祖母は京都市内のど真ん中に生まれ育った生粋の京都人で、気位が高くちょっと意地悪で冷たい感じのする人だった、でも私は好きだったなあ、本をたくさん買ってくれたし、寄席にもよく連れていってくれたしな…、などとつらつら思い返しているうち、またザワザワと寂しさが押し寄せてきて、参った。
バスに乗る前に、第3ビルの古書街で古本を買った。寿岳文章としづ夫妻の共著「樫と菩提樹」。箱入り。400円。『某月某日』ではじまる日記ふうの随筆で、ふたりの文章がかわるがわる載っている。冒頭には仲の良さそうなツーショット写真あり。
夜。ストーブの前で丸まってうたた寝。連日のうたた寝せいか、ここのところの寒暖の差の激しさゆえか、信じられないことに喉が痛く、身体の節々がダルい。もう手遅れ、という気もするが、うがいをして、毛布にくるまって就寝。治りが早やからんことを。アーメン。
・購入物:寿岳文章・しづ「樫と菩提樹」(白凰社) 古書
・朝食:バナナ、牛乳 昼食:お弁当(ほうれん草のからし和え、蒸しジャガイモ、焼いたハム、ごはん) 夕食:豚肉の九条ネギ巻き(レモン醤油をかける)、カリフラワーのサラダ、トマトとシソのサラダ、豆腐と揚げのみそ汁、水菜の漬物、ごはん、麦酒
2005年04月11日(月) |
武士は食わねど高楊枝? |
月曜日。くもり時々晴れ。晴れ、といっても弱々しくすぐにも消え入りそうな陽光がさすのみ。始終、なまあたたかい風が吹く。
仕事。諸々のことがうまく運ばず、消化不良に終わる。ダラダラやったわりには、片付けたいことの半分もできなかった。ああ、がっくり。 打ち合わせにきたWさんと雑談。昨日ミナミにある回転寿司屋に行って30皿食べて腹をこわしました、あの店ちょっとヤバイかもしれないですねえ、というような話を聞く。それは店がヤバイんじゃなくて、アンタが食べ過ぎなのよ。Wさんと馬鹿話をしたら、ちと心が和んだ。
読書。「新潮」に載ってた、村上春樹「どこであれそれが見つかりそうな場所で」(高層マンションの階段、24階と27階の間で男がひとり消える話。けっこう好き)と、緒形圭子「トンネル」(これはあんまり面白くなかった。全体的に拙い。第一、緒形圭子って誰?)を読む。 それから、図書館で借りた「芸術新潮」を読む。挟んである貸出票をみて、返却期限がとっくにすぎていることに気づく。
料理。宅配野菜が届く。ほうれん草が2パック入っていた。今日は何にも虫や幼虫の類がついてなかった。少しさみしい。2パックとも茹でておく。 ニラと春雨をごま油で炒め、フワフワに焼いた卵とからめて、ナンプラーをたらしてみたら意外に美味しかった。ありあわせのものでカンタンにできる料理が、一番おいしいのかもしれない。
春眠。ごはんを食べたあと、暴力的な眠気に襲われる。後片付けもせずに夜9時すぎくらいから0時すぎまで、リビングでぐっすり眠る。夜中の台所で洗い物をする。あたりが静まりかえっているせいか、水の音がいつもよりずっと大きく聞こえる。米も研いで、お風呂に入ってから再び就寝。いくらでも寝られる。
・購入物:なし
・朝食:バタートースト、トマト、ヨーグルト、バナナ、珈琲 昼食:お弁当(牛肉とゴボウのしぐれ煮、ネギ入り卵焼き、若竹煮、ごはん、梅干) 夕食:塩鯖、ニラと春雨の卵とじ、ほうれん草のからし和え、水菜とジャコの和え物、ごはん、麦酒、ビーナッツ
2005年04月10日(日) |
午睡は大きな木の下で |
薄日さす日曜日、終日、風がうなりをあげる。夜遅くから雨、時折強く降り、夜中には小降りになる。
午前中。 春の美化運動、ということで町内のゴミ拾いに行く。午前7時30分に起きてのろのろ着替え、8時前に近所の公園に集まった。集まるといっても町内会長と副会長と私の3人のみ。3人でホントに美化できるんだろうか。当初は、眠いし面倒くさいナー、と思ってはいても、軍手をはめてゴミ袋を持ちハサミでゴミを拾い始めると、俄然やる気になる。徹底的にキレイにしてやる、と思い、心が燃える。拾わなくていいらしい落ち葉や花びらまで拾い集めたので、私のゴミ袋はいっぱいになった。途中、会長から子どもの頃の思い出話を聞く。あの神社の境内にある楠木でよう木登りしたもんやー、というような話。ザワザワと風に揺れている楠木を3人で見上げたりなどする。約1時間で終了、UCCの缶コーヒーをもらう。 帰宅して「新・日曜美術館」を見ながら朝ご飯を食べ、後片付けをしたあと昼まで窓を開け放したリビングで寝てしまう。
午後。 洗濯と掃除をおこなう。風が強いので洗濯物は瞬く間に乾いた。 Tがユニクロに買物に行くというのでついていく。店内を見渡すも、私の欲しいものはなし。Tが下着とジーンズを2本買っていた。 近所のスーパーで食料品の買物。苺、食パン、ナンプラーなど。初めて、「タイムスリップグリコ・思い出のマガジン」も買ってみる。当時の雑誌をそのままミニチュアで復元したおまけがついているやつ。一個めが1976年2月号の「CAR GRAPHIC」だったので、悔しくてもう一個買う。グリコの思うツボだ。めでたく1985年の「Olive」が当たる。『元・オリーブ少女もどき』なわたくしとしては、少々嬉しく思う。
夕方。 ごはんの支度前に、またリビングでうたた寝。
夜。 福祉会館でおこなわれる町内の会合はTに出席してもらうことにして、私は家で「バラカン・ビート」を聞きつつ、「新潮」の舞城王太郎の小説を読み始める。この人が書いたものを読むのは初めて。Tに、アンタが喜んで読むような小説じゃないと思う、と言われて、そんなもん読んでみなければわかるもんか、と反発してみたんだけれど、正直ちょっとしんどい。このしんどさは何だろう。どこからくるものだ?それがわかるまでもう少し読んでみようとは思う。 「ワールドミュージックタイム」が終わるのと同時くらいにまた眠気が。そのまま1時くらいまで寝てしまう。よう寝るなあ。
夜中。 お風呂に入る。湯船で雨の音を聞く。土曜日の日記を書いたのち、午前4時ころから本格的に就寝。
・購入物:なし
・朝食:バタートースト、ハムエッグ、レタスとトマト、珈琲、デコポン 昼食:カレーチャーハン 夕食:若竹煮、牛肉とゴボウのしぐれ煮、冷奴、水菜とジャコの和え物、ピーナツ、麦酒、ごはん
冬物衣類を片付けるため、大荷物を抱えて午後より実家に帰る。 土曜の昼下がりだというのに、京都行きの電車はすし詰め状態。荷物を網棚にのせ、ドア部分にくっついて立ったまま、持ってきた「新潮」の保坂和志の連載を読み、何度も何度も、なるほどなー、と膝を打ちたいような衝動に駆られる。 途中、顔を上げて車窓より咲き乱れる桜を見る。今日は文句なしの快晴、爽やかなあたたかさで、絶好の花見日和だ。電車が混んでいるのも無理はない。たぶん明日か明後日には散ってしまうのだろうから、みんな急いでいるのだ。花は急に咲いて、また急に散る。人はそれについていくのが精一杯だ。
実家で、お昼と晩ご飯をご馳走になる。母に、ステファン・グラッペリのライブ盤と「81/2」のサントラと、ヘンリー・マンシーニによる映画音楽を集めたCDを貸す。こないだ新しいコンポを買って、音楽に開眼したらしい。ここ最近はモーツアルトばかり聴いているのだとか。へえ〜。でも昼間は上沼恵美子のラジオも聴いてるでー、とのこと。 母からはお手製の胡麻ドレッシングと、筍、デコポン、漬物、それからビール券を5枚もらう。嬉しい。駅まで父に送ってもらう。野球の話などする。
帰り、京阪電車を天満橋で降りて、ジュンクで文芸文庫が並んでいないかチェックする。出てた。和田芳恵の「一葉の日記」はどこがどのように新装されたのかわからないので買わず。多和田葉子のみ購入。それから毎日新聞で鹿島茂の書評を読んで以来気になっていた、「悪魔のような女たち」も一緒に買う。
帰宅して、タイマー録音しておいた「米朝よもやま噺」を聞く。今日から毎週土曜日にABCラジオで始まった番組。米朝師匠が上方落語の思い出を語る、というやつで、面白そうかも、と思ってタイマーをセットしておいた。第一回目のゲストは小沢昭一で、正岡容についての話題が中心だった。ほーら、やっぱりとっててよかった。これから毎週録音するぞ。嬉しくて話に集中できず。また通勤時にウォークマンで聞いていこう。
なんだかんだで午前1時ころ就寝。夜になると気温が下がり、まだまだ寒い。
・購入物:多和田葉子「ゴットハルト鉄道」(講談社文芸文庫) バルベー・ドールヴィイ「悪魔のような女たち」(ちくま文庫)
・朝食:バタートースト、ゆで卵、リンゴ、ヨーグルト、珈琲 昼食:実家にて。ネギそば、麦酒 夕食:これまた実家にて。天ぷら(タラの芽、こごみ、三度豆、シソ巻きささみ、エビ、青のりまぶしちくわ)、しじみの味噌汁、キャベツとスプラウトのサラダ(胡麻ドレッシング)、麦酒、水菜の漬物とごはん
朝のうち、日がかげる。花曇り、というやつだろうか。お昼から太陽が出てきてずいぶん暖かくなるが、夜は気温が下がり急に冷えてくる。汗をにじませたり、寒さに身を縮めたり、肌に感じる風の感触がさまざまな一日。春は何かと複雑な季節だ。
給料日なので、街中で夜桜見物をしながら買い物をして歩く。喧噪にまみれた都会の片隅にひっそりと咲いているような桜が、どこかけなげで良いと思う。 agnes b.で白いシャツを買ったあと、無印良品でライチキャンディと梅ゼリーを。梅ゼリーはグミみたいな食感としつこくない甘さが好きでたまに食べたくなる。 家族亭でそばをすすり、阪神百貨店のKIHACHIで、いちごクリームチーズのソフトクリームを買って食べる。ソフトクリーム好きなもんで。阪神百貨店の食料品売り場は、しばらく来ないうちに改装したみたいで、KIHACHIの隣にはフランスの老舗パン屋「PAUL」が出来ていた。チラリと見てみるが、やたらに高いので(クロワッサンひとつ210円とか)、見るだけにする。 マルビル横の、桜の下を通ってジュンク本店へ。昨日テレビで観た料理が良かったし、立ち読みしているうちにゆっくり読みたくなって、高山なおみさんの料理本を一冊購入。それから単行本を持っているのをコロッと忘れて、野坂昭如「文壇」の文庫も買ってしまう。家に帰って本棚を確認した時、呆然としてしまった。まあいいか。昨夜、カリプソを聴いて俄然トリニダード周辺が気になりだし、パラパラめくったら面白そうだったので、ナイポールの「ミゲル・ストリート」も買ってしまう。またまたどんどん買ってしまう。今月の文芸誌は、とりあえず「新潮」を。特集「映画との対話」目当てで。アンゲロプロスの「エレニの旅」についてのあれこれが読めるのは嬉しいのだけれど、対談相手が難ありだ。私、この人苦手なんだよねー、陰気くさいから。誰か他におらんかったんかなあ、池澤夏樹でいいじゃんか、と思ってしまうのだが、まあいいか。なんでも、まあいいか、ですませてしまう。 タワーにも寄ったけれど何も買わず、本日のお買い物はこれにて終了。ノロノロ歩く酒の入った花見客にイライラしながら、自転車で帰る。
珈琲を淹れて、リビングで「新潮」を読んでいるうちうたた寝してしまう。目を覚ましたのは2時すぎ。入浴ののち、米を研いで、歯を磨いて、布団で寝直す。
・購入物:「新潮」5月号(新潮社) 高山なおみ「のんびり作るおいしい料理」(レタスクラブ) 野坂昭如「文壇」(文春文庫) V.S.ナイポール「ミゲル・ストリート」(岩波書店)
・朝食:バタートースト、珈琲、りんご、ヨーグルト 昼食:お弁当(おにぎり(梅・カツオ・いかなご釘煮)、卵焼き、インスタントの長ネギの味噌汁) 夕食:家族亭で。特盛天せいろ、そば焼酎
仕事、難事が多し。いろいろ問題が持ち上がる。考える。トラブルも起こる。対処する。客が怒る。なだめる。疲れる。とても疲れる。 おおむねせっせと働いたが、少々空いた時間もあったのでたまっている日記も書く。こんなことしてる場合かなー、とか思いながらも、けっこう楽しんで書いちゃった。
残業して帰り道。天神橋の商店街で、キャベツ一個購入。200円。近所の商店街のお肉屋さんで100g90円の豚肉を200g買う、180円。安い。商店街は庶民の心の灯火だ。 久々に入った天牛書店で、ずっと読みたくて探していた「馬込文学地図」を発見する。200円。解説は海野弘。近藤富枝さんの近代文学史ものは平易でわかりやすいうえ、面白くていろいろ発見があるので好きだ。
帰宅。晩ご飯を作って食べる。ごくごくカンタンな献立だけど、旨し。 ビールを飲みつつテレビで広島阪神戦を観る。井川の不甲斐ない投球にイライラする。井川は大リーグじゃなくてまず二軍に行け。 腹が立つのでチャンネルを変えて、教育テレビで高山なおみさんの料理を見る。蒸し鶏を使ったメニューの数々。シンプルで美味しそう。高山なおみさんは清潔そうで丁寧で、「きちん」としてる感じがいい雰囲気の人だなあ、といつも思う。
夜。テレビを消した後。 黒川創「もどろき」を3分の2ほど読む。 「未来」の4月号も読む。何だかんだ言って、あらゆるPR誌の中で「未来」を読むのが一番楽しみかも。今はね。今のところは。 おまけに新聞も読む。 カリプソを聴く。 夜中の台所でリンゴジュースを飲む。 午前1時、就寝。
・購入物:近藤富枝「馬込文学地図」(中公文庫) 古書
・朝食:超熟ロールにレタスとトマトとチーズをはさんだやつ、ヨーグルト、珈琲 昼食:お弁当(レンコンのそぼろ炒め煮、いかなご釘煮(昨日Nさんにもらった)、蒸かした新じゃがいも、トマト、ごはん) 夕食:キャベツと豚の重ね蒸し、冷奴、ブロッコリーのゴマドレッシングかけ、長ネギのみそ汁、麦酒、ごはん
暑い。4月上旬にして暑いとは、いったいどういうわけだろう。昼から薄曇りになり、夜遅くにはチビチビした雨が降った。まるで梅雨のようだ。
仕事がたてこみ、一日中とにかくしきりに何かに追われる。くたびれた。今日はいつもより1時間早く出社したうえ、夕方6時から始まった会議が9時までかかり、最後のほうはなんのことやら意識が朦朧とした。私は日が沈んだら働かないことをモットーにしてるんだけどなあ。太陽の光の下でしか仕事しない、とか。庄野潤三みたいに。
フラフラと帰る。自転車のペダルが重い。空気がぬるいうえ、どこからか花の匂いが漂ってきて、甘ったるくて気持ち悪くなる。 家に帰ったらTがお好み焼きを作っていた。キャベツとネギ、山芋をたっぷり、エビとイカ、豚肉を入れる。あまっていたうどんで焼きうどんも作る。仕上げに少しだけめんつゆを入れるのがコツ。味がまろやかになります。
「未来」の3月号で港千尋が紹介していて気になって注文した写真集、「赤いゴーヤー」が届いた。1970年から1972年までの沖縄の日常風景を撮った、モノクロ写真集。雑多で力強く、素朴でゆるやかな、いい写真だ。ゆっくり眺める時間がなくて、まだちゃんと見ていないんだけど。
お好み焼きを食べてお腹がいっぱいになったら、もう眠くて眠くて起きていられなくなる。気力ふりしぼってお風呂に入り、昏倒。
・購入物:比嘉豊光写真集「赤いゴーヤー」(ゆめあ〜る)
・朝食:ブール、ヨーグルト、バナナ、珈琲 昼食:お弁当(レンコンのそぼろ炒め煮、ネギ入り卵焼き、トマト、ブロッコリー、ごはん) 夕食:お好み焼き1枚、焼うどん、麦酒
火曜日。晴れ。とうとう天満橋あたり、大川の桜が咲き始めた。それにともなって、桜を愛でようとする人々がどこからともなくわらわらと繰り出してきた。道いっぱいに広がってノロノロと歩きつつ、急に立ち止まって携帯電話で桜の写真を撮ったりして、キャキャと騒いでいる。自転車が運転しにくくて実に困る。腹立たしい。イライラする。この季節はやっぱり、通勤ルートを変えなければ。
夜桜見物の善男善女をなんとかやり過ごして、天満橋デリスタで買物。「青い麦」でブールと、合びきミンチ、ごま油を買う。 ついでにジュンク堂にも寄ってみる。ここのジュンクはリニューアルオープンしたてで、まだ発展途上という感じ。棚もすき間が多いし、ビジネスや人文書のあたりは棚が増えたのに照明の位置や数が前のままなので、なんだかどんよりと暗いような印象がある。 いろいろと立ち読み。坪内祐三の「『別れる理由』が気になって」が気になる。私も小島信夫の「別れる理由」は気になっているのだが、肝心の「別れる理由」をまだ読んでいないし、入手できる見込みも今のところないので、何となく見送ってしまった。
帰ってごはんを作るのが面倒になって、地下の中央軒でちゃんぽんを食べた。ビールを頼んだらポテトサラダがついてきた。ジャガイモをつぶしすぎてて少しベチャとしている。おつまみはピーナッツかキムチ、茹ですぎでもいいから枝豆がいいなあ、と思いつつ食べる。 帰宅後、レンコンと買ってきたミンチ肉を使って、レンコンのそぼろ炒め煮、というのを作った。生姜と赤唐辛子とネギのみじん切りと一緒にレンコンとミンチ肉を炒めて、酒と醤油で味付けしたもの。明日のお弁当のオカズ用。
柴崎友香「きょうのできごと」を読んでしまう。おしまいのあたりの『きょうのできごとのつづきのできごと』という章が好き。何事にも続きがある。 自分から好きになった人ではなくて、特に何の感情も持ってない人から好かれて、それもけっこう強引にこられて、アンタのことは好きじゃないの、と突っぱねてみたりもするんだけどやっぱりちょっと嬉しくて、そのうちだんだんと、悪くないのかな、もしかしてすごくいい奴なのかな、と思いはじめもするんだけれど、イヤイヤそんなはずない、私はこんな人を好きになるはずがない、私が好きなのはあの人なんだから、と言い聞かせてみても、もう気持ちはコントロール不可能なところまできてて、自分の感情が未知の領域に入っていくのがちょっと怖いような気もするんだけれども、もうその時には目の前のその人がものすごく気になっていて、悔しいけれどあー好きになっちゃった、という恋愛ジタバタ期間における切なさ半歩手前、という感じが、よく書けているなあと思う。
・購入物:なし
・朝食:ホットケーキ(はちみつ、バター、ブルーベリージャム)、ヨーグルト、珈琲 昼食:お弁当(キンピラゴボウ、ほうれん草のゴマ和え、焼いたハム、卵焼き、ごはん) 夕食:中央軒で。長崎ちゃんぽん、麦酒
そして、月曜日。食べたものは思い出せるのに、頭の中のどの記憶をたどっても天気のことが思い出せない。自転車に乗っていたのを覚えているので、たぶん晴れていたのだろう。
仕事へ行く。Nさんに、新しい眼鏡をほめられる。土曜日に踏み潰した眼鏡は京都の「眼鏡研究社」で買ったお気に入りだったのだが、Nさんは「はっきり言って似合ってないとずっと思ってた」のだそうだ。赤のフレームがバカっぽく見えていた、とか言われる。えらい言われようだ。愕然としてしまう。本人は気に入って嬉々として装着していたのだが、わからんもんだな。新調したもののほうがずっと「知的」に見えるよ、とのこと。「痴的」かもしれんけど。 まあいいや。もうなんでもいいんだい。
4月になって急に仕事が増えてきて、どうもお疲れ気味。トボトボと帰る。真っ直ぐ帰るつもりであったが、通りかかった旭屋で「考える人」の最新号を買ってしまう。特集は「クラシック音楽と本さえあれば」。1400円。高い。「考える人」って売れているんだろうか。たぶん売れてないと思う。パラパラめくる。堀江敏幸がだんだん太ってきているようなのが気にかかる。運動不足なんではないかしら。 カウンターで「ちくま」と「図書」の4月号をもらう。
帰宅して、宅配野菜の整理。久々にナメクジつきのほうれん草が入ってきた。2匹いた。シンクのところでなまめかしくクネクネと動いておるのをしばし眺める。身をよじらせているのが「かわいい」と思ってしまうのが自分でもなんかフシギだ。でも最終的には塩をふりかけて、死んでもらうのだが。
夜、フェラ・クティを聴く。就寝時間は忘れた。
・購入物:「考える人」2005年春号(新潮社)
・朝食:バタートースト、りんご、ヨーグルト、珈琲 昼食:お弁当(ピーマンのキンピラ、ハム入り卵やき、キンピラゴボウ、ごはん) 夕食:ニラと豚肉の辛味炒め、ほうれん草のゴマ和え、新じゃがいもとトマトのサラダ、冷奴、ごはん、麦酒
2005年04月03日(日) |
追いつけそうで追いつけない日々 |
終日、家とその周辺でゴロゴロ。野球に文楽と連日出歩いていたせいか、どことなく身体の芯のあたりが疲れてて、絶対街中へは出て行きたくなかった。あたたかく、風がそよそよと心地いい日曜日、本日おこなったことなど。
午前10時30分起床。冷蔵庫、冷凍庫と食料庫をあら探しして、適当に朝ご飯をこしらえる。ワカメは賞味期限がはるか以前に切れているようだったけれど、問題ないとみて食べる。やっぱり問題なかった。リトルテンポ、ンデゲオチェロ、「永遠のモータウン」のサントラを順々に聞く。今週私が見たほとんどの風景には、これらの音楽がバックに流れていたなあ、と思う。 食器の後片付け、カンタンな掃除、それから本の整理。ダブっているものやもう読まなくなった本や雑誌を先日Tが職場に持って行き、『欲しい人はどうぞ』と書いて置いておいたら、けっこう喜ばれたようでほとんどはけたらしいので、これに味をしめてまた要らない本をピックアップしていく。古本屋さんに売って少ない金にかえるよりも、知っている人にもらってもらうほうが楽しいような気がする。概ね好評だったけれども、谷沢永一の「紙つぶて」とか「夢声戦争日記」は誰も持っていかなかったようなので、今回は川上弘美や斉藤美奈子などの売れ筋と、スタジオボイスやスイッチなどの雑誌を中心にする。良い人にもらわれてくれればいいのだが。
夕方近くにキンピラゴボウを作り、食材が足りないのでスーパーに買いに行った。ついでに、本棚のスペースも空いたことだし、と、「古本市場」で本を漁ってみる。全て100円か200円ほど。「おべんとう」を特集した分厚い雑誌は300円したが、美味しそうだし無理なく作れそうな献立だったので買ってみた。私は料理本をほとんど参考にしないし、自分のやりたいようにしかやらないタイプなので、たぶんあんまり役に立たないとは思うけど。 古本屋さんを出る頃から灰色の不吉な雲が出てきはじめ、スーパーにたどり着く頃には嵐一歩手前、という感じの暗い空になっていた。駐輪場に自転車を止めている時、目の前の空一帯に、カメラのフラッシュが一斉にたかれたような、目をあけていられないほどの閃光が走って次の瞬間、バキバキガロガロドドドドン、と大音量で雷が鳴った。近年稀に見る大きい雷だった。隣で自転車の鍵をいじくっていたオバちゃんが、雷に負けないような大声で、ギャアアアアア、と叫びまくったのでビックリした。駐輪場にいる人も、スーパーの客も店員も、オジサンもオバサンもヤンキーも子どももみんな騒然として、怖かったね怖かったねどこかに落ちたのかもねどこに落ちたんだろうね、と顔を見あわせて言い合っており、おそろしい出来事を一緒に体験した連帯感、みたいなものが生まれていて微笑ましかった。
夜はラジオを聴きつつ読書。「バラカン・ビート」と「ワールドミュージックタイム」を聴く。本は図書館で借りてきた本を中心に、町田康のいくつかの作品をパラパラと読み返す。一昨日かその前、読み終えた「告白」は、面白くやがて哀しい小説で、大変堪能した。
お風呂に入って、アイロンかけ。ニュースで阪神タイガースが2連勝したことを知る。私が観に行った時だけあんなしょうもない試合をしやがってクソー、としばし憤る。が、すぐ忘れる。その後、寝る前にチラシを整理していたら、古書会館で行われてた古書展が今日までで終り、結局行きそびれたことに気づく。あらら。観たい映画と行きたい展覧会、古書市の日程を手帖にメモして、就寝。
・購入物:獅子文六「悦ちゃん」(角川文庫) 庄司薫「ぼくの大好きな青ひげ」(中公文庫) 辻邦生「睡蓮の午後」(福武文庫) 若桑みどり「女性画家列伝」(岩波新書) 別冊MINE「おべんとう365日」(講談社) すべて古書
・朝食兼昼食:豚キムチ、葉玉ねぎとカツオのサラダ、わかめとネギのみそ汁、ごはん 夕食:きずし(鯖)、キンピラゴボウ、小松菜と揚げの炊きあわせ、冷奴、焼酎お湯割、ごはん
2005年04月02日(土) |
眼鏡と文楽、豆乳と市場 |
ずいぶん前に起こったことのような気がする、土曜日のできごと。
終日、文楽鑑賞の予定だった。張り切って公演初日のチケットを取った。楽しみにしていた。でもあるトラブル、というか、失敗、というかなんというか、があって、11時の開演に間に合わなかった。ショックだった。トホホな気分だった。 劇場に着いたのは1時30分ころで、結局「伽羅先代萩」を見逃した。また住太夫さんを聞き逃した。なんたる悲劇。昨夜夜更かししたことと、朝からのバタバタが災いしてか、「傾城反魂香」ではウトウト居眠り、夢と現を行ったり来たり、ほとんど覚えがない。これまた悲劇。次の「道成寺入相花王」はちゃんと観た。彼氏に逃げられた清姫が嫉妬に狂い、蛇身となって川を越えて男を追いかけていく話。コワイね。逃げた男のことはあっさり忘れたほうがいいよ、誰しも必ず「次」というものがあるんだからね、と思うが、まあそんなこと言ってたら浄瑠璃なんて成り立たないし、観ていられない。
一部と二部の間に、一階の展示室で「文楽ポスター展」を観て、黒門市場を見て回る。店先でコップ一杯60円で豆乳を飲ませてくれる豆腐屋があり、豆乳はあまり好きではないのだが、試しに飲んでみる。豆腐を砕いて液体にしただけ、という感じ。液体豆腐だ。豆乳ってこんなんか。近所のオジサンや買物帰りのオバちゃんがふらりと現れて一杯グイッと飲んでいく。実にカジュアルだ。カジュアル豆乳。 豆乳を飲んでいたら、『美しき天然』を鳴らしながら次郎長ルックのチンドン屋さんが来て、新装開店した喫茶店のチラシをくれた。 千日前通りのパン屋で、幕間に食べるパンを調達しておく。
引き続き、二部を見る。「楠昔噺」は、楠木正成と宇都宮公綱がどうたらこうたらというような時代物で、けっこう話が複雑。予備知識なく、人間関係を理解するのに時間がかかる。途中から公綱の妻、照葉を遣っている勘十郎さんの顔しか見ていなかった。最後に「艶容女舞衣」を観る。夫の浮気、出奔、他の女との間にできた子どもを押し付けられても、私は悪い女房でした、とかなんとか言って、じっと耐える健気な女、お園を遣う文雀が艶やかでやっぱり素晴らしい。耐える女は好きではないが。でもそんなこと言ってたら浄瑠璃なんて…、以下同文。
家に帰り着くと、Tに、これどうしたん、と言って、テーブルの上に投げ置いてあった、フレームが割れツルのところが折れている、見るも無残な私の眼鏡を指し示される。今朝、私が踏み潰したのだった。リビングの絨毯の上で。文楽鑑賞の直前に。1本しかない眼鏡を。思いっきり。足の下で、ベキッと、不吉な音がした時は、あー、と思った。ただ、あー、と、うめきのような声。 眼鏡がないと、観劇や映画、展覧会、読書の時、ああそれから忘れてた仕事をする際にもけっこうキツイので、意を決して近所の眼鏡屋で急遽新しいのを作ってもらった。だから開演に遅刻してしまったのだった。こんなにバタバタと眼鏡を新調するつもりはなかったのに、ものすごく不本意。
毎日なんかいろいろある。取るに足らないような細かくイジイジとした出来事がほとんどだけどでも、なんか人生ってドラマだわ、と思ったりもする。
・購入物:文楽4月公演プログラム
・朝食:バタートースト、バナナ、甘夏みかん、珈琲 昼食:眼鏡の出来上がりを待ちながら家でうどんを食べた 夕食:幕間に。ピロシキ、くるみパン、ドーナツ、珈琲 帰宅後、鮭茶漬け
2005年04月01日(金) |
そして、ベースボール |
大阪ドームに開幕戦を観に行った。阪神ヤクルト戦。友人が彼氏から半ば強引にチケットを巻き上げてきてくれた。セ・リーグの開幕戦を球場でみるのは初めて。阪急と近鉄の開幕戦は昔、西宮球場で観た記憶がある。考えてみれば、この二つの球団も、そして球場も、今はもうないのだ。
ミーハーに始球式とかも見てみたかったが、お互い仕事がおして間に合わず。席についたのは3回の表くらいで、阪神が一点リードされていた。一塁側内野指定席上段、ビールを飲みつつ、ポップコーン片手に、メガホンも持たず、風船も飛ばさず、無駄話をしながら、ダラダラと観戦。 綺麗なこと以外に何の芸もないようなタレントが始球式をする愚について、友人と話している間に金本がセンターに特大のホームランを打って、まあそこまではよかったが、その他は拙攻につぐ拙攻、パカパカパカパカとフライばっかり打ち上げて一体何を考えてんだと思うし、それに加えて井川がピリッとしないこと甚だしく、2アウトからフォアボールとか死球とか出しちゃったりして全くアカン奴で、何回だったか忘れたけれど、よりによってラミレスなんかにスリーランを打たれてしまい、はっきり言って阪神のボロ負けであった。まあいいけど。
球場近くの飲み屋で飲み直し。0時まで。隣の席に座った会社帰りのおじさんふたり連れと仲良くなり、会社と家庭の愚痴を聞いてあげたら、ビールを2杯づつご馳走してくれ、友人は松嶋奈々子に、私は熊谷真美にそっくりだ、と言われる。大方ずいぶん酔っていて、目が悪くなっていたんだろう。
夜中に帰宅。風呂に入って、「一冊の本」を半分くらい読んでから就寝。
・購入物:なし
・朝食:バタートースト、珈琲、バナナ 昼食:家族亭にて。天ざるそば 夕食:球場で。麦酒2杯、ポップコーン。 居酒屋で。えのきポン酢、寿司(サーモン、ひらめ、マグロ)、蓮根まんじゅう、するめ天、豆腐サラダ、牡蠣フライ、麦酒2杯、焼酎3杯
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