昨日・今日・明日
壱カ月|昨日|明日
ウウウ、アアア、ウウウー、という奇声で目覚める。何事かいな、と思うとTが寝言を言っているのであった。面白いので放っておくと、どんどん声が大きくなり、アーアー、と大声で叫び出したので怖くなって揺り起こす。ドラッグ漬けにされる夢を見ていたのだとか。映画の観すぎじゃないだろうか。すごいウワゴトだったよ、と言うと、おお「狂人日記」みたいだ!、と喜んでいた。喜ぶようなことでもない。
終業後、フラフラと旭屋へ。「みすず」の最新号が出てないかとチェックに行ったのだがまだであった。「一冊の本」をもらう。旭屋の隣の老舗肉屋「やまたけ」で、牛肉200g購入。会社の駐輪場まで戻る途中、下からつき上げるような冷たい突風が吹いて、自転車に乗って帰るのがホトホト嫌になった。今日は夜からきつく冷え込んできた。道行く人は身をかがめるようにして歩いている。 通りがかりの天神橋商店街へ。恒例の古本屋さんめぐり。今日は野口冨士男の「誄歌」を買う。「ルイカ」と読むらしい。小栗風葉という明治の文人について書かれた評伝のようなもの。小栗風葉って誰だ?野口冨士男はいろんなところからいろんな人を引っ張ってくるな。
帰宅して宅配野菜の整理。野菜が品薄状態らしく、いつもは10品目入ってくるはずが今日は8品目であった。頼んでいた蜜柑も入荷がなかったそうで、残念。冬蜜柑が出回る時期ももう終わりだ。季節はどんどん進んでいくんだな。 「やまたけ」の牛肉は、店で一番安い値段のもの買ったんだけど、柔らかくて美味しかった。これから贔屓にしよう。
夜。「一冊の本」を熟読。金井美恵子が住太夫による浄瑠璃「加賀見山旧錦絵」を初めて聴いて、『いかにも軽くて、ノリが「ガラス仮面」風』、と書いていて、確かに住太夫さんってそういうとこあるかも知れないと思い、ちょっと可笑しかった。「そういうとこ」が好きでもあるんだけど。それから、義太夫などというものが自分の生活に入ってくるとは夢にも思わなかった、人生は本当に何が起こるかわからないものだ、というようなことも書いていて、それは全くその通りだ。
入浴後、久々にペソアを読みながら就寝。 ・購入物:野口冨士男「誄歌」(河出書房新社)古書
・朝食:黒糖ロール、ホットミルク、バナナ 昼食:お弁当(キンピラゴボウ、水菜と春菊のゴマ和え、卵焼き、ごはん、大根菜のふりかけ) 夕食:牛肉のトウバンジャン焼、小松菜とベビーリーフのサラダ、大根と人参の味噌汁、山芋とろろ、麦酒、大根菜のふりかけ、ごはん
くもり時々晴れ。気温は昨日と比べると10度近く下がったらしい。確かに寒いけれど震えあがるほどではない。風は冷たし。空気が乾燥しているせいか、洗濯物はよく乾いた。 以下、本日の出来事、のようなもの。
午前中。 Tが7時30分には出勤せねばならぬというので、付き合って6時に起床。白々と夜が明ける頃、朝ご飯。水菜をバシバシ切ってサラダを作る。その後、入浴、続けてお風呂掃除。新聞を熟読してから、日記を書いて、部屋の掃除と洗濯、玄関の水拭き。本棚整理に時間を取られる。もうどう収めてよいものやら皆目わからない。お腹が空いたので途中で止める。
午後。 余ったキャベツで塩焼きそばを作る。たいして美味しくない。晩ごはんのために大根を煮はじめる。それから常備菜作り。大根菜のふりかけとキンピラゴボウ、水菜と春菊のゴマ和え。料理をしながらチラチラと「大阪女子マラソン」を観る。トップが大阪城に差し掛かった時にバックにアルフィーの曲を流すことの是非について、関西テレビは真剣に検討しなければならない時期に来たと思うのだがどうでしょう。歌詞に中味がなさ過ぎる。空洞だ。 自転車に乗って家賃を持っていく。大家さんが播磨屋のおせんべいをくれた。そのまま買物にいくつもりで自転車をこいでいたら、バチッ!と大きな音がして、後輪ブレーキのワイヤーがレバーから外れた。なんでや。原因不明。この自転車がなぜ次から次へと災難に見舞われるのかわからない。ブレーキがきかないと危険だと思われるので、修理に持っていく。直してもらっている間、近くのブックオフで古本を見る。野呂邦暢の文春文庫版「草のつるぎ」。続編が収録されているとのこと、これは読んだことがないので楽しみ。野坂昭如とあわせて2冊で210円(税込み)。嬉しい。自転車修理代、735円(税込み)とられる。悔しい。
夕方。 「笹塚日記」を読みながらうとうと。5時から7時まで寝てしまう。寝ているうちに外は真っ暗闇。無性にさみしい。ポッコリと時間が抜け落ちた。Tが帰ってきたので、「日曜美術館」を見ながら晩ご飯。味をしめて、また「焼きお揚げ」を作って食べた。
夜。 たまっている映画チラシの整理。アメリカ、ヨーロッパ、日本、アジア、特集上映、とわけて、ファイルしていく。こんなことに何の意味があるのだろう。楽しいけど。見逃した映画をピックアップしてメモっとく。これから観たい映画もメモ。 グラム・パーソンズを聴く。
夜中。 入浴後、布団の中で金井美恵子「噂の娘」を読み始める。午前1時前、就寝。
・購入物:野呂邦暢「草のつるぎ」(文春文庫) 古書 野坂昭如「一九四五・夏・神戸」(中公文庫) 古書
・朝食:カボチャとレーズンのパン、水菜のサラダ、珈琲 昼食:キャベツの塩焼きそば、麦酒 夕食:ふろふき大根、白菜と豚肉の蒸し煮、焼きお揚げ、焼酎お湯割り、ごはん
2005年01月29日(土) |
月が、いつまでも明るくて |
昨日にまして暖かい日。夕方までは晴れ時々くもり、夜に時雨れる。 午前中は家でゴロゴロ、洋服の整理、アイロンかけ、台所の掃除などする。電話帳の交換と、久々に新聞の購読勧誘の人が訪れた。新聞の勧誘は、わたし新聞紙アレルギーなんです、触ると蕁麻疹が出るんです、と言って追い帰す。これを言うと、だいたいの人は変な顔して黙って帰る。
午後からひとりでブラブラおでかけ。自転車で梅田まで出てドトールでお昼を食べてから、北新地駅から東西線に乗って伊丹まで行き、伊丹市立美術館で「ジャック・カロ版画展」を観た。伊丹の美術館に行くのは初めて。街中にあるとは思えない静けさと、庭の見えるロビーが落ち着く。 ジャック・カロは、聖職者になれという父の命令を振り切って、芸術の道に邁進した人らしい。版画はどれも細部までみっちり描きこまれてて、実に見事。貴族も乞食も、役者も兵士も、みな生き生きしている。作品がみな小さいので、顔を近づけて覗き込むようにして観る。 同時開催している、ゴヤの版画がこれまた凄い。圧倒される。ジャック・カロの影響をうけて創作された『戦争の惨禍』の作品群は、戦争に対する、ゴヤのすさまじい怒りの表現だ。オレはメチャメチャに怒っているぞ!、というのがビンビン伝わる。来場者がほとんどいなくて、空いていてゆっくりまわれるのはいいんだけれど、こういう渾身の作品をもっと多くの人に観て欲しいとも思う。 下の柿衛文庫で「短冊の美」という展示も観ていく。武原はんによる、『舞』という字が良い。凛々しい一文字。島村抱月は薄い色の短冊に『愛惜之心』と書いていて、これも儚いような字でステキだ。横には松井須磨子に手による短冊もあって、どこまでいってもこの二人はワンセットだなあ。 伊丹美術館は、フラッと来てみただけだったのに、なんか大いに堪能してしまった。
阪急電車で大阪に戻り、「i feel」を買うため梅田の紀伊国屋に入ってみるが、あまりの人の多さに頭に来てすぐ出てしまい、テクテク堂島まで歩いて、ジュンク堂で3冊本を買う。 第3ビルの前に置きっぱなしにしていた自転車に乗って、天神橋筋商店街へ。明日は定休日なので安くしとくよ、と八百屋のお兄ちゃんが言うので、小松菜と九条ネギ、水菜とトマトを買った。それから天牛書店で古本を見る。「島尾敏雄事典」で知って欲しかった「島尾敏雄による島尾敏雄」を380円で、同じシリーズの吉行淳之介版も同じ値段で見つけて、2冊とも購入。写真もふんだんに収録されてて、お買い得であった。 京橋の紀伊国屋で無事「i feel」も手に入れて、カレーを食べて帰る。カレー屋のおばちゃんが、「明日から近年にない、ものすごい寒波がくるんやて!」と言ってたがホントかな。「車も電車も飛行機も、全部止まってしまえばいい!」などとも言っていた。おばちゃんは、世の中に何か恨みでもあるのだろうか。
夜。買ってきた本をどれもパラパラと読む。島尾敏雄の文章はどれもカッコいいな。
・購入物:池澤夏樹「世界文学を読みほどく・スタンダールからピンチョンまで」(新潮選書) 目黒孝二「笹塚日記・うたた寝編」(本の雑誌社) 大塚英志「戦後民主主義のリハビリテーション」(角川文庫) 「i feel」冬号(紀伊国屋書店) ここまで新刊 吉行淳之介「吉行淳之介による吉行淳之介」(青銅社)ここから古書 島尾敏雄「島尾敏雄による島尾敏雄」(青銅社)
・朝食:卵とじうどん、りんご 昼食:ドトールにて。チェダーチーズとツナのホットサンド、珈琲 夕食:印度屋にて。厚切り牛肉にポテトと玉ねぎをトッピングしたカレー
2005年01月28日(金) |
I put a spell on you |
晴れて暖かい、春のような一日。そのせいか今日はちゃんと6時30分に起きられた。今朝の音楽はスクリーミン・ジェイ・ホーキンズの『Cow fingers and mosquito pie』。昔、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を観た後、大急ぎで京都BALの地下にあったヴァージンに買いに行ったアルバムだ。このヴァージンも今はもうない。
午前中は会社を休んで、保育所に絵本を読みに行く。私は仕事を持っているので(まあ一応)、平日は活動しないことにしているのだが、人手不足で駆り出された。Iさんに頼まれて断れなかった。ノーと言えない私。 絵本を読み終わった後、少しだけ子どもたちと遊ぶ。プチプチしたほっぺたの、マシュマロみたいな女の子と‘あやとり’をした。プニュプニュの指をくねらせて器用に『ほうき』と『タワー』を作ってくれた。懐かしくて感動した。‘あやとり’好きなんだ、と聞いたら、エヘヘと笑って、おばあちゃんに教えてもらってん、と言ってた。私もおばあちゃんとよく‘あやとり’したなあ、と思い出すと本当に懐かしくて泣きそうになってどうしようかと思った。光景がダブってシンクロする。こんなに時間が経ってもちゃんと、おばあちゃんの手の温もりや匂いや声をしっかりと覚えているものなんだ。それから一日何となく、懐かしい私の‘あやとり’のことを考えていた。
午後から会社に戻る。けっこうヒマで、もう今日は休みにしてしまえばよかったなあ、とちょっと後悔。終業後は荷物が重かったので、まっすぐ家へ帰った。 晩ごはんを作っていると、通販で頼んでおいた愛用のシャンプーと、「みつばちトート」が届いた。持ち手長目のMサイズ。トートバッグ好きなので嬉しい。 庄野潤三の本に書いてあった「焼きお揚げ」というのを作ってみる。薄揚げの中に刻んだネギを入れて両面を焼いたもの。本にはこれに「出し」をかける、と書いてあるのだが、この「出し」というのがどんなもんなのかわからず、自分で作った「だし醤油」をかけてみる。オイチイ。
リビングで「暮しの手帖」と「鏡の迷路」を読みながらカーペットの上でウトウト、1時頃まで寝てしまう。こんなことしてたら絶対風邪ひいちゃうなあ。風呂に入ってお布団でちゃんと寝直し。 つらつら考えてみるに、このところゆっくり本屋さんに行ってないような気がするな。明日は行こう、絶対行こうと心に決めて寝る。 ・購入物:なし
・朝食:バタートースト、珈琲、ヨーグルト 昼食:お弁当(焼き鮭、ネギ卵焼き、キュウリとジャコの酢の物、ごはん) 夕食:肉じゃが、焼きお揚げ、小松菜と人参の辛子和え、麦酒、ごはん
目を覚ましたら午前7時20分だった。遅い。お弁当作るの、今日は時間がなくて無理だ。眠くて頭がまわらず、いいやもう弁当なんかどうだって…、という気分。洗濯物だけは干して出かける。
本日の出来事、その他。 午後、出張中のNさんの代わりに、神戸のU氏のところへ行き資料を引き取って、それを心斎橋の某社に届ける、ということをする。おつかい、だ。神戸のU氏に会うのは初めてなので名刺交換をする。Nさんから大人しい人だと聞いてはいたがそれは本当で、挨拶をした後は下を向いたまま、私の馬鹿話に相槌をうつ以外はほとんど喋らなかった。男の人だけど、私より背が低くコロコロと太っていて、茶色のセーターに茶色のコーデュロイのパンツをはいていたから、どことなくドングリのようだと思った。 通りいっぺんの挨拶だけして帰ろうとすると今までは押し黙っていたU氏が、駅まで車で送ります、と言い出して、歩けるからいいと断ったのだが、いいえ送ります、と強引に言い張るので面食らった。車に乗るとまたダンマリが始まり、さすがに私ももう話すことがなくなって、しばしボーとする。王子公園の近くに差し掛かった時、ここらあたりが王子動物園なんですよね、と話題を振ってみるとU氏は、「ええ。動物がいっぱいいますよ」と車に乗ってから初めて口をきき、「今から行ってみますか?」と言われたのでまたまた面食らってしまった。案外面白い人なのかもしれない。 駅前で降ろしてもらい、梅田に戻って今度は地下鉄へ。『平日の昼間は終日女性専用』と書いてある車両に乗ったはずなのに、乗ってくるのはオッサンばかりであった。フシギ。
神戸への往復で庄野潤三の『せきれい』を読んでしまった。この『せきれい』の中に、小沼丹が亡くなるところがある。亡くなって、在りし日の小沼丹を偲ぶくだりが幾度か出てくる。バラを育てておられる清水さんはご健在ではあるのだが、次作か次々作かの『庭のつるばら』でこの人も亡くなることを、私は読んでもう知っている。庄野潤三を読んでいて、ああ痛いなあ、と思う時は多々あるが、これらの場面はその最たるものだ。それから、「シアワセ」とは点のようなものだなあ、と思う。点のように散らばっているのだな、と。
少々残業ののち、どこへも寄らずまっすぐ帰宅。冷蔵庫にあるもので水炊き鍋をした。夜、オシビサを聴く。
・購入物:なし
・朝食:バタートースト、珈琲、バナナ 昼食:ベーコンとレタスをはさんだベーグル、オレンジ半分、珈琲 夕食:豚肉と水菜のハリハリ鍋(大根、白菜、えのき、しめじ、豆腐、油揚げ、ちょこっとだけ鶏肉、なども入れて、ぽん酢で食べる。最後にうどん)、麦酒
午前7時起床。うすぐもり。昨夜、お弁当用のお米を研ぐのを忘れたので、ゆで卵をつぶしてマヨネーズで和えたものを食パンに挟んだ、たまごサンドイッチを作って持っていく。美味しそ。早くお昼にならないかなあ、と考えながら地下鉄で出勤。どこまでも暢気だ。 車内では吉田喜重の「見ることのアナーキズム」を読む。 『見るという行為はそれ自体どこまで行っても見果てることのない錯覚の延長だ』
夜、友人と呑みに行く。人と会って話すより、家で自分の作ったごはんを食べて、心静かに本を読みたい気分だったのだが、先週から約束してたのでまあ仕方ない。友人は会うなり、安いとこ行こう安いとこ、と毎度おなじみのセリフを口にして、今日は5000円しかお金がないからそのつもりで呑んでな、と言い渡される。5000円もあれば上等じゃないか、今日はとにかく一人3000円を目標にしよう、少なくとも絶対3000円台に抑えるようにしようね!、と誓いあったのだが、呑んでるうちに予算のことなど吹っ飛んでしまって、結局4500円ほど払うはめになった。アカンなあ。 年末年始からここ数週間にかけて友人の身の上に起こった出来事の顛末を聞いて、仕事の話や家族の話をし、私たちのこれから先はどうなるのでしょうねえ、というこれまた毎度おなじみなため息をついて別れた。 帰り道自転車をこぎながら、私は何がしたいんやろう、と考える。最終的にどうなることが私の理想形なんだろう。例えば10年前なら、その理想形がスラスラと口をついて流れ出てきたような気がする。でも今は靄がかかったみたいに見えなくなっている。10年前に見えたものが今見えなくなるなんて、考えもしなかった。一体どこに向かってるんだろう。それに、第一ここはどこなんだ? 午前0時半頃帰宅。お風呂に入って、夕方友人と会う前に天神橋筋商店街の古本屋さんで買った「鏡の迷路」を少しだけ読んだ。
・購入物:加藤幹郎「鏡の迷路・映画分類学序説」(みすず書房) 古書
・朝食:バケット、クリームチーズ、ヨーグルト、珈琲 昼食:お弁当(たまごサンドイッチ、ジャガイモと人参のサラダ、ミニトマト、ミルクティ) 夕食:焼き鳥屋にて。つくね、ナンコツ、ほたて、シシトウ、銀杏、ササミのタタキ、鶏皮のパリパリサラダ、焼いた鶏モモにタイ風っぽいソースをかけたやつ、生ビール3杯と焼酎水割り5〜6杯
やり残した仕事をこなすため、早目に出勤。そのせいか今日は一日長かった。午後からはわりとヒマだったこともあって、時間が亀の歩み。昼過ぎから曇ってきて、夕方にはシトシト雨に。危機管理能力ゼロの私は本日も傘を持っておらずしばし途方に暮れるが、いつも仲良くしているビルの管理人のオジサンが誰かが忘れていったという黒い傘を貸してくれて、事なきを得た。よかったよかった。
というわけで、終業後はしばし街をうろうろ。以下、買ったもの。 旭屋にて『暮しの手帖』の最新号を。『暮しの手帖』を毎号買うつもりはないんだけれど、立ち読みしてみたところ潮田登久子さんによる美しい手袋の写真が数枚載っていて、ついつい手が伸びてしまった。それから、いつもタダでもらっていた集英社の『青春と読書』がわたくしに何の断りもなくいつのまにか有料になっていて、レジで「90円戴きます」といわれたので本当にビックリした。知らずに万引きしてしまうところであった。お金を出してまで読む気はないので、『青春と読書』は返却してきた。 テクテク歩いてかっぱ横丁で古本を数冊。島尾敏雄の旺文社文庫版短編集『出発は遂に訪れず』は司修の挿絵が数枚載っている。他の短編集その他で読んでいる小説も多々収録されているが、司修の絵のために買った。竹西寛子と『街の古本屋入門』は100円。 またテクテクと歩いて、テアトルでジム・ジャームッシュ『コーヒー&シガレッツ』の前売り券を。映画タイトルの入ったライターをくれた。2枚買ったので黒と白のふたつをもらう。チラシ等のデザインが少々ダサいようで残念であるが、今一番公開が楽しみな映画であることは間違いない。チラシの裏に『人生はコーヒーとタバコに集約されるの?』と書いてある。集約されるんです!、と強く思う。 さらにテクテクと歩いて、タワーでオシビサのCDを買う。こないだピーター・バラカンのラジオでかかって、カッコエエー、と思ったのはこれだった、オシビサ。ネットで調べたらわかった。ファーストとセカンドアルバムの2in1。これもジャケットデザインがイマイチなのが難点である。 成城石井で牛乳とヨーグルト、クックハウスで明朝に食べるパンを。雨が降っていることを理由にバスにて帰る。あー、疲れた。
夜。図書館で借りた柴崎友香『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』を読了。柴崎友香は『ウフ』の連載で『フルタイムライフ』を初回から最終回まで全部読んで、良かったので他の作品も読んでみる気になった。目線と心が同時に動いていく感じが好きだ。
今日で文楽公演終わっちゃった。とうとう「伊賀越道中双六」を見逃した。無念なり。
・購入物:「暮しの手帖」14号(暮しの手帖社) 竹西寛子「往還の記」(中公文庫) ここから古書 志多三郎「街の古本屋入門」(光文社文庫) 島尾敏雄「出発は遂に訪れず」(旺文社文庫) OSIBISA「osibisa+woyaya」(VSCD) これはCD
・朝食:クロワッサン、カフェオレ、ヨーグルト 昼食:お弁当(豚のしょうが焼、ニラ卵、ミニトマト、ごはん) 夕食:鯖の塩焼き、大根の味噌汁、蒸しキャベツのサラダ、湯豆腐、焼酎お湯割、紀ノ川漬、ごはん
2005年01月24日(月) |
もったいないもったいない |
バタバタと仕事を片付けて、ホントは片付いてないけど無理矢理片付いたことにして、自転車をビュンビュン飛ばして、映画を観るため九条まで行った。商店街を抜けたところにある「ピンポンパン」というパン屋さんで、メロンパンを買って行く。大阪ドームに続く商店街は、もう『バファロード』ではなくなった。それを思うとやっぱり辛いような気持ちになる。仰木監督のポスターがあちこちに貼ってあるけれど、スーツを着てサングラスをはめたその姿は、野球チームの監督というよりもどうみても「仁義なき戦い」の世界の人のようだ。いいのだろうか。
シネ・ヌーヴォで美術ドキュメンタリー『オランダの光』を観た。というか、観たような気がする。レンブラントの絵がとても好きで、レンブラントの絵に描かれている「あの光」の秘密のようなものがスクリーンでも観られるのなら、と思い、前々から楽しみにしていたのだが、いざ映画が始まって、水平線の彼方にユラユラと揺れてゆっくり移動していく「その光」を観ているうち、ズルリズルリと夢の世界に引き込まれてしまい、まあ要するに、上映時間の3分の2くらいは寝てしまった。だから、何が何やらさっぱりわかっていない。せっかく急いで映画館に行ったのに。なんで私ってこうマヌケなんだろう。
自転車にまたがってフラフラと帰途につく。何をしていることやらわからん。食料を仕入れて自宅へ戻り、宅配野菜の整理。朝に残していった洗い物をし、ニラを切って豚肉に下味をつけて米を研いでお弁当の準備をし、洗濯物を入れてたたんで仕舞う。ああ疲れる。 朝日の夕刊「夕陽妄語」で加藤周一がアンゲロプロスの新作『エレニの旅』について書いている。この人もう観たんだ、いいなあ、幸せな人もあったもんだ。
夜中。「シンセミア」を読了。やっとだよ。 何かに取り憑かれてしまった人々の物語であった。ある者は少女に、ある者は復讐に、ある者は盗撮に、ある者は未亡人に、ある者は妻に、ある者は夫への憎しみに、ある者は性欲に、ある者は恋に、ある者は金に、ある者は嫉妬に、ある者は宇宙人に、ある者は噂話に、ある者はドラッグに、ある者は権力に。欲望に突き動かされてひたむきに直走らざるを得なかった人々が巻き起こす、悲劇のような喜劇のようなもの。でもみんなそうかも。取り憑かれてない人なんていないのかも。阿部和重は映像の人だな。ラストあたりは特にそう感じる。ところどころ難もあったが、面白かったです。
・購入物:なし
・朝食:マスタードをぬってレタスとハムをはさんだロールパン、珈琲、ヨーグルト 昼食:お弁当(昨夜の残りのすき焼きの卵とじ、人参サラダ、ごはん) 夕食:外食、王将で。焼きそばと餃子と麦酒
10時すぎに目を覚ます。十分寝たはずなのにまだ眠い。なんでこんなに眠いんだろう。昨夜お酒を飲みすぎたせいか頭がずっしりと重く、動くのが億劫だ。空は低く雲が垂れ込めているすっきりしない天気で、これも気分が晴れない原因かも。 今日は映画を観に行くか、はたまた京都でいくつか写真展を観るか、こないだ見損ねた文楽の「伊賀越道中双六」に再挑戦するか、いろいろと計画を練っていたのに、それなりな服を着て化粧をして人ごみに出かけるということがとてつもなく大仕事に思えてきて、結局ダラダラと時をやり過ごしてしまった。
ノロノロと起きてパンを食べてたら、むさ苦しい男3人も起きてきて腹が減っただの何だのと言うので、「サッポロ一番味噌ラーメン」の上に豚キムチ炒めをのせてネギを大量にかけたデタラメラーメンを作って出したら、美味しい美味しいと貪り食べていた。食べるだけ食べて二人が帰っていってから、山下達郎のラジオを聴きつつ、意を決して掃除機をかける。家中の窓を開け放ち、布団を干して、拭き掃除を淡々とこなした。 晩ご飯の買物をしがてら、近所の本屋さんに寄って、その後、古本屋さんめぐり。本屋さんでは前々から欲しかったアレン・セイの絵本を、古本屋さんでは均一台から映画関連の新書と文庫を一冊づつ買った。 アレン・セイの「おじいさんの旅」は、日本で生まれてやがてアメリカに渡ったアレン・セイの祖父のことについて描かれた絵本。どこにいてもここではないどこかを夢想したおじいさんの半生が、やさしい色彩で丹精こめて描かれていて、読むたび胸がキューンとしてしまう。 夕方には何十年ぶりかにFMで松任谷由実の番組を聞いたり(ゲストがハナレグミだった)、夜には地の果てで喋っているような暗ーい声が妙に好きな北中正和の番組を聞いたりして、部屋では一日中ラジオをかけていた。 ラジオを聴きながら、本棚の前で絵本をたくさん読み返した。
来週こそ、今日やりたくてできなかったこと、見たくて見られなかったもの、行きたくて行けなかったところ、全部を何とか叶えたいなあ、と思いつつ、日記を書いて就寝。
・購入物:アレン・セイ「おじいさんの旅」(ほるぷ出版) 衣笠貞之助「わが映画の青春」(中公新書)古書 内藤誠「映画百年の事件簿」(角川文庫)古書
・朝、昼食:バタートースト、珈琲、ヨーグルト 夕食:すき焼き(牛肉で!)、麦酒
2005年01月22日(土) |
just a moment,please |
午前7時に起床、するつもりが、連日連夜の夜更かしがひびいてか起きられず、布団の中にもぐり込んでしまう。かけっぱなしにしてたラジオからは、何やら格好いい音楽が流れてきてはいたが、頭半分は夢の中なので曲名その他まではチェックできず。結局10時半くらいまでウダウダとしてしまった。
朝ごはんを食べてからしばしボケラーとし、面倒くさいにもほどがあるけれど今日は何としてもアレをやりにいかなきゃな、と重量級に重い腰をあげる。アレとは募金集めのこと。今週末中に集めて会計へ持っていくように町内会長から言われていたのだった。 何軒かは留守だったり追い返されたりしたが、だいたいは集められた。 最後に裏のおばあちゃんのところに行ったら、まあ上がりなさいな、と家の中に招じられ、「私、来月91歳になるんよ、主人はなあ、戦争で亡くしてますねん」という例のやつが始まった。それはもうこないだから何回も聞いたよー、と心で叫びつつ、表面上は、はあ、と言っておく。それからはおばあちゃんの独演会で、まあ喋る喋る、ぺらぺらぺらぺら30分ほど喋りっ放しで、私はこのまま家に帰れないんではないかと、ちょっと空恐ろしいような気がした。旦那が21、おばあちゃんが23歳の時に結婚したが(おっ、姉さん女房やん)、兵隊にとられたのが旦那さんが24歳になるかならずの時でそのまま戦死してしまったから3年しか添えなんだ(うーん、そうか…)、あの人が亡くなってから私はずっと後家さんなんよ、縁談もなかったわけやないで、けっこう話もあったんやけど、是非是非ほしいという人もあったけど(しつこいな)、やっぱり主人がエエワー、背も高くて優しい人で男前やったんよ(ノロケかよ)、子どもは女が2人、男が3人、合計5人できたけど(?、3年の結婚生活で5人も子どもが出来るのか?)、腹を痛めた子どもでもアカンヨー、冷たいもんや、私のコレ(人指し指と親指で○をつくる)をアテにしやがって、まあ次から次へと…、とここから子どもへの罵詈雑言が開始されるというわけで、キリがないのでもう止める。ちょっと腑に落ちない部分もあれど、突っ込みどころ満載なおばあちゃんの話はその辺の下手な小説よりも、結構面白いことは確かだ。
そのまま晩ごはんの買い物に行って、午後3時頃からグツグツとおでんを煮込みはじめる。夜にはじんわりと味のしみた大根を心ゆくまで味わった。幸せ。 ごはんの後、Tの友人が2名ほど遊びにきたので、夜中まで4人でタラタラとおしゃべりしてしまい、今日は「シンセミア」を読み進めることが出来なかった。残念。午前1時頃、眠くなったので、客人を残して私だけ先に就寝。なんか全体的に実りのない日であった。
・購入物:なし
・朝食:バタートースト、珈琲、ヨーグルト 昼食:大根おろし餅 夕食:おでん、ブロッコリーとハムのサラダ、麦酒
2005年01月21日(金) |
冒険者たちのパーティ |
お昼休みは会社にいたけれど、あとの時間はずっと外回り。グルグル歩き回ってほとほと疲れた。今日はまたとびきり寒くて、昼下がりにはチラチラと花吹雪みたいな雪が舞った。 少しずれてとったお昼休みにひとりで弁当を食べながら日記を書いていたら、Iちゃんがお手製のシュークリームを持ってきてくれたので食べた。中にチョコクリームが入っていて、バレンタインの試作品らしい。チャレンジャーだなあ。チョコシュークリームは手作りの素朴感とほろ苦い味がして、なかなか美味しかった。Iちゃんは珈琲も淹れて持ってきてくれたり、ナプキンを添えてくれたり、今日はなんかイヤに献身的だった。Mさんに「Iちゃんは良い奥さんになれるよー」と言ってもらっちゃいました、とニコニコしていた。良い奥さんになれる、って言われたら嬉しい?と聞いたら、そりゃあもちろん嬉しいですよ!、とまたニコニコしていた。そんなことを言われたら、私なら地に堕ちたような気分になるだろうと思ったが、もちろんそれは言わなかった。
帰りにタワーに寄って、いろいろ迷って結局一枚だけ、復刻した富岡多恵子のCDを買った。どんなもんだかようわからぬが…。私もけっこうチャレンジャーだな。帰って早速聴いてみたが、てっきりポエトリーリーディングだと思っていたのにしっかり唄ものだったのでびっくりした。風邪をひいた美輪明宏みたいな声で、なんかエライことになっている。全て半音ずれているような感じで、これは一体どういうシチュエーションで聴くべきものなのだろうか。でも2回聴いたら慣れた。慣れればいいというもんでもないが。 作曲は全て、当時東京芸大の院生だった坂本龍一で、こないだのトークショーで吉田喜重が、「私は坂本龍一の作った音楽は絶対聴きません」と言っていたことを思い出した。それは『戦場のメリークリスマス』で坂本龍一が甘粕大尉の役を演ったからだそうで、なんというかなんというかなんというか。
夜、午前3時頃まで「シンセミア」の下巻を三分の二くらいまで読んだ。フーム。今んとこまだ、フーム、としか言いようがない。
・購入物:富岡多恵子「物語のようにふるさとは遠い」(P-VINE)
・朝食:バタートースト、珈琲、ヨーグルト 昼食:お弁当(ハンバーグ(湯につけるだけのやつ)、ふかしじゃがいも、ゆで卵、ミニトマト、ごはん) 夕食:豚肉と白菜の重ね蒸し(柚胡椒をかけて食べる)、人参とゴボウのきんぴら、ほうれん草のおひたし、麦酒、ごはん
2005年01月20日(木) |
そして全てが想い出に |
昨夜もまたまた夜更かししたので、朝起きるのがもう本当に辛い。しかも今朝は痺れるような寒さで、布団から出るのがおそろしいほどだった。 マフラーと手袋を装着して自転車で出勤。諸々あって、今日はいつもに増して会社に行くのが億劫だ。足が鉛みたいに重い。少しでも自分を奮い立たせるため、道中、ウォークマンでツェッペリンをガンガンと大音量で鳴らして聞いて行った。効果があったかどうかはわからないけれど、まあ何とか無難な結果に落ち着かせることができ、ちょっとだけ安心した。 しっかりと心に決めたつもりのことでも、ほんのちいさな難事が起こるとユラユラと揺り動かされてしまう。何があっても動じない、強い気持ちが欲しいなあ。自分で自分を裏切らないようにしたいな。
帰りに、ジュンク堂で「クウネル」を立ち読み。酒のおつまみを紹介しているページとホンマタカシが1ヶ月の食事を写真で紹介しているページ、それからお弁当のページを熟読。一気にお腹が空いたので早々に帰る。ここでは「本の話」と「本の窓」をもらう。 晩ご飯は鰤と粕汁。ホカホカとあったまる。ミルクティを淹れて、借りてきた「春の惑い」を観た。明日返却日なのをコロッと忘れていた。
田壮壮監督の映画を観るのは初めて。一幅の絵画のような画面を撮る人だ。鏡台、刺繍、蝋燭、ガラス戸、ランプ、ハンカチなど、小物の使い方も上手い。全てが緻密に計算されてる感じがする。 突然訪ねてきて滞在することとなった夫の友人がなんと昔の恋人だった、というヒロインの、甘いトキメキと戸惑いが話の中心で、まあよくあるテーマではあるのだが、メロドラマっていうのはたまに観るとわりとハマる。最初はボタンを掛け違って着た服であっても、着ているうちに体に馴染んじゃって、脱げなくなってしまうのが切ないなあ。ビリビリに破って捨てたくても、情がからみついてて脱げないのだ。そして過去は遠のいていく。
夜、「シンセミア」上巻読了。フーム。人間関係がよく絡み合っとるなあ、というか、絡み合いすぎという感もあるが。
・購入物:なし
・朝食:バタートースト、ベビーリーフと大根のサラダ、珈琲、ヨーグルト 昼食:お弁当(豚肉とジャガイモの煮物、卵焼き、ミニトマト、カツオふりかけのせごはん) 夕食:鰤の塩焼、粕汁(昨日の残り)、小松菜とジャコのおひたし、漬物、ごはん
午前7時、ギャンギャンと鳴りたてる目覚ましの音で起床。嫌な電子音だ。神経を逆なでする腹立たしい時計だ、もうぐしゃぐしゃに壊してしまいたい、と八つ当たり。 昨夜はかなり遅くまで熱心に「シンセミア」の上巻を読んでいたので、少々寝足りない感がある。私はやっぱり、気持ちを物語の中に埋没させる、ということがすごく好きなんだなあ、とあらためて思う。
サクサクと働く。いい具合に進んでいたのに、ちょっとした行き違いというか、勘違いのようなことがあり客を怒らせてしまい、午後からはその対処に追われてグッタリした。ここでもギャンギャンと怒鳴られて、ガッチャン!と電話を切られた。目覚まし時計のような人だ。あの人はすぐ感情的になるからやりにくいなー、とNさんと話し、ため息をつく。誰かのご機嫌を取るのはしんどい仕事だ。 夕刻ちょっと外出した折、旭屋に行って「草思」の2月号をもらってくる。今月の特集は『日記という表現』。これを読むとどうやら日記とは、例えば「足跡」や「記録」を残すとか「文章上達」のためとか、「自己変革」とか「自己管理」とか「〜の夢に向かって」とか、まあとにかく何がしかの「目的」をもってつけるものであるようで、そういったものを全く持たない私は、また頼りないような気持ちになった。 小学生の時「アンネ・フランクの日記」を読んで、私もこういうことをやってみよかな、と何となく思い立って以来、一日も欠かさず日記をつけてきた。毎日毎日。来る日も来る日も。ダラダラと。無目的に。それが何か自分の糧になったか、役に立ったか、というと、特に思いつかない。なーんにも身についてないのではないか。ノートに書いている時は時々読み返しもしたが、今は完全に書いて書きっぱなしだし。要するに私にとって日記をつけるとは、ほとんど意味のないことなんだけれど、意味のないことだからこそ続いてる、というところなんだろう。意気込むとスルッとやる気が逃げるのは何故なんだろう。
晩ご飯を食べた後、久しぶりにテレビをつけて「報道ステーション」を見たら、次から次へと気分が悪くなるニュースばかりが続くのでほとほとウンザリした。 ひきつづき夜更けまで「シンセミア」を読む。
・購入物:なし
・朝食:お粥、梅干 昼食:お弁当(焼塩鮭、卵焼き、大根菜とジャコのおひたし、ごはん) 夕食:中村屋のコロッケとミンチカツ、粕汁(鮭、大根、人参、ゴボウ、コンニャク、揚げ入り)、ジャガイモの煮付け、麦酒、ごはん
午前6時30分、勇気をふりしぼって起床。眠くて脳みそがとろけそうだ。お弁当と朝ご飯をつくり、晩ご飯に使用するカツオだしもとっておく。なんて言うか、食べ物に囚われた毎日だ。生活とはそういうもんなんだろうか。
今日は弟が大阪に出てくるというので、昼休みに阪急前で待ち合わせた。三番街でランチを奢ってやる。なんていいお姉さまなんだろう、うらやましい奴だ。お姉さまは会社で貧相な弁当を食べてきたので珈琲だけ飲んだ。 弟とふたりで外でごはんを食べるのは、考えてみればずいぶん久しぶりだった。交わすのはいつものダラダラ四方山話ばかりで、立入ったことや突っ込んだ話はしたことがないのだが、聞けば彼も27歳になったというし、ああ時間ばかりがすぎていくなあ、というような、少し頼りないような気持ちになった。 読み終わったという、阿部和重の「シンセミア」を借りる。借りるって、もともとは私があげたんだけど。私が読んだ後、Tにまわして、その後は弟の友人とその次は彼女が順番待ちをしているとのこと、なるべく早く読んで返してね、と言われる。みんなもっと本を買えよ。
少々残業の後、一件の用事を片付けてその帰りに、こないだは諦めたけれどつらつら考えてみるとあの本はやっぱり欲しいなあ、ということになって、堂島のジュンク堂に行った。久しぶりに「東京人」も購入。 それからぶらぶらと地下街を歩いて、第3ビルで古本を買った。映画は未見だが、表紙の子どもの写真がかわいい「トリュフォーの思春期」のパンフがあったのが嬉しい。青山光二のポルトレ集と、ますます増えていくばかりでなかなか読めないのが気にかかる田村隆一の文庫本も。それから定価の半額と安かったし、やっぱりこれは持っておかなければ、とついつい勢いで、吉田喜重の「小津安二郎の反映画」も買った。ちょっと買いすぎなんじゃないの、と‘マインドB’はうるさいんだけれども、もういいのだ。でも、今月はこれでもう止めとこう、と弱気に反省もする。 とにかく荷物が重い。とっとと帰る。
晩ご飯は盛大にお好み焼きを焼いて、さっさと後片付けをしてから、後がつかえているらしい「シンセミア」を読み始める。やっぱり長編小説というのものはワクワクするなあ。小説は長ければ長いものほど好きかもしれんなー、と思ったりもする。
・購入物:「東京人」2月号(都市出版) スタニスワフ・レム「高い城・文学エッセイ」(国書刊行会)ここまで新刊 吉田喜重「小津安二郎の反映画」(岩波書店)ここから古書 青山光二「砂時計が語る」(双葉社) 田村隆一「詩人の旅」(中公文庫) 「トリュフォーの思春期」パンフレット
・朝食:とろろかけごはん、紀ノ川漬 昼食:お弁当(ふかしジャガイモのマスタードマヨネーズ和え、ゴボウ天、ゆで卵、ごはん) 夕食:お好み焼き(エビとイカと豚肉いり)、キムチソース焼きそば、麦酒
2005年01月17日(月) |
立ち止まり、思い起こす |
午前6時半起床。いつもの家事をこなした後、出かけるまで少し間があったので、熱いお茶を啜りつつ昨日買ったカーキ・キングを聴く。クールでなかなかカッコいい。意味のない歌詞も良い。 外は、昨夜から降っていた雨がまだ少し残っていた。間もなく止む気配はしたけれど、とりあえず今は降っている雨を理由に今日は自転車をやめて地下鉄で出勤。車内ではNさんが強引に貸してくれた宮部みゆきの文庫本を読むが、全くノレず、困る。話を作りこみすぎているような気がするし、第一、何か犯罪が起こると決まって素人探偵みたいなのが出てきてその犯人さがしをやりだす、ということに、どこか違和感があり気持ちがそそられない。
仕事はまたボチボチと忙しくなってきて、忙しくなると遊びたくなるのが悪い癖で、今日もちょこちょことヒマをみつけてサボってしまった。それが祟ってか、夕方になって急な仕事が入り残業するはめとなり、行くつもりだった太融寺での桂文我落語会に間に合わなかった。ショック大。がっくりしてそのままバスに乗って帰る。 夜。友人より、「○○君との関係が行き詰まってきました、早くも迷路に迷いこんだ模様、何か打開策はないでしょうか」、と携帯電話にメールあり。もう行き詰まったんかいな、と思いつつ、「策はありません、一か八か出たとこ勝負で当たって砕けてください」と返信したら、すぐ電話がかかってきて、1時間ほどウダウダと話す。来週呑みにいくことにして電話を切る。 寝る前にまた「エロス+虐殺」のシナリオを読む。何度読んでも全貌がよくわからぬ。それがまた良いのだが。午前1時前ころ就寝。
・購入物:なし
・朝食:ハイジの白パン、ハムエッグ、珈琲、リンゴ半分 昼食:お弁当(エビフライ、ポテトフライ、卵焼き、ごはん) 夕食:キムチ味噌鍋(しめに中華そばを入れた)、麦酒
日曜日。くもり時々晴れ。風も強く冷たいが震えるほどではない。体調はまあまあ、気分もまあまあ、総じて平均的な日であった。 本日おこなったことと、行ったところ、食べたもの、などなどなど、など。
午前中から昼過ぎまで。 目を覚ましたら午前10時前。10時間くらい寝た。こんなに寝たのは久しぶり、腰が少々痛い。すごくお腹が空いていたので冷蔵庫をあさり、餅を出してきて焼いて醤油をつけて海苔を巻いて食べた。腹がくちたら後片付けと洗濯と掃除。台所とトイレを念入りにやる。放っておくとすぐあふれかえる食器棚とその引き出しの整理も。とにかくモノが多すぎる。もう少しシンプルに暮らしたい。
午後。 14時頃から自転車で出かけた。京橋あたりでまたまたお腹が空いてきたので、途中のモスバーガーで小腹を満たす。どうも燃費が悪い。 大阪市立美術館展示室で「モダニズム心斎橋」という展示を観た。大正から昭和初期にかけて心斎橋周辺にあったモダーンなあれこれを集めてある。織田作之助も見て歩いたであろう心斎橋だ。私は何でも話を織田作へ持っていくが、それを考えるとドキドキする。大丸の「贈答品の栞」と「催事チラシ」、安井仲治の写真と鍋井克之の絵を見られたのが収穫であった。それぞれ一枚だけだけど。その昔、心斎橋にはズラズラズラと本屋や古書店が並んでいたことを知ったのも驚き。街並や建築物などを見ても、道頓堀あたりの濃い空気とは違い、随分オシャレでハイカラでハイブロウな街だったのだ、それにどことなく退廃的な匂いもする。それは大正という時代の空気かもしれないけれど。 自転車は長堀通りに置いたまま、難波まで歩き、タワーでカーキ・キングのCDを一枚、千日前古書センターで中村伸郎のエッセイ集を買った。よくわからんが、あまりよそで見かけないような気がしたので。解説は矢野誠一。 夜。 大丸のアンデルセンでハイジの白パンを買って、自転車を拾って帰る。日曜日のせいか道がすいていて走りやすい。家に帰るとまたまた空腹を感じ、エビフライを揚げ、ついでにジャガイモも食べやすく切って一緒に揚げ、塩と柚子胡椒をふって食べた。ホクホクしてて旨し。ビールとよく合う。ストーブでスルメも炙って、酒の肴にする。これに加えて、簡単にダシをとって余っていた冷凍うどんを放り込み、大量のネギを入れて卵でとじたうどんも作った。とにかく夜はずっと何かしら食べていたようだ。
夜中。 矢田津世子の「神楽坂・茶粥の記」を読んでしまう。話がちとネチっとしてはいるが、丁寧な文体は好きだ。だから最後まで読めた。矢田津世子ってきっとすごく気が強い人なんだろうなあ、という気がする。芯があるというかなんと言うか、まあ一筋縄ではいかない感じだ。こういう人を好きになった坂口安吾もまあいろいろとしんどかっただろうなあ、とかつらつら考えつつ、眠る。
・購入物:中村伸郎「おれのことは放っといて」(ハヤカワ文庫) 古書 Kaki King「Let's to make us longer」(sony music)
・朝食:焼餅2個 昼食:モスバーカーで、テリヤキチキンバーガー、サラダ、珈琲 夕食:卵とじうどん、エビフライ、ポテトフライ、炙ったスルメ、麦酒
2005年01月15日(土) |
図書館と憂鬱と冷たい雨 |
午前7時起床。外はどんより曇っていて、今日はこれから雨のようだ。ラジオを聴きながら例によってボーッとする。頭に酸素が足らんという感じがする。午後から絵本の会があるので、そうそうボーッともしておれないのだが。どうも面倒だ。やりたくてやり始めたことのはずなのに、なぜ面倒だなどと思うのだろう。
雨の中、持ってくるよう頼まれていた絵本を何冊か抱えて図書館へ。私の本日の演し物は「素話」。子どもに本を見せずに、ただおはなしを語って聞かせる、というやつ。ろくに練習もせずにやったわりには割りとうまくいったのでご満悦だったのだが、後からIさんに「まあ良くなかったわけではないけれど…、あれでは落語です」、とダメ出しされた。私はどうも話を落とそう、落とそう、とする傾向があるようだ。もう少し練習が必要ね、とのこと。やっぱりぶっつけ本番には限界がある。 その後もIさんは、子どもたちの未来を創るためにも私たちがしっかり自覚をもってやっていかなくちゃね、というような、立派な話を真剣な面持ちで力強く語り、私はうん、うん、うーん?と思いながらそれを聞く。Iさんの言うことは至極真っ当で、しかし、この直球グングンなひたむきさが、この活動を自分の趣味や娯楽のためにやってるオバちゃん方の反感をかい、衝突を招くこともしばしばなのだ。私はオバちゃん方のほうにはもちろん、Iさんの真摯さにも旗をあげてついていくことができなくて、いつも宙ぶらりんな気持ちになってしまう。何事にも我を忘れて夢中になるということができない、実はけっこう寂しい人間なのかもしれない。
皆と別れた後、私はそのまま図書館に居座って、何冊か本を借りた。柴崎友香の「次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?」と、閉架書庫から吉田喜重の「自己否定の論理・想像力による変身」「見ることのアナーキズム・吉田喜重映像論集」「メヒコ歓ばしき隠喩」の3冊を出してもらって借りた。古本屋でもなかなか見かけないから、読みたければ借りるより仕方がない。吉田喜重はセンター試験の問題にも取り上げられるくらいなのだから、このあたりの本を全部復刊してだしてほしいものだ。
近くの喫茶店でしばし休憩ののち、地下鉄に乗ってお家に帰る。雨は夕方までしとしと降っていて、夜には止んだ。寝る前に借りた一冊に収録されていた「エロス+虐殺」のシナリオを読む。
・購入物:なし
・朝食:バタートースト、ハムエッグ、珈琲、りんご 昼食:図書館近くの喫茶店でカフェオレ、のみ。 夕食:豚バラ肉と大根の煮込み、豆腐と揚げの味噌汁、ほうれん草としめじのおひたし、麦酒、ごはん
2005年01月14日(金) |
すれちがって交錯する |
午前5時すぎ起床。夜だ。朝の5時からカレーを温めて食べる。チョコレートも。ちと刺激が多いようだ。昨日残してきた仕事を片付けるため、早めに出社。夜明けに自転車をコキコキこぐ。風が耳にピリピリする。午前7時前の空は、朝焼けが夕焼けのようであった。
終業後。今なら半額で借りられるそうなのでTSUTAYAへ行く。すごく観たかったのに公開中に見逃した「列車に乗った男」と「春の惑い」のDVDを借りる。それからTに頼まれていた松任谷由実の新作CDも借りる。なんで今更ユーミンなのだろう、と思いつつ。 新地を抜けてジュンク堂まで移動。どこかで捕り物があったのか、国道をすごいスピードでウーウーとパトカーが走っていった。 逡巡して2冊購入。衝動にまかせていたら、あと3冊は欲しい本があったなあ。衝動買いはやめるように誓いを立ててはいたけれど、買い物って結局衝動でしかないんではないかと、最近思い始めてる。 自転車で自宅近くまで戻り、Tと待ち合わせてトンカツを食べる。キャベツを山盛り2杯おかわりする。トンカツを食べにいったのか、キャベツを食べにいったのか、よくわからん状態だ。 唐突に食べたくなって、トンカツ屋の並びにあるケーキ屋さんでココアシフォンケーキを買った。町の小さなケーキ屋さん、という佇まいの店で、いかついオジサンがひとりでやっている。ひげ面のこわもてで、一週間前に出所したてです、という感じの人だけど、笑うとけっこうかわいいし、焼いてるケーキがまたこぢんまりしててかわいい。ケーキは苦手たが、このオジサンのファンなので近くに来るとついつい買ってしまう。 帰宅後、珈琲を淹れてシフォンケーキを食べる。生クリームが重くて、途中で少ししんどくなる。今日は総体的に食べ過ぎのような、そうでもないような。
ケーキを食べながら、借りてきたパトリス・ルコント「列車に乗った男」を観た。 森の中で静かで淡々とした、しかし孤独な生活を送る元教師と、犯罪に手を染め暗い世界で生きてきた、これまた孤独な流れ者が出会って、ともに過ごす3日間を描く。憧れはしても決してたどることのできなかったお互いのスタイルに魅せられ、人生の最後に「生き方」を交換する。大人のファンタジーだ。 男の友情、というよりも、それって恋じゃん、と感じる描写もあちらこちらにちりばめられていて、なかなか色気のある良い映画でした。会話も豊潤だし、本もいっぱい出てくるし、音楽もばっちり効いていた。やっぱり映画館で観たらよかった。ルコントはもうダメだ、と見切った時期もあったけど、こういうの撮るとさすがに巧いなあ。主演のジャン・ロシュフールとジョニー・アリデイの存在感と雰囲気に負うところも大。格好いいです。
午前1時頃、「せきれい」を読みながら就寝。
・購入物:庄野潤三「せきれい」(講談社文庫) 荒川洋治「ことばのために 詩とことば」(岩波書店)
・朝食:昨日のカレーライス、珈琲とチョコレートひとかけら 昼食:たまごサンドイッチ、レタスとトマトのサラダ(昨日の残りをつめていく)、蜜柑、珈琲 夕食:外食、ヒレカツ定食(キャベツ、味噌汁、ごはんつき)
頭痛と腹痛が束になってやってきて一日中体調すぐれず。憂鬱だ。特に朝は食欲がなく、トーストを半分しか食べられなかった。 年末にMさんからもらったシクラメンに水をやる。私は花にあまり興味がわかず、いつも放ったからしにしておいてそのまま枯らしてしまうので育てる自信がなかったが、今のところはまあ元気なようだ。ダメになった花を切って、覆い被さっているは葉っぱを取ったら、下のほうに蕾がたくさんあった。今まで敬遠していたけれど、部屋に花があるというのもわりといいものかもしれない。片隅に小さな華やぎができた。
午後、シクラメンのMさんが打ち合わせで会社に来られたので少し話す。魁皇が三連敗したので少々落ち込み気味。オレはもう情けない気持ちでいっぱいだ、とか何とか言って頭を抱えていた。相撲のことはよくわからないけど、魁皇は横綱には向いてないんじゃないかなナー、とぼんやりと思う。 それから二人で大阪市職員についてタラタラ文句を言い合って別れた。怒ったら少々テンションが上がって、張り切って仕事をしようという気になったが、夕方になったら前頭葉の痛みがひどくなってきたので、やっぱり早々に帰ることにする。
今日の晩ごはんはカレー。ついこないだも作ったように思うが、もう何でもいいんだ。冷蔵庫で余ってたキノコ類を炒めてトッピングする。ラジオでニュースを聞きながら料理をした。芥川賞と直木賞が発表されたとか。別にどうでもいいんだが、初期の頃から好きで読んでた人たちが受賞するのは初めてで、何となく嬉しいような気分になった。 明朝は早起きせねばならぬので、23時には布団に入る。眠くなるまで「ちくま」と「UP」を読み、それから杉本秀太郎の随筆を一篇読んだところでコテンと寝る。恐ろしい夢をみたような覚えがあるが、もう忘れてしまった。何もかもが通り過ぎていき、そのまま忘れ去られていくようで、心もとないような気持ちだ。
・購入物:なし
・朝食:バタートースト、ゆで卵、珈琲、バナナ 昼食:お弁当(ハムとエリンギのソテー、ジャガイモの醤油煮、大根菜のおひたし、ごはん) 夕食:ビーフとキノコのカレーライス、サニーレタスとトマトのサラダ、コンソメスープ、麦酒
午前6時半起床。震える寒さ。ここ数日、ストーブをたきっぱなしだ。また灯油がなくなりかけている。お弁当のためにハムを焼く。今週はもらったハムやらソーセージを淡々と食べつづけている。亜硝酸ナトリウム堆積中。
仕事。今週は比較的ヒマ。午後からWさんと打ち合わせをした。先週末、出張で東京に行っておられたらしい。浅草にTSUTAYAが出来ていましたよ、へえそれは良かった、いやあ別に良くはないですが、あのーTSUTAYAの会員カードは全国どこのTSUTAYAでも使えるらしいですね、へえそうですか、でも浅草店で借りたら浅草店に返却しないといけないんでしょうね、そりゃあそうでしょうなそこが不便ですな、あ雪みたいなのが降ってきましたよ、ああほんにほんに、とか何とか、どこか寝ぼけたような話をする。ご隠居さんみたいだ。
マフラーグルグル巻きにして自転車で帰宅。今日はまっすぐ帰ってラジオでニュースを聞きながらごはんを作る。Tが天牛堺の580円均一台で杉本秀太郎の本を見つけてきてくれたので、お金を払う。古今東西の絵画に関する随筆集。何となく探していたので嬉しい。
ごはんを食べながら、テレビでやってた「A・I」を観る。Tは公開当時に映画館で観ていて、アンタが観たらきっと怒り出すからやめた方がいいよ、と止められたのだが、ついつい観てしまった。途中までだけど。 やっぱりダメだった。冗長。無駄なエピソードを並べ立ててグネグネと引き伸ばして、良い話にしよう、良い話にしようと努めるのは一体何故なんだ。なんでもっとクールになれないの?観客がそんなに信用できないのか。画面から感動を強要されている気がする。権力的なものを感じる。最近のスピルバーグとは根本的な何かがどうもかみ合わない。
怒り疲れて、リビングで午前1時まで寝てしまう。お風呂に入って少々本を読んで就寝。今読んでいるのは矢田津世子の「神楽坂・茶粥の記」。
・購入物:杉本秀太郎「絵 隠された意味」(平凡社) 古書
・朝食:雑煮(大根と三つ葉入り) 昼食:お弁当(ハムステーキ、レンコンとゴボウの煮物、卵焼き、ごはん) 夕食:豚肉と玉ねぎのトウバンジャン炒め、ジャガイモの醤油煮、大根と人参の味噌汁、麦酒、紀ノ川漬、ごはん)
2005年01月11日(火) |
福はどこかに隠れているの? |
今日も寒い。ピューピュー北風が吹いている。はっきり言ってもう自転車乗りたくないよ。挫けそうな心を励ましつつ、昨日買ったフカフカ手袋を装着して、やっぱりチャリンコで出社。風が当たって耳が痛い。こういう時ショートカットは辛いな。
終業後、年末から度々足を運んでいる旭屋のサービスカウンターに行ってみる。店員さんにおそるおそる「ちくま」の1月号があるかどうか聞いてみたら、棚から出してきてくれた。今月は手に入らないんじゃないかとドキドキしてたので一安心。ドキドキするくらいなら定期購読しろよ、という感じだが。他にもご入用のものがありますか、と、「未来」「UP」「波」「月刊百科」「遊歩人」の最新号を次々に出してくれたのでありがたく全部もらう。「きらら」はいかがですか?、と言われたが、それは断った。旭屋本店の人はみんな親切で、感激のあまり涙がでる。 もらってばっかりでは悪いので、何か買って帰ろうと2階に上がってみたが、迷ってばかりで結局何にも選べず。今月の新刊は、少々決め手に欠けるような。
自転車を転がして、天神橋筋商店街まで行く。今日は戎さんの最終日で、堀川戎神社のあたりは参拝に来た人と夜店にたかる人で、けっこうな賑わいであった。屋台から鳥やとうもろこしやお好み焼きを焼く香ばしい匂いが漂ってきて、空腹を直撃してくる。 商店街の古本屋さんのワゴンで、島村利正の本を一冊購入。「奈良飛鳥園」。全集にはなかった小川晴暢による仏像の写真が、ふんだんに収録されているのが嬉しい。これを機に島村利正周辺をもっと強化していこう。 それから八百屋をひやかしてから、角の豆腐屋でおっちゃんの口車にまんまとのせられて、一丁五百円もの豆腐を買ってしまった。贅沢にすぎるなあ、反省。
晩ごはんを食べて後片付けした後、珈琲を淹れてミュートビートを聴きながら年賀状2枚作成。今頃まだこんなことやっている。それからもらって来たPR誌をふむふむと熟読。先月号から「UP」で、長谷正人の『映画、時間、小津』という連載が始まっているらしい。ちっとも知らなんだ、チェック漏れ。近いうちに12月号を手に入れること、とメモ。 夜は買ったままずっと棚に眠ってたgrant greenの「the final come down」聴く。なかなか新鮮だ。
・購入物:島村利正「奈良飛鳥園」(新潮社)古書
・朝食:焼き鮭、粕汁、ごはん、紀ノ川漬 昼食:お弁当(焼いたソーセージ、レンコンとゴボウの煮物、大根菜のおひたし、ごはん) 夕食:鰤の刺身、湯豆腐(水菜とエノキダケも入れる)、粕汁、炙ったスルメ、麦酒、ごはん
午前8時起床。ゴミをまとめて出して再び布団にもぐりこみ、10時すぎまでヌクヌクと眠る。 今日は成人の日であり、十日戎であり、それに織田作之助の命日でもある。そういえば最近あちこちに浮気して、あんまり織田作を読んでいないなあ、と反省。須賀敦子とか島村利正もそうだけど、全集を揃えてしまうと何か一仕事終えたみたいな気になって、本棚に仕舞いこんでそれきりになってしまう傾向にあるみたいだ。
簡単にお雑煮を作って食べてから、自転車で九条まで行く。冷たい向かい風がすごく強くて、ペダルをこぐのにいつもの倍の力が要る。たいそう疲れた。 梅田のチケットショップで前売り券を買って、シネ・ヌーヴォへ。カフカの「変身」を映画化した、『カフカ×変身』という映画を観た。監督はロシアのワレーリイ・フォーキン。自慢じゃないけどどういう人なのか全然知らない。 これが今年初めて映画館で観る作品になる。面白いといいのだけれど。
雨がそぼ降るプラットフォーム、音もなく到着する列車、グレゴール・ザムザが辿るぬれた石畳、家族の食事風景、ザムザの部屋の調度品、朝方に見る奇妙に歪んだ恐ろしい夢…、などなど、冒頭の浮遊するような幻想的な雰囲気はぴったり好みで良かったんだけれど。ザムザが虫に変わる前までは。話が本題に入ってからが、ちょっとしんどい。 アメリカ映画みたいにCGを使っておどろおどろしい虫を見せる選択肢を取り去ったら、やっぱりこれしか方法はないのか、と思って落胆した。もう少し新しい発想が出てくるかと期待したけれど、難しいのかな。「変身後」のザムザは、もういっそのこと見せないほうが良かったのでは。何を見せたところで、小説を読んで想像した「虫」には、結局勝てっこないのかも。センスはわりと良いと思うだけに、惜しい。 映画の後は、大阪ドームのまわりをグルッと一周して、南堀江に向かった。「hunger」で紺のセーターを、「シサム工房」で草木染めの手袋を買った。けっこうカワイイ洋服が好きなようだ。「北極星」でオムライスを食べてから、寒風吹く中、一時間以上自転車をこいで自宅まで戻る。日はとっぷり暮れ、手先と足先がかじかんだ。辛いわ。 家では宅配野菜の整理をして、明日のために粕汁と、レンコンとゴボウと人参の煮物を作り、大根の葉を茹でて冷凍しておく。今週も食べるために生きるぞー、という感じだ。
夜は朝の誓いどおり、焼酎をちびちび飲みながら、織田作の全集を引っ張り出してきてひもといた。入浴後、午前1時頃には就寝。
・購入物:なし
・朝食:大根と人参と里芋と三つ葉を入れた、味噌汁仕立ての雑煮(餅ふたつ) 昼食:映画を観る前に、リングドーナツと珈琲 夕食:外食、北極星にて(明太子とシーフードのオムライス) 帰ってから自宅で、炙ったスルメと鶏ナンコツの唐揚げを肴に焼酎を飲んだ。
午前9時頃に目を覚ますも、1時間ほど布団でコロコロ。昨夜、葛西善蔵の随筆を読んで寝たせいか、どうも気分が鬱屈しているようでいけない。小説よりまだマシだけど。葛西善蔵を読んで感じるたまらないやり切れなさは、小説でこそ味わえるものなのかも。 晴れ渡っているので布団と洗濯物を干し、ちょいちょいと部屋周辺の拭き掃除を行う。朝ごはんを食べてから、今日は午後から実家へ帰る予定にしているので、借りているお重やパイレックスの類をまとめてカバンにつめた。食器はどれも空なのに、持ってみるとひどく重い。 NHKラジオの『日曜喫茶室』に小沢昭一が出るというので、MDに録音するためタイマー予約しておく。昨日、5時間のスペシャルバージョンで放送された『世界の快適音楽セレクション』は予約しておくのを忘れて外出してしまい悔しい思いをしたので、今日は怠りなくやっておこう。いつ聞くのかはわからないけれども。
電車に乗る前に紀伊国屋で、母に頼まれていた『愚か者死すべし』を買って行く。読み終わったら貸してね、と一応予約しておく。アタシいろいろと忙しいからなあ、と母。まあ夏くらいまでには読み終えるね、と言っていた。夏か…、図書館で予約したほうが早いかも。 晩ごはんに母がお寿司をとってくれた。喜んでご馳走になり、いろいろと食料をもらって、自転車に二人乗りして駅まで父に送ってもらう。空にはオリオン座がくっきりはっきり見えていた。 帰りの電車では「彷書月刊」を読む。枚方あたりでだいたい読み終えてしまって、その後はずっと窓の外を見ていた。今年もみんな元気で過ごせるといいな、と思う。
夜、Tが観ていた何か全体的にガチャガチャしたドラマ(題名忘れた。西田敏行が落語家役で、「三枚起請」をやってた)を何となく見ながら、アイロンかけと昆布を使いやすく切ってタッパーに入れ、煮干の腸をとってミルサーで砕いてダシの素を作る、という、いつかヒマな時にまとめてやろうと思ってた地味な作業をした。 お風呂に入って、土曜日の日記を書いて寝る。 ・購入物:なし
・朝、昼食:トースト、ロースハム、スクランブルエッグ、粉ふき芋のサラダ、珈琲、りんご 夕食:実家にて、盛り合わせ寿司、茶碗蒸し、蛤のおすまし、大根と手羽先の煮込み、麦酒
2005年01月08日(土) |
眠いような気持ちだ。 |
朝10時30分から図書館で打ち合わせ。少し揉めたものの、何とか12時過ぎには終了。下の喫茶室でごはんでも、と言うIさんを振り切って日本橋へ向かう。一刻も早く文楽劇場に行きたいしそれに、図書館の喫茶室で出てくる食べ物は、端から端までびっくりするほど不味いのだ。とは言ってもカレーしか食べたことないけどさ、そりゃあまあひどいもんだった、だから他のもどうしようもないに決まっているのだ、決めつけるのはよくないけど、世の中は一事が万事そういうもんなのだ。
急いだけれど、やはり「伊賀越道中双六」に間に合わなんだ。昨日、住太夫さんの本を読んで、私にしては珍しくばっちり予習しておいたというのに残念だ。また幕見席で観るとしよう。 結局本日鑑賞したものは、「恋娘昔八丈」城木屋の段、鈴ガ森の段、「苅萱桑門筑紫いえづと」守宮酒の段、「天網島時雨炬燵」紙屋内の段、「戻駕色相肩」郭噺の段。「恋娘〜」は不覚にもほとんど寝てしまった。「苅萱〜」と「〜時雨炬燵」は、女をバカにすんのもいい加減にしろ、と言いたい話だが、文雀さんが素晴らしかったのでまあ許す。 本公演より床本が小さい版型に戻っていて、字幕表示がついていた。浄瑠璃に字幕をつけることについての是非は、うーん、よくわからない。私はそのまま耳と体で聴いて、理解出来なかった部分は帰りの電車で床本をひもといて確認する、という作業が好きなので、字幕はなくてもいい。出てるとつい目がいっちゃって気が散るのだ。でもまあ、これもひとつの流れ、かな。
一部と二部の空き時間に、日本橋のブックセンターに行って、古本を一冊買った。また、帰りに地元の本屋で「文学界」の最新号を。映画特集。金井美恵子が書いてたように「文学界」は、くだらん小説を載せるくらいなら定期的に映画特集をすればいいのに、と思う。 それに、忘れず電球も買う。
夜、「葛西善蔵随想集」を読む。私が葛西善蔵を好きだなあ、と思うのは、以下のような文章を読んだ時。 『さっぱり元気がない。動くものがない。方向がない。漫然として日を送っている。今に元気が出そうな気がするが、いつまでもまたこうした状態が続きそうでもある。 この苦しい現実から一歩出たい、でも出られない、どちらを向いてもやはりどうしようもない現実だー、せめてこうした心持ちででもあってくれると頼もしいのだが、そんなでもない、ただ眠いような気持ちだ。』 『君には現在と永遠がある、しかし未来という観念のない人間だとある友人が言うが、ほんとうにそうであってくれて、現在即ち永遠、永遠即ち現在というような気持ちでいつも居られるようだと、この上ないことだと思う。未来とか将来とかいうようなことを打算的に考え出したら、ほんとうに際限がないという気がする。』
『どうかして実際的に世の中のためになるようなことをしたいと思い立ったこともあるが、結局、空想だったに過ぎない。田舎へ帰っても相手にはされないし、都会へ来ると塵埃も同様だ。傍観者というのも恥ずかしいような憫れな傍観者であるに過ぎない。』
日々感じ、しかし言葉に出来ずにいることを、ここまできっちり書かれると、もうすっかり感心してしまい、気持ちがいい。
・購入物:葛西善蔵(阿部昭・編)「葛西善蔵随想集」(福武文庫)古書 文学界2月号(文藝春秋) 文楽プログラム
・朝食:ごはん、鮭、ゆで卵、梅干し 昼食:コペンハーベストで買ったポテトサラダのパン、リンゴ一個。文楽劇場のロビーで食べる 夕食:鶏雑炊、めざし、麦酒
午前6時半、ダラダラと起床。お弁当の献立を何も考えてなかった。しばし台所で佇む。昨日のIさん電話のショックをまだ引きずっているようだ。昨夜、実家からお歳暮にもらって余ったらしいハムが大量に送られてきてたので、それをジュウと焼いて詰める。 本日給料日のため、昼休みに銀行と郵便局に行って、各種振込など行う。お金というものは、懐に入ればたちまちにして出ていき、その場にとどまるということがない。あちこちにパーッと拡散していくようだ。
Yさんのちょっとした失敗をカバーするため、2時間ほど残業。そんなに気に病まずともいいのに、地面にめりこむくらい落ち込んでいるYさんを慰めながら仕事をする。上司にこっぴどく怒られたのがショックだったようだ。オッサンの寝言だと思って聞き流せばいいのに。 Yさんは、ああー、僕これでも一流大学出てるんですよ、とか言ってた。それとこれとは関係ないと思うのだが。だいたい一流大学って何だ?そんなものあるの?
今日はちくま文庫を買いに行くつもりであったが、疲れてそのまま帰る。でたらめなごはんを作って食べる。友人より新年会の打ち合わせ電話あり。少々喋り、笑う。
夜中、住太夫さんの本を読書中に、愛用している電気スタンドの電球が切れて、思うように本が読めなかった。さみしい。月の明かりで読めないかしら、とやってみたけどやっぱり無理だった。そのまま眠る。
・購入物:なし
・朝食:バケット、クリームチーズ、珈琲、バナナ、ヨーグルト 昼食:お弁当(ハムステーキ、ジャガイモのマスタードマヨネーズ和え、田作、ごはん) 夕食:マグロフライ、山芋のサラダ、豆腐とネギの味噌汁、麦酒、漬物、ごはん
昼すぎから、しとしとと雨が降りはじめた。窓が少しぬれているのでわかった。空も雨色だ、何となく。今日は終日曇りだと思っていたのでがっくり。洗濯物も干したままだ。 ああ雨だ…、と外を見て愕然としていると、今日は雨が降るってテレビで言うてたやん、と、呆れた口調でNさん。「まさか洗濯物干してきたんとちゃうやろね」と言われる。すかさず「まさかそんなアホなことせえへんわな」とも言われる。はあ、まあ、それは、干してきてはないんですけどね…、と嘘をついて、傘を持って来てないことを言うと、アンタは不測の事態に対する備えが足らん、と鼻で笑われた。 帰る時もまだけっこう降ってたので、会社近くのコンビニに入って漫然と店内一周してからビニール傘を買って外に出たら、なんと雨が止んでた。なんだというんだろ。 あちこち寄り道してから地下鉄に乗って地元へ戻り、自宅近くのスーパーに行き、入り口の傘立てに買ったものの使っていないビニール傘を入れたまま買物をし、出てきても雨が降ってないもんだから傘のことはすっかり忘れて家の前まで帰ってきてしまい、玄関の鍵を開けている時に、「あ、傘ないわ」と気がついて、もういいかとも思ったが、ビニールとはいえ買ったばかりなのにあまりに悔しいと考え、面倒ながらスーパーに取りに戻ったところ、なんとなんと傘がない。どこのどいつか知らんがけしからん奴が持っていきやがったのか、いくら探してもない。なんじゃい、と諦めて再び家への道をたどっているところで、ようやく雨が降り出した。 このマヌケさを一体どのように解釈すればよいでしょう。やるせない。
気を取り直して古本の話。地下鉄に乗る前に、第3ビルの古本屋さんで「島尾敏雄事典」を買った。前から気にはなっていたのだが何となく買い逃していて、値段も1000円とまあまあお手頃価格だったし、島尾敏雄ファンとしてはやっぱり持っておくべきかなあ、と判断した。最近、パッと開いたページのどこから読んでもそれなりに面白い本が、好きなようだ。
夜、ごはんを食べた後、Iさんから電話。年内最初の打ち合わせ日が文楽鑑賞の日と重なるという、衝撃きわまる事実が判明し、ひどく落ち込む。ショックすぎてこれ以上書く気が起こらぬので、今日のところはこれにて終了。ってもう十分書いたか。 とにかく神に慈悲なし。
・購入物:島尾ミホ、志村有弘・編「島尾敏雄事典」(勉誠出版)
・朝食:カレーライス(三日連続カレーです) 昼食:お弁当(さつま揚げと小松菜のおひたし、ネギ入り卵焼き、ゴマメ、ごはん) 夕食:鶏団子と白菜の鍋(最後にうどんを入れる)、カボチャの煮付け、麦酒
2005年01月05日(水) |
背筋をのばしてダラダラと |
午前7時ちょっと前、悪魔のような目覚ましの音で起床。辛いわ。今日から仕事だ。仕事に行くのが嫌だというよりも、逃避してきた現実に今再び向き合っていかねばならぬ、ということに、憂鬱と諦めを感じる。 まあいい。ごちゃごちゃ考えるのはやめよう。考えすぎると足が止まる。ここで覚悟を決めるのだ。
会社では年始まわりのお客さんが何人も来て、いちいち年頭の挨拶をするのが面倒くさかった。やるべきことも山積みだけれども、どうも前向きな気持ちがでてこない。午後からやって来たMさんが、ボクも朝から出先でお酒呑んで頭がボーッとしてますよ、今週いっぱいはボーッとしてていいんじゃないですか、と言っていた。その言葉信じていいんだろうか。信じていいの?信じたい。でもたぶんそうもいかない。
最後まで気力がおきないまま、終業。とっぷり暮れた街をトボトボ歩いて、堂島のジュンク堂へ行った。昨日買った「映像のポエジア」に100円のビニールカバーをしてもらうため。カバーをすると本が少しでも傷みにくくなる、ような気がする。新人バイトのような店員さんに頼んだせいか仕上がりはイマイチであったが(表紙と裏表紙のバランスがおかしかった)、やり直してもらうのも気がひけてそのまま受け取る。「本の旅人」をもらって、何故かまた「彷書月刊」の最新号を買ってしまった。 ごはんを作ることにも気が向かず、地下でラーメンを食べて自転車で帰る。今日から仕事始めのはずなのに、どこの店も道も空いていて、まだ20時台なのにまるで夜中のように静まり返っていた。 帰宅途中の酒屋でクラシックラガーの大瓶を二本買った。ビール瓶を持ってると、もし今、暴漢が襲ってきたらこれで思いっきり殴ってボコボコにしてやれるのに、と思う。大義名分のある喧嘩がしたいなあ。なんでそんなことを思うのかわからないけど。心が荒んでいるのだろうか。
夜、テレビで宮沢りえの出てる「夏目家の食卓」というドラマを少しだけ観た。ドラマの出来は何だかようわからんが、食べ物は美味しそうだった。ほうれん草と椎茸の和え物、とか、鶏肉とタケノコの煮物、だとか。明日からは心を入れ替え、またせっせと料理をしよう。 お風呂に入って寝るまで「映像のポエジア」を読む。この本を読んでいると、苦悩することは決して無駄なことではない、と感じて、少し勇気がでてくる。
・購入物:「彷書月刊」1月号(彷徨舎)
・朝食:カレーライス 昼食:お弁当(豚肉とネギの炒め物、卵焼き、ゴマメ、ごはん) 夕食:外食、ツボヤで(ワンタンチャーシューメン)
冬休み最終日。さみし。いつもの朝のごとく一連の家事をこなして、その後気がぬけてボーッと菊水丸のラジオなど聞きつつ、ビデオテープの整理をした。 ラジオの「散々な目にあって正月どころじゃなかった人」というテーマでリスナーから電話を募るというコーナーに、銀行からおろしてきた28万円入りの封筒をゴミと間違えて年末のゴミの日に出してしまい結局そのまま戻ってこなかった、という主婦が出演してて、すんごく落ち込んでるんですだって28万円っていうと私のパートの給料ほぼ3か月分なんですよ、と言っているのを聞いてるうち、その切実さが伝わってきて気がふさいだ。 気分を変えるため映画でも観ることにする。洋画でモノクロで、多少暗くてもいいからちゃんとストーリーがあって解りやすくて、長回しが少なく時空を行ったり来たりしない映画が観たくなって、ヒッチコックの「私は告白する」をビデオで観た。 ちょっと無理あるんじゃないのその展開、と思うところもあるが、重厚かつ軽快なストーリー展開はさすがで、安心してみていられる。ヒッチコックがすごいと思うのは、例えば殺人を扱っていてもそれがただの犯人探しやトリック暴きに終わらず、登場人物全ての背景にちゃんと厚みがあり、しっかり絡み合っているところ。それと人間心理が重なり合うようなカメラワークも上手い。 好きな映画というわけじゃないけどけっこう満足して、簡単に作ったお雑煮を食べてから自転車をキコキコこいで散歩(というかサイクリング?)に出かける。 天満橋のジュンクで本でも見て遊ぼうかと思ったが、ここは3月まで改装のため閉店なのだった。ショック。生活の楽しみが2ヶ月間だけ減ってしまう。 道も空いていて走りやすいためそのまま本町あたりまで突進して、天牛堺へ。特に何も期待せず棚を見ていたのだけれど、1500円均一台でついについについに、「映像のポエジア」を見つけた。こんなところにいたのか愛しい人よ。何度も何度も図書館で借りて(未だ読了したことないけど)、でもどこででも出会えなくて、もう半分あきらめていた憧れの本だったんだけど、めぐりめぐってようやく私のもとへ来ることになった。古本の神様ありがとう! とまあ、興奮したところで勢いがついて、あと2冊も一気に買って、近くのドトールで日暮れ近くまでがっつり読書。「空襲下日記」が予想以上に興味深く面白いのも収穫であった。 帰ってから、ビーフカレーを作る。夜、ビデオで中国映画「スパイシー・ラブ・スープ」を観たが、時間切れのため感想は省略、また気が向いたらね。 ・購入物:アンドレイ・タルコフスキー「映像のポエジア―刻印された時間」(キネマ旬報社) 東松照明「さくら・桜・サクラ66」(ブレーンセンター) 添田唖蝉坊・添田知道著作集3「空襲下日記」(刀水書房)全て古書
・朝食:バタートースト、オムレツ、珈琲、ヨーグルト 昼食:お雑煮(大根とみつ葉入り) 夕食:ビーフカレーライス、ポテトサラダ、ホウレンソウのバター炒め、麦酒
2005年01月03日(月) |
それでは試験にクライスラー |
午前7時起床。お弁当作りの後、朝ごはん、後片付け、洗濯、ザーッと掃除機をかける、などすっかり平常営業だ。お正月はもう終わりました。もしかしたら、始まってなかったのかも。まだカレンダーも取り替えてないし。
午前中、4日分の日記を書く。タラタラタラタラと愚にもつかぬことをよく書けるなあ。全く変なヤツだ。 その後、嫌々ながら、気が進まないながら、義理にしばられ仕方なく、年賀状を作ろうとしてみる。してみるが、肝心の年賀葉書を買い求めていないことに気がついて、ポテポテと歩いて郵便局に行った。 郵便局に行ったついでに、スーパーでバターと低温殺菌牛乳、お昼ごはん用にパンも買う。今日は晴れてだいぶ暖かいようだ。
パソコンに向かって簡単に年賀状を作る。山頭火の俳句を入れてみる。葉書を書きながら、毎日放送ラジオでやっていた六代目笑福亭松鶴の「らくだ」を聴く。落語の後は、CD棚にあった小林旭の「アキラ4」を聴く。イヤー、小林旭は良いわ。例えば、「ショーがないね節」とか。 『ショーがない ショーがない ショーがないね こんな時世じゃショーがないね それでもいのちのあるかぎり 生きてゆかなきゃショーがないね あなたをお嫁にもらうとき 生命保険の受け取りに あなたの名前を書いてやろ それが愛だよ ショーがないね』 だってさ。ええ唄やー。ずっと聴いてると、頭がクルクルしてくるけどね。
夜、ごはんを食べながらテレビで「ナニワ金融道」をザッと観る。小林薫ファンなので。このドラマでの小林薫は特に好きだ。 寝る前に、埴谷雄高「幻視の詩学」を読む。 ・購入物:なし
・朝食:お茶漬け(水菜の漬物、紀ノ川漬け)、数の子、田作、など 昼食:メロンパン、ミルク珈琲 夕食:鰤の照り焼き、蛸のお刺身、お雑煮、おせちの残り、麦酒
お正月2日目。午前8時半起床。雪がうずたかく積もっている。空はすっきり晴れて雪にさんさんと日が降り注いでおり、外の景色が何だかまぶしい。 お風呂に入って、おせちをいただく。Tのお母さんに大根の炊き方と魚のさばき方を教えてもらう。今年の目標のひとつとして、ちゃんと魚をさばけるようになること、というのがあるのだが、私に出来るかなあ。良い包丁を一つ買いなさい、というアドバイスをもらう。小林カツ代も、5000円以上はする自分に合った良い包丁を買うように、と言ってたな。さっそくどこかに見にいこう、と、「包丁を買うこと」と手帖にメモ。相変わらずメモ魔だな。
10時半くらいに家を出て歩いて1時間ほどかかる神社に初詣。比叡山に登りたい、とか何とか言ってはみたが、雪の深さに夢破れた。去年も行った日牟礼神宮にお参りして、おみくじをひく。おみくじは「凶」。「やることすべて裏目裏目にでて、八方塞がりの年です」と書いてある。ワオー、エライことだ。つづけて「しかし、心をつくし先祖を敬い努力を続けていけば、運は次第に上を向き上昇の一途をたどり良い一年になるでしょう」とも書いてある。結局のところどないやねん、このおみくじ。インチキくさい。今年も100円捨ててしまったようだ。
お昼もご馳走になり、お正月の風景と称していろんなところでバチバチとみんなで写真を撮り、またたくさんの食料と、Tがダビングしてコレクションしていた膨大な映画のビデオの中からいくつかカバンにつめて、夕方大阪にむけて帰る。寝不足のためか、帰りの車内ではほとんど居眠りしていた。
家に帰ってからも、おせちを広げてまた酒盛り。よくこれだけ食べられるものだ、特に蓮根と人参、ゴボウとこんにゃく、このあたりの野菜を一体どれくらいの量食べたことだろうか。さすがにもう飽きてきた。 夜は、昨日買った新書や、チェーホフの短篇をいくつか、ポツポツと読んだ。新年になってから、まだ一度もテレビを観ていない。 ・購入物:なし
・朝食:おせち(昨日とおなじようなもの)、お雑煮、大根とすじ肉の煮込み、お酒(月桂冠) 昼食:カキフライ、ポテトフライ、キャベツサラダ、鰤のお刺身、ごはん、麦酒 夕食:おせち(昨日の残り。飽きてきた。でもまだまだある)、ポテトサラダ、お酒(剣菱)
えーと。 去年も一年間、毎日毎日、日記を書きました。説明不足で向上心がなく不親切極まりない私の日記を読んでくださって、ホントにありがとうございました。今年も毎日書きますので(たぶん)、よろしければまたお越しください。ご意見ご質問等々は、メールでいつでもお気軽にどうぞ。 良い年になりますように。でも「良い年」ってどんな年でしょう?
正月。特にどうということはない。いつもと同じ普通の朝だ。ちと寒いけど。これまたいつもどおり洗濯をする。 実家からもらってきたり、買ったりして、食べるものと呑むものががふんだんにあることが、心の充実につながっているようで、実に豊かな気持ちだ。ラジオで曲名はわからんが何やらめでたそうなクラシック音楽を聴きながら、朝ごはん。旨し。 11時すぎから、NHKラジオで里見とんの自作朗読(録音。もちろん)があるというので聞いてみる。里見とん、読むの下手くそだわ。何のことだかさっぱりわからん。ちょっと聞いていたが話がまったく見えてこず、飽きてそのまま12時半くらいまでグウと寝てしまう。
洗いものをして、お風呂に入ってから出かける。Tとともに滋賀県へ帰るのだ。これも毎年の恒例行事となっている。バスに乗って大阪駅まで。JRに乗る前に、出来たときはバカにしていた本屋「book studio」に入って、電車の中で読むために今年初めての本を買った。普段、本屋さんではカバーも袋も断るけれど、初めて買う本屋さんでは最初一度だけはカバーをしてもらうことにしている。「book studio」のは茶色で落ち着いたデザインで、カバーは嫌いじゃない。
大阪ではすっきり晴れて穏やかなお正月だったのが、トンネルをぬけて山科に出ると雪がまだ溶け残っており、もうひとつトンネルをぬけて大津に入ると、より雪が多く積もっていて、なんだなんだと思っていると、だんだん黒い雲が立ちこめてきて、近江八幡に着いた時にはひどい吹雪になってしまった。斜めにドドドと雪が降りしきり、前が見えない。大阪から電車で一時間ほどであるが、やっぱり滋賀県は「プチ雪国」であった。甘くみていた。 出てくるときは雲ひとつなく晴れていたから傘をもっておらず、駅前のショッピングモールで、雨宿りならぬ雪宿りする。私たちは永井荷風じゃないからいつでも傘を持っているというわけではないのだ。 待っていると少しマシになったので、ホテホテと歩いてTの家まで行く。今日に限ってはき慣れぬブーツをはいてきたのが失敗だ。すべらぬように気をつけて歩く。
Tのお家ではご馳走三昧。みんな元気そうでよかったよかった。夜には3時間くらい花札をしたが、最後まで全然良い札がこなくて、今年は私のボロボロ負け、ずいぶん巻き上げられた。今年は勝負運がないかもしれないな。 夜中にまた少し雪が降っていたもよう。失意のうちに眠る。
・購入物:工藤幸雄「ぼくの翻訳人生」(中公新書) ・朝、昼兼用食:おせち(煮しめ、数の子、五目なます、酢れんこん、たたきゴボウ、田作など)、鶏の照り焼き、お雑煮、お酒(剣菱)、麦酒 夕食:鯛、エビ、おせち(朝とおなじようなもの)、お雑煮、お酒(月桂冠)
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