昨日・今日・明日
壱カ月|昨日|明日
休みを取って旅行へ行っていた上司が本日より出社。留守中に私が勝手にすすめた仕事は、さして良い結果も生まなかったが対処としては間違っていなかったようで、なんとなくホッとした。お土産に野沢菜を貰った。
洋服と靴を見て帰るつもりだったのだが、会社を出るのが遅くなってしまったのと、少々疲れていてこれから試着したりするのが億劫になったので取りやめ、真っ直ぐ家路を辿る。 帰り道にある古本屋さんの軒先に、芸術新潮が何冊か置いてあるのが目について自転車を止めて物色、1982年4月号「洲之内徹の〈心情美術史〉」の特集号を一冊買う。この頃の芸術新潮は、全体的に落ち着いていて、写真や絵画と文章がほどよいバランスで載っているので好きだ。この号では、洲之内徹の他に石元泰博による桂離宮の特集もあり、白洲正子の随筆、テオ・アンゲロプロスのインタビューまであって、めちゃくちゃお買い得だった。 それから地元の本屋さんで「東京人」を買う。
今日は暖かいけれど明日から11月なので季節感を出すため、リビングに絨毯を敷く。ついでにストーブも出しちゃうおうか、と思ったがさすがにそれは止めた。 そして、久々にキノコスープを作る。
突然ですが、リクエストにお応えしてキノコスープのレシピ紹介をいたします。エリンギや椎茸、マイタケ、しめじなどを切り、酒を入れてしんなりするまで炒めて、適当な量の水を入れ、鶏ガラスープと醤油を適宜入れて煮立て、食べる直前にレモンをしぼって出来上がり。 ほうら簡単、どんなにドンくさい人でもできます。材料、調味料等の分量は全ていいかげん、私の料理の辞書に「分量を量る」という文字はありません。失敗しても大丈夫、終わってしまえば全ていい思い出です。
・購入物:「芸術新潮」特集:洲之内徹の心情美術史 古書 「東京人」特集:落語に生きた親子三名人
・朝食:バターロール、スクランブルエッグ、ソーセージ、珈琲、みかん 昼食:ピロシキ、野菜ジュース 夕食:ジャーマンポテト、わけぎと揚げのゴマ酢和え、キノコスープ、野沢菜、ご飯
ここ2日ほど上司が休みをとっているので、仕事を勝手にドンドン進める。いちいち判断を仰がなくていいので楽だけど、後で問題になりそうな気がしないでもない。
まあ、そんなことはどうでもよくて、今夜はひとりでピカデリーに「キル・ビル」を観に行った。なんだあ、オモロイやん。これはこれでいいんじゃないかなあ。宣伝費の高くついた超B級映画だ。 強い、強い、ユマ・サーマン。ユマ・サーマンは「スケバン刑事」の麻宮サキを演ればいいのに。「梁山泊編」かなんか、ハマルと思うけど。最後、ルーシー・リューがレイ・リオッタみたいになったのが、なんともかんともお気の毒。 後席の男性客がお菓子を食べながら、うひゃうひゃ笑って喜んで観ていたので、人によっては大いに楽しめることでしょう。 でも、これまでは完璧だった編集が、今回ちょっと雑だったような。特に音楽の入り方が中途半端で精彩を欠いていると思った。それから、千葉真一は力を抜いて演技することを、もうそろそろ覚えたほうがいいんでは? 理解に苦しむところ、腑におちないところも多々あるが、次回を観ないと文句のつけようがない。マイケル・マドセンをもっと見たいので、vol.2も観に行かねばなあ。
外でご飯を食べて帰り、珈琲を飲みながらLDで「パルプ・フィクション」を途中まで見る。この映画の会話は完璧だ。やっぱりタランティーノの映画は会話がないとなあ、とも思う。
・購入物:なし
・朝食:クロワッサン、珈琲、プレーンオムレツ 昼食:お弁当(枝豆ご飯、小芋の煮付け、鶏肉の照り焼き) 夕食:外食(野菜かき揚げうどん)
ゴホゴホ、咳が止まらない。咳が出るほかはいたって元気で、今日も朝からホテホテ外回り。天気は快晴で暖かく、こんな日に布団を干したらフカフカになるだろうなあ。
外回りの途中で、ブックオフに寄る。見知らぬ街で古本屋さんを見つけたら、仕事中でも何でもとにかく入ってみること。思わぬ発見があるかもしれないもんね。 今日は100円コーナーで旺文社文庫の田中小実昌「コミさんの二日酔いノート」を発掘できた。めでたい。この本は映画についての記述が多いところが嬉しい。「砂の器」がナニかの賞をもらったらしいけど、あんな大イモ映画に賞をやるなんて何考えてんだろう、みたいなことが書いてあって、思わずふふふと笑ってしまう。 あと2冊、文庫本を買う。
多和田葉子「容疑者の夜行列車」読了。多和田葉子の小説を読むのは久々。というか女の人が書いた小説を読むこと自体、かなり久しぶりだ。ここのところ、とっくに死んでしまったオッサンかオジイサンが書いたものばかり読んでいたから、なかなか新鮮でよかった。 駅、列車、性別、国、夜、街、顔、子供、植物園、映画館、安心して信じているものそれぞれが、やがて奇妙にねじれていく、それがとても怖い。ここで行われている旅とは、闇の中から手がすっと伸びてきてどこかに連れて行かれることのようだ。 これは途中で止まらず、一気に読んだほうが面白いような気がする。通勤電車の中などでなく、静かな夜にひとりでね。
・購入物:田中小実昌「コミさんの二日酔いノート」(旺文社文庫) 小沢信男・編「犯罪百話」(ちくま文庫) 色川武大「喰いたい放題」(集英社文庫) すべて古書
・朝食:大根の味噌汁、ご飯、海苔、カツオ 昼食:メロンパン、みかん、ヨーグルト、珈琲 夕食:サンマの塩焼き、白菜と揚げの煮物、枝豆ご飯
二日酔いではないけれど、睡眠不足のためか一日中眠くてダルい。 いつの頃からか、外でお酒をたくさん飲んで帰るとなかなか眠れなくなるという変な癖がついてしまって、昨夜もお風呂に入ってから植草甚一の「コラージュ日記」を喜んで眺めたりしていたのでほとんど寝ていない。 植草甚一の字、いいなあ。こんな字を私も書きたい。他に憧れの字を書く人に堀内誠一がいる。このふたりの書く字はただ見ているだけで、ほのぼのと楽しくなってくる。
今日は早めに帰宅。晩ご飯の支度をしながら、2週間分撮りためておいた「世界の快適音楽セレクション」を聴く。この番組の飄々としたところが大好きで、毎週MDに録音して聴いている。 先々週の放送分を流していたら、三上さんがジョアン・ジルベルトの横浜公演について語っていたので、エッナニナニ、と料理の手を止めて耳を傾ける。三上さんも横浜公演に行っていたとはつゆ知らず。話を聞くと、かなり前列で観ておられたようで、うらやましいかぎり。ギターのチューニングを合わせる度、ジョアンが「sorry」と言っていたとは、いくら耳を澄ませていたとはいえ私の席からは聞こえなかった。 あのライブは本当に凄かった。何人かにライブの感想を聞かれたが、どんな言葉も違うような気がして、うまく答えられなかった。確かに良かったし素晴らしかった、でもただ良い、ただ素晴らしいっていうだけじゃないんだ。それでは全然言えたことにならない。言葉はこういう時、じれったいなあ。 三上さんのライブレポートにもそんなじれったさが感じられて、おお同士よ、という気分になった。
夜になって咳がひどくなってきたので、早めに就寝。アホでも風邪はひくんだね。
・購入物:なし
・朝食:ゆで卵、みかん、牛乳、珈琲 昼食:チキンサンド、ヨーグルト 夕食:豚肉とニラと小松菜の炒め物、大根の味噌汁、水菜のゴマ和え、海苔、ご飯
朝起きたら、熱が下がっていたので会社へ行く。まあ下がっていなくても行くんだけど。休むことさえ面倒くさい。
おまけに会社およびその周辺の人たちと飲みに行くことになってしまった。風邪を理由に断りたかったがうまくいかず、結局夜中の2時まで飲んだ。新地の片隅のスナックでカラオケにまでつき合って、そのしんどかったことと言ったら、ここ数ヶ月で一番だ。とにかくテンションを上げ続けるのが、とても疲れる。 普段から何とかカラオケなんか行かずに生きていきたいと思っているんだけどなあ。とにかく人が歌っているのを聞くのがまるで拷問のようだ。みんな自分は歌が上手いと思いこんでいるようだけど、全然ダメです。自分に酔っていて気持ち悪いだけ。しかも歌う曲がことごとく愚劣でつまらない。世の中ではこんな凡庸な歌が好んで歌われているのかと思うと、呆れるのを通り越して感心するわ。ああバカバカしい。
私が居酒屋で気持ちの全然こもっていない会話を交わしている時、阪神が負けてしまった。 私の予想では4勝0敗か4勝1敗でダイエーが勝つだろうと思っていたので、3勝できたことだけでもよくやったなあ、という感じがする。10月の末になっても野球を楽しめただけでもよかった。勝ち負けは確かに大事かもしれないが、それが全てではないとも思う。今年は一度も甲子園に行けなくて残念だったけれど、充実したシーズンだったと思う。
・購入物:なし
・朝食:トースト、ツナと卵のサラダ、珈琲 昼食:ゴマチーズパン、牛乳 夕食:居酒屋で(寄せ鍋、お刺身)とにかくヤケくそで夥しい量のお酒を飲んだ。飲まなくてはやってられん。生麦酒、焼酎、ブランデー、など。全く酔えませんでしたけど。
信じられぬことに本日は仕事。鬱々として気が晴れず。 2,3日前に私を大いに腹立たせた女に会った。でも今日の彼女は気味が悪いくらい優しくて、ご機嫌が良かった。お昼にお弁当もくれたし、なんかいい人だった。私にとって食べ物をくれる人はみんな「いい人」なのだ。なごやかに談笑までした、私は単純バカ。
書店に寄って、本を一冊買って帰る。 夜になって、なんとなく体がだるいなあ、と思っていたら喉まで痛くなり、少し熱が出た。日曜日に働くなんて慣れないことをしたせいかも。7時頃から大人しく寝る。 こうしてまた「決定的瞬間」を見逃すんだわ、と無念に思っていたけど、どうやら「決定的瞬間」は明日に持ち越されたようだ。良かったような、悪かったような。
・購入物:瀬戸俊一編「植草甚一コラージュ日記1」(平凡社)
・朝食:カレーライス 昼食:もらったお弁当(玄米ご飯、野菜の煮物、大豆、ほうれん草のおひたし、など) 夕食:外食、近所のうどん屋で、はいからうどん、親子丼(小)
いつもどおりに起きて、来週の打ち合わせのため今日は中央図書館へ。昨日発見できなかった資料も無事借りられた。 午後には図書館を出て、自転車でなにわ筋を北上し、四つ橋筋沿いのお店でハヤシライスを食べる。 それからジュンク堂で本を2冊買う。久々にマンガを買った、辰巳ヨシヒロの「大発見」。『なるほど…前向きに生きることへの強い抵抗感からうしろ向きに歩くことになったというわけじゃね』という帯の言葉に惹かれて。うしろ向き万歳。 一旦帰って少々お部屋のお片づけなどしてから、夕方髪を切りに行く。短くしたら子どもみたいになった。 美容師が、年末にソウルセットが活動再開するらしいよ、と言っていたけど、それはホントにホントなんだろうか。年末といわず、明日にでも復活してくれたら嬉しいんだけどなあ。 スーパーで買い物をして帰る。みなさんの買い物かごの中身を見たところ、今日のメニュウは鍋物だ、というお家が7割くらいあると思う。私もグツグツおでんを煮る。 今日は私の心をかき乱す例のやつがないので、心静かに読書にいそしむ。
「趣味は読書」読了。斉藤美奈子に言わせれば、私は「読書依存症」だということになるのかな。 『新刊情報にやたらくわしく(まあまあくわしいな)、年中本に関するゴタクばっかりこねている(こねているかな)。書評や書籍広告にもよく目を通し(通すなあ)、読んだ本についてあれやこれやと論評し(そんなタイソウなもんじゃないけど文句はつけるな)、頼まれもしないのに、ネットで読書日記を公開したりする(これは読書日記ではない、ただの日記)。目的がなくても書店があると入ってしまい(入ってしまう)、買う気がなかった本まで買ってしまい(うーん、買いたい本しか買わないな)、本の置き場所がないと悩み(悩む)、きっぱり売り払う勇気もない(ない)』( )内は私の気持ち。 とまあだいたい当てはまってるし、この本に出てくる本も見事に読んだことがないしなあ。あ、ひとつだけあった、「動物占い」の本。職場に置いてあったのを読んだ。自分が何の動物だったかさっぱり忘れたが、あまりのバカバカしさに唖然としたことは覚えている。
・購入物:保坂和志「書きあぐねている人のための小説入門」(草思社) 辰巳ヨシヒロ「大発見」(青林工藝社)
・朝食:トースト、目玉焼き、珈琲 昼食:外食、ハヤシライス 夕食:おでん、麦酒
仕事の打ち合わせで、久々にムカムカする女に会った。初対面だったのだが、名刺交換の時から何か高飛車で、妙にエラソウにしていて、仕事の話の時からなんとなくイヤな奴だと感じてはいたが、雑談している時に子どもの自慢話をひとしきり喋った後でいきなり、「お子さんはいらっしゃらないの」と聞いてきた。「どうしてつくらないの」とさらに聞いてくる。なんでこんな超個人的な質問をしてくるのかわからない、バカじゃないだろうか。 女は笑って、「女は子どもを生んでこそ一人前ですからねえ、それが女の幸せよ」と言ったので頭にきて、目と目の間を拳骨で殴ってやろうかと思った。女の幸せとかいうやつをどう解釈しようと勝手だけど、それを人に強要するのはやめてくれ。ワクワクするほどイヤな奴だった、あと何回か会うことになると思うけど、いつかホントに殴ってしまうかもしれないなあ。
帰りに自宅近くの図書館へ行く。仕事で使う資料を探さなければならなかったためだが、結局肝心の本は見つからず、結局自分が読む本だけ借りた。よくあるパターン。借りた本は、大村彦次郎「文壇うたかた物語」、多和田葉子「容疑者の夜行列車」、斉藤美奈子「趣味は読書」の3冊。 閉館までねばって、近くの商店街で鶏肉と卵を買って帰る。閉店間際だったので、店のおじさんが鶏肉を半額にしてくれた。
帰って、今日も懲りずに野球を観る。昨日の試合は胃から血が出るかと思ったが、今日はまだ安心して観ていられた。阪神ファンも長くやってきたが、ようやくこの年になって、選手を信じるという真の意味を理解できたような気がする。って何のこっちゃわからんが。 とにかく勝ってよかった、日本シリーズをやっている間は晩ご飯も喉につまるような気がしておちおち食べていられないけれど、それもまあ贅沢な悩みだと思うことにしよう。
・購入物:なし
・朝食:豆腐とエノキダケの味噌汁、ご飯、海苔 昼食:お弁当(コンニャクのきんぴら、枝豆、ゆで卵) 夕食:鶏肉と里芋の煮物、キャベツと卵の炒め物、コンニャクのきんぴら、ご飯)
昼間は暖かだったのに、日が沈んでからどんどん寒くなっていった。帰りにちょっと喫茶店に寄り道、珈琲を飲みながら山田稔の「影とささやき」を読む。昔の文章が収録されているのか、ところどころ今と文体が違うところがあるなあ。 そうだったこうはしていられない、今日は家できっちり阪神を応援するつもりだったんだ、と思い出し家路を急ぐ。そして夕食を作りながら、テレビで野球を観た。
疲れた、実に疲れた、野球を観てこんなに疲れたのはここ数年ない。 昔々、野球部の恋人がいたことがあって、その人の試合を見に行くたび、神様どうかアノヒトがここでヒットを打ちますように、アノヒトがヒットを打ってくれたら私のこれからの人生何にもいいことがなくてもいいです、イヤなことが死ぬほどあってもいいです、どうかアノヒトにヒットを打たせてください、なあんてかわいい祈りを八百万の神様に捧げていた。今日、桧山やアリアスや金本が打席に立った時、なんと十何年ぶりに祈ったね。こんな自分がまだどこかに残っていたとはびっくりだ。おかげで焼いていた鮭を焦がしたわ。 たかが野球だ、とは百も承知なのに、応援している時は、今この時この試合ほど大切なものなど地球上にない、と思ってしまう。時が経つと全人生賭けて祈っていたことなど、すっかり忘れるんだけど。
とにかく今日は10時半頃まで何にも手につかなかった。「白い巨塔」も観るの忘れてた。疲れた。
・購入物:なし
・朝食:トースト、珈琲 昼食:会社近くの商店街で買ったお弁当、豆ご飯とシュウマイとかサラダとかキンピラゴボウとかなんかそのようなものが入っていた 夕食:鮭のムニエル、山くらげとコンニャクの炒め物、豆腐とエノキダケの味噌汁、ご飯
早めに仕事を切り上げて、まずはジュンク堂へ。何ヶ月も心待ちにしていた、ポーリン・ケイルの映画評論集を買う。それから、ふとのぞいた棚にあった中平卓馬の写真集も衝動買いしたので、会計がえらく高くついてしまった。
本屋の後は、急いでガーデンシネマへ。今日は「突然炎のごとく」を観た。 誰だって、楽しい時間が長く続いてほしい、できれば永遠に続いてほしい、と願いはする。でも大抵うまくはいかなくて、思い通りにならない人生と折り合っていかなければならないことも知っている。カトリーヌはジュールとジムと共に生きる楽しい時間を、永遠に自分のものにしたいという願いを決して諦めなかった。カトリーヌは、確かに常軌を逸した女ではある。でも同時にたまらなく魅力的に見えたのは、その「決して諦めない精神」のせいだ。私には真似のできない生き方だからだ。 それにしてもトリュフォーは、優しくてちょっと情けない男と自由奔放な女の三角関係を撮るのが巧いなあ。 この映画、初めて最初から終わりまでちゃんと観た。なるほどこんな話だったのか。でも、ジャンヌ・モローがセーヌ川に飛びこむシーンでふと阪神のことが気にかかり、今頃試合どうなってるだろまたバカスカバカスカ打たれてんじゃないだろうかああ心配だ、などと甲子園に思いを馳せたりしていたので、しっかり映画に集中していたとは言い難い。
終了後急いで帰宅。Tが作ったお好み焼きと焼きそばを食べながら、野球を観る。10回裏の攻撃に間に合ってよかった。ついうれしくて、ビールをいっぱい飲んでしまい、反省、反省。
・購入物:ポーリン・ケイル「明かりが消えて映画がはじまる」(草思社) 中平卓馬「原点回帰ー横浜」 森まゆみ「東京遺産」(岩波新書)
・朝食:レンコンと人参のキンピラ、カボチャのサラダ、ご飯、海苔 昼食:チーズカレーパン、サツマイモパン、牛乳 夕食:お好み焼き、キムチ焼きそば、麦酒
夜、NHKのニュウスで松坂屋の大阪店と樟葉店が来年閉鎖されることを知った。常々、客の少ない百貨店だとは思っていたけれども、とうとうこの日が来たか。 ということはつまり、ジュンク堂の天満橋店もなくなる、ということで、これで好きな本屋さんをまたひとつ失うことになる。静かで眺めがよくて、大阪では一、二を争うくらい好きな新刊書店だったのに。大阪城近辺を歩いて本を買って帰る、または、淀屋橋から中之島、北浜をまわって本を買って帰る、という散歩コースからひとつ大きな楽しみがなくなってしまう。私のささやかな楽しみを次から次へと奪っていく、この元凶はいったい何だろう。 閉店するまでにせいぜい通って、本をたくさん買おう。
雨が降っているので、バスで帰る。車内でチェーホフを読んでいるうち寝てしまって、停留所をふたつ乗り過ごしてしまった。バスを降りたら雨は止んでいたので、傘をひきずってとぼとぼ歩いて引き返す。停留所ふたつぶんとはいえ、普段あんまり来ないところなので、今まで入ったことのないスーパーやパン屋さんをちらちらのぞきながら歩くのがなかなか楽しくて、たまにはバスを乗り過ごしてみるのもいいもんだ。
家へ帰って、フィッシュマンズを流しながら、お惣菜を作る。「あの娘が眠ってる」を久々に聴いて、なんていい曲なんだろうとあらためて思った。
・購入物:なし
・朝食:コロッケサンド 昼食:お弁当(白ネギの卵とじ、キンピラゴボウ、ご飯、海苔) 夕食:鶏肉と冬瓜の煮物、レンコンと人参のキンピラ、坊ちゃんかぼちゃのサラダ、ご飯、焼酎
朝8時30分すぎ、さあ今日もステキな職場へまいりましょう、と靴を履いていると、家の電話が鳴る。履きかけていた靴をぬいで電話に出ると、「ムラナカさんのお宅ですか」とおばさんの声。違います、と切ろうとすると、「ええーおかしいわねえ、あなたお嬢さま?お母さまはいらっしゃらないの」と食い下がってくる。私はいかにもお嬢さまだが、お母さまはここにはいない。いません、と答えると「あらそうなの、まあいいわ、ちょっと浄水器の説明を申し上げますから聞いてくださる?」などど言う。なんだあ、間違い電話をかけてきて営業する気か。聞きたくありません、と言うところをさえぎり、「まだ何にも言ってないじゃないの、当社の浄水器はマイナスイオンが…」とおばさんがどうのこうのと喋っている途中で電話を切ってやった。時間があったら文句の二つや三つをがなり立ててやるところだが、今から仕事に行かねばならない身、誠に残念。おかげであやうく遅刻するところだった。
仕事は早々に切り上げ、上映前、ギリギリにすべり込んでガーデンシネマで映画を観る。ここのところ毎日のようにこの映画館に来ているのだから、そろそろ顔パスにしてほしいもんだ。 今日はトリュフォーの「恋のエチュード」。これは初めて観た。 木々の緑や海の青、陽光、闇にうかぶ蝋燭の炎、書物や彫刻、絵画など、画面に映されるものどれもこれも本当に美しかった。思わずうっとり。ここ何本か観たトリュフォーの映画の中でも、画面の美しさはピカイチだ。 でもストーリーには感情移入できるところが少なく、あまり入り込めなかった。特にジャン=ピエール・レオーの情けないマザコンぶりと優柔不断には、アンタには自分の意志がないのかよ、と後ろから跳び蹴りしてやりたくなった。
終了後、急いで帰って夕食の支度。今日は野球がないので、心穏やかに過ごせるわ。
・購入物:なし
・朝食:バターロール、オムレツ、珈琲 昼食:蒸しサツマイモ、珈琲 夕食:鶏とチンゲンサイのキムチ炒め、白ねぎの卵とじ、野菜スープ、ご飯、焼酎
なぜか朝4時に目が覚める。まだ日も登らぬうちから起き出し、人参、ジャガイモ、玉ねぎ、キャベツ、レタス、ソーセージなど冷蔵庫のあまりものをかき出して野菜スープを作る。コトコト煮ながら日記を書いて、織田作之助「六白金星」「アド・バルーン」「世相」を読んだ。スープが出来上がった頃に猛烈に眠くなり、11時半まで寝た。 起きたらとてもお腹が空いていて、寝ぼけていたのか、スープをつくったことをすっかり忘れて、近所に中華料理を食べに行ってしまった。バカだ。
午後、夕方近くになってからおでかけ。映画を2本観る。 ひとつめはトリュフォーの「柔らかい肌」。この映画を観るのは2回目。前はラストの展開にただただ唖然とするばかりだったので、今回は細部をしっかり観ようと心がけた。 妻子ある文芸評論家が美しいスチュワーデスにトチ狂って離婚まで決意した途端、女にスルッと逃げられる。仕方なく妻との関係の修復に努めようとするが、時既に遅かった、という話。 ゆっくり行かねばならない時に急ぎすぎ、早く解決しておかねばならない時に悠長に構えて、主人公は「絶好のタイミング」をいつも逃す。堅実に歩んできたであろう今までの人生を、たった一度の出会いで踏み外し、自分の感情さえコントロールできなくなって、頭を抱えた時にはもうとりかえしがつかないところまで来てしまっている。これは映画の中だけでなく誰にでも起こりうることで、女のことで東奔西走する滑稽な男の姿を、きっと誰も笑えない。
ふたつめはレイトショウでキアロスタミの「10話」。公開を楽しみに待っていた映画。 説明なし、音楽なし、感傷的な表現もなし、車の中でただ会話しているだけの映画。映像はおそろしく単調だけど、全然飽きない。最後は泣いた。結局人間をしっかり見せとけば、それだけで十分面白くて、他は何にもいらなんじゃないかと思ってしまう。 こういう映画こそ多くの人に観てほしいと思うんだけど、観客は少なくて、映画研究会の部室のような雰囲気だった。
帰ってから、今度は忘れずに、野菜スープを食べた。
・購入物:「10話」のパンフレット
・朝食:珈琲 昼食:外食(酢豚、シュウマイ、サラダ、ご飯) 夕食:穴子キュウリ巻き、野菜スープ
休日出勤。イヤだ、イヤだ。あんまりにもイヤなので、昼から出勤してやった。今日は一日、とてもよい天気で、こんな日に働くのが一番イヤだね。
帰りに天神橋筋商店街でお買い物。古本を何冊か買った。 値がついていなかった、島村利正の師匠である瀧井孝作の箱入り本は、箱がインクで少し汚れているから、と言って本屋のおじさんが100円にしてくれた。うれし。この本には瀧井孝作が芥川賞の選考委員だった頃の選評が載っていて、その中に洲之内徹の小説への評があったので欲しくなったのだ。まあ、酷評なんだけど。 一緒に買った三田村鳶魚の「大衆文芸評判記」は、吉川英治や大佛次郎などの大衆小説に対して時代考証批判を延々と繰り広げる、という本だ。「お前ちゃんと調べて書いてんのか!」と、三田村鳶魚の怒り爆発。最後のページに前の持ち主による書き込みあり。 『昭和五十九年五月三十日、我慢ニ我慢ヲ重ネテ本日漸ク読了。大衆文芸作家ノ史実故事ニ対スル無知ヲ怒ルニ急イデ、不快ノ念サエ生ジ、読ミ辛イ』 だって。読むの、しんどかったんだろうなあ。
Tが「キル・ビル」の試写会へ行ってきたらしい。ものすごく機嫌が悪い。全然アカンかったんだって。夕食を食べながら、大酷評を聞く。つまらん映画を見せられた無念さを分かちあいたいのか、前売り券を買ってきてくれたので来週観に行くことにする。私もタランティーノに「怒り爆発!」させちまうんだろうか。
・購入物:瀧井孝作「志賀さんの生活など」(新潮社) 三田村鳶魚「大衆文芸評判記」(中公文庫) 古書
・朝食:トースト、ゆで卵、珈琲 昼食:食べなかった 夕食:豚肉と大根の煮物、きんぴらゴボウ、キノコのオーブン焼き、オクラ、卯の花の炒り煮、麦酒、ご飯
仕事が煩雑で、気分が晴れない。毎日毎日、よくもこれだけややこしいことが起こるものだと思う。私もここから「勇退」したい。でも私の場合、「勇退」したらたちまち暮らしが逼塞してしまうからなあ。
あんまりにも気がふさぐので、映画でも観ようとガーデンシネマへ。トリュフォーの「終電車」を観た。良かった。良い映画を観た後は、世界の色が違って見える。
何が良かったって、音楽が良かった。冒頭のシャンソン「サンジャンの私の恋人」は何度もサントラで聴いていたけれども、映画の中で聴くとまた格別。それから、エンディングの曲。この曲が流れてくるだけでもうダメ、涙線のゆるむこと、ゆるむこと。ジョルジュ・ドルリューは素晴らしい曲を作る人だ。 ドヌーヴがとても美しい。それからリシャール・ボランジェがチョイ役ながらも出ていたのも、嬉しかったことのひとつ。 戦争中であろうと、結婚していようと、仕事に燃えていようと、誰かを好きになる衝動は止められないのだ。それは苦しいことであると同時にたまらない歓びなんだ。この映画がハッピーエンドなのかどうかわからない、でもハッピーエンドって一体何だ?恋愛にも人生にも、そんなものはない。
映画の後、Tと待ち合わせして、おうどんを食べて帰る。 夜は山田宏一の「フランソワ・トリュフォー映画読本」をひもといて、今日の映画の復習を。それから織田作之助の「木の都」を読んで寝る。ああ織田作、かっこいい。
・購入物:なし
・朝食:肉まん、冬瓜のスープ 昼食:カツオおにぎり、海草の味噌汁、ヨーグルト 夕食:外食、めん家にて、かけうどん、野菜かき揚げ、きのこのおにぎり
仕事で、豊中吹田方面へ行く。テクテクと国道を歩いていて、ふと見つけた古本屋さんに入ってみる。好みの品揃えの店ではなかったが、「弔辞大全」の第1巻があった。昨日買ったのは第2巻で、いつか1巻に出会えるといいなあ、と思っていたけれども、こんなに早く見つかるなんて嬉しい。今日の仕事はイヤなことも多々あったけれど、この本との出会いがあったのでちょっと元気が出た。弔辞を読んで元気になるというのも、何だかヘンだけど。 早速電車の中で、杉山平一の織田作之助への、松居須磨子の島村抱月への、芥川龍之介の夏目漱石への弔辞を読んで、目がウルウル。特に芥川の文章は、漱石のお葬式での一部始終が描写してあるだけで、悲しいとか寂しいといった感情を一切書いていないところが、なんともかんとも切ない。
帰って夕食の支度。料理をしながら、買ってきた「キル・ビル」のサントラを聴く。アイザック・ヘイズがかっこいい。どういう場面で使われるのかわからないけど、「ウィークエンダー」のテーマ曲が入っていたりして、懐かしい気分になった。 でも「キル・ビル」って面白いんだろうか。スチールを眺めているだけでは、どうも一抹の不安を抑えがたい。
「白い巨塔」を見ながら夕食。今んとこ、ちと退屈かな。でもこの教授選のゴタゴタが終わって、財前が教授になってからが面白いので、みなさん、もう少し辛抱して見てみるのですよ。前回中村玉緒がやってた役を、誰が演じるのかがキーポイントだと思う。
小島信夫「私の作家評伝1」読了。やっぱり徳田秋声と、意外にも有島武郎の章が面白かった。それから読むといつも思うけど、小島信夫の文章って不思議だ。難しい言葉や言い回しは全然使っていないのに、何か読みにくい。ふんふんなるほど、と一頁くらい読んで、ん?で何が言いたかったんだ?、ともう一回読み直す、という箇所が何回かある。でもこの読みにくさが、何かクセになるのよね。これもまた名文というんだろうか。
・購入物:開高健・編「友よ、さらば 弔辞大全1」(新潮文庫)古書 サントラ「KILL BILL」
・朝食:トースト、春雨のスープ 昼食:ピロシキ、チーズレーズンパン、野菜ジュース 夕食:蛸と白ネギの炒め物、冬瓜のスープ、茄子のゴマ和え、ご飯、焼酎
2003年10月15日(水) |
本当に、アホは風邪をひかないのだろうか |
風邪が流行っているのかしら、身の回りを見渡せば、咳をしている人、鼻水をすすっている人、頭痛を訴える人が多く、熱があってふらつきますのでなどと言って膨大な量の仕事を残して早退する人まででてきた。気がつけば、元気なのは私だけ、という状態。私も風邪うつされるかもなあ、と言ってたら、「アンタは大丈夫。アホは風邪ひかへんから」とNさんに笑われた。ああ、それ絶対言われると思ったよ、この会話はきっと毎年してると思う。
中央郵便局に寄った帰りに、第3ビルのチケットショップでトリュフォーの特集上映前売り5回券を買う。計画では「柔らかい肌」と「恋のエチュード」は必ず行って、後は、この映画を観ずに一体何を観るというのだ、とTに常日頃言われている「突然炎のごとく」も観るつもり。 家に帰って買ってきた前売り券とチラシをTに見せたら、トリュフォーの映画についてまたいろいろと語り始めた。この人に手塚治虫と黒沢明とトリュフォーのことを語らせると、水を得た魚のように滔々と話してくれるのだが、聞いているほうは段々集中力がなくなって、そのうち飽きてくる。今日もちょっぴりウトウト眠ってしまい、チョット聞いてんの、とたたき起こされて、高校時代の授業中の居眠りを思い出した。
チケットショップの近くにあった古本屋さんで、永井龍男の随筆2冊を買った。それと、開高健が編んでいる、明治から昭和の文学者や画家に捧げられた弔辞を集めた「弔辞大全」という文庫本を百円で買った。宇野浩二に捧げる広津和郎の弔辞が読める。 そう言えば私だって、宇野浩二や広津和郎のことを語り出すと止まらないんだった、まあ、どっちもどっちと言うことか。
・購入物:永井龍男「カレンダーの余白」「へっぽこ先生、その他」(講談社文芸文庫) 開高健・編「神とともに行け・弔辞大全2」(新潮文庫) いずれも古書 「フランソワ・トリュフォー特集上映」前売り5回券
・朝食:茄子と玉ねぎのカレーライス 昼食:ポテトサンド、クロワッサン、牛乳 夕食:外食(焼きそば、サラダ、生麦酒)
朝、大切にしていた茶碗を落として割った。パッカリふたつにきれいに割れた。長いつきあいであったが、今日でお別れだ、さみしいな。さみしいけれども、次はどんなお茶碗を買おうかなあと、もう考え始めている私は薄情な奴だ。
午後から冷たい雨が降り、寒い。映画を観て帰るつもりだったが間に合わず(最近こんなんばっかり)、キアロスタミの「10話」の前売り券と、ブルータスを買って帰る。 ブルータスはタランティーノの特集で、記事はそれほど目新しくないけど、写真でタランティーノのビデオコレクションが見られるのは楽しい。ツイン・ピークスのボードゲーム、私も欲しいよ!もうどこにも売ってないだろうなあ。
川西政明「文士と姦通」を読了。妻に浮気がバレた時の、志賀直哉のバカ正直ぶりに愕然としてしまった。女との関係を詰め寄られ、これは浮気ではない本気なのだ、と言って妻を逆上させたり、別れた宣言をしたはずの女とこっそり関係を続け、それを小説に書いて発表し、また一悶着起こしたりしている。シラを切りとおしちゃえばいいのに、根が真面目な人なんだろうなあ。
・購入物:ブルータス「タランティーノによるタランティーノ特集」 ・朝食:ニラと豚肉の炒め物、コスレタスと玉ねぎのスープ、ほうれん草のおひたし 昼食:お弁当(朝とおんなじ) 夕食:塩鮭、小松菜とエリンギの煮びたし、コスレタスと卵の炒め物、ご飯
2003年10月13日(月) |
「赤目四十八瀧心中未遂」 |
朝8時頃から、せっせせっせとお掃除。外はザーザー降りの雨、雷つき。雷にあわせて、隣家の犬がギャンギャン吠える。
雨が止んだ午後から、近鉄小劇場に映画「赤目四十八瀧心中未遂」を観に行く。近鉄小劇場へ行くのは、何年か前に「大人計画」の芝居を見て以来だからかなり久しぶり。上の近鉄劇場でも野田秀樹の芝居を何度か見たりしたが、この劇場ももうすぐ閉鎖されるらしい。こうしてどこもかしこもなくなってしまうのか。
映画は、だいたい予想してた通りの印象だった。やっぱり、小説のほうが凄い。 小説を読んだ時に自分の頭の中で既に世界が構築されていて、あらためて映画で見ると、自分の作り上げた世界との違いばかりが目についてしまうのだ。例えば、主人公が二枚目すぎるし、ちょっと若すぎて人生を背負って生きている重苦しさが感じられない、とか、電話ボックスに置いてあるお金を取ってくる場面や彫眉さんの「包み」を届ける場面の、原作で感じた何とも言えない恐ろしさが描けてない、とか、雰囲気だけの内田裕也の演技はこれでいいのか、とか、なんかいろいろ思って入り込めなかった。寺島しのぶも熱演ではあるけれども、関西弁がなあ。大楠道代は「顔」の方が数倍良かった。 臓物を串にさす、あのグチャグチャという音は、原作を読んだ時の方が鮮明に聞こえた気がした。面白くない映画というわけではない、小説の力が強すぎるのだ、きっと。
劇場がおそろしく寒かったので、体を温めるため早足で千日前通を歩く。文楽劇場でチラシをもらってから、難波であたたかいお蕎麦を食べて帰る。
・購入物:なし
・朝食:トースト、りんごジャム、珈琲 昼食:蒸しサツマイモ 夕食:外食、田舎そばにて、信濃定食(かき揚げそば、いなり寿司)
曇り空。雨が降りそうで降らない、蒸し暑い一日。扇風機をしまったのは、やはり早計であった。団扇でごまかす。
午後から、地下鉄にゆられて谷町へ。生國魂神社や口縄坂などを歩いて文学散歩した後、四天王寺の古本市へ行く。本日のメインイベント。四天王寺の古本祭りは、古本探しもさることながら、お寺に響く鐘の音やほのかに香るお線香の匂いが好きで、本探しに疲れたら木陰で休憩しお茶など飲みながら五重塔を眺める、というのがまた楽しい大好きな古本市だ。
今日の収穫で嬉しかったのはまず、テオ・アンゲロプロスの「こうのとり、たちずさんで」のパンフレット。この映画は「死ぬまでに一度は見たい映画ベストテン」の上位にいつもランクされているのだが、まだ見たことがない。お願いだから早いとこ、アンゲロプロス特集上映をやってほしい。 それからずっと読みたかった寿岳文章・寿岳しづの「日本の紙・紙漉村旅日記」や、図書館で借りて読んで滅法面白かった広津柳浪「今戸心中」を発見できたこと。広津柳浪は今年初めて読んだ作家の中でも、一、二を争う素晴らしさだった。あの興奮をもう一度、ということで近々のうちに再読しよう。 休憩を含めても3時間あまり、じっくりめぐって全部で15冊合計3000円のお買い物。みんな面白そうな本ばかりだが、いつ読めるのかはさだかでない。
四天王寺から天王寺までとろとろ歩いて、晩ご飯を食べてから早めの帰宅。サン・ラーやマイルス・デイビスを聴きながら買ってきた本をひもとく。「美しい暮しの手帖」の 小堀杏奴や内田誠の文章を読んで喜ぶ。 テレビで少しだけ「ハムナプトラ」を観る。おもんなーい、なんじゃこら。出ている俳優たちが誰一人として魅力のないのに驚いた。よくこんなつまらないものが作れるなあ。
・購入物:「こうのとり、たちずさんで」パンフレット 「美しい暮しの手帖 第2号」(暮しの手帖社) 寿岳文章・寿岳しづ「日本の紙・紙漉村旅日記」(講談社文芸文庫) 伊藤整「氾濫」「火の鳥」(新潮文庫)「誘惑」(角川文庫) 安岡章太郎「僕の昭和史1〜3」「軟骨の精神」(講談社文庫) 広津柳浪「今戸心中 他二編」(岩波文庫) 長部日出雄「津軽世去れ節」(角川文庫) 四方田犬彦「日本映画史100年」(集英社新書) 木津川計「上方の笑い」(講談社現代新書」 藤谷俊雄「『おかげまいり』と『ええじゃないか』」(岩波新書) 以上すべて古書
・朝食:巻寿司 昼食:ミルクフランスパン、レモンティ 夕食:外食、古潭にて、醤油ラーメンと餃子
昨夜は結局、4時頃まで本を読んでいたため寝坊、10時起床。 がばっ、と起きて、大切なことを忘れていることに突如気がつき、大慌てで文楽劇場に電話して11月の公演チケットを取った。無事に取れてよかった。これで安心してまた眠れるわ、と寝ころんだが、今日は実家に帰らねばならなかったことを思い出してのろのろ起き出し、シャツにアイロンをあてる。
実家のあたりでは、今日明日と秋祭りが催されるため、母親がお寿司を作ってくれていた。遊びにきていた従姉妹の子ども、ユウスケの手を引いてお祭りが行われている神社へ行く。 お参りをしてから、出店を見る。金魚すくいは、金魚の死に立ち会うのがイヤだから見るだけにして、ヨーヨーつりをした。ユウスケは普段ボーッとしているのに、こういう時はすばしっこくて上手に2つ釣ったけれど、私はさっぱりダメで、ユウスケの収穫をひとつ貰い、お礼に「スケバン刑事ごっこ」をしてやったが、4、5年前に生まれたばかりのユウスケにわかるわけがなく、でもアハハと笑ってくれたのでまあやったかいがあった。 そのあと境内をふたまわりほどして、ユウスケにせがまれてりんごあめを買ってやり、舐めながら家に帰ったら、得体のしれないものを食べさせて!と言って従姉妹と母親に怒られた。鏡で舌を見たら、ふたりとも真っ赤に染まっていた。 その後、サッカーボールを蹴って遊んで、「ぞうくんのさんぽ」を2回読んでやった。日が暮れてから、母親の作ったお寿司と寄せ鍋をみんなで食べて、従姉妹たちは帰って行った。車に乗る間際、ユウスケは帰りたくないと言って、私の手を掴んで少し泣いた。もう片方の手では、ヨーヨーをしっかり握っていた。 自宅では衛生放送が受信できないので、来週からBSで始まる小津安二郎特集をビデオに撮ってくれるよう弟に頼んで、お寿司をもらって帰る。 帰りの電車の中で、ユウスケの泣いているところを思い出したら涙が出てきた。私もヨーヨーを持って帰ってきた。このヨーヨーも何日かすれば空気が抜けて、どんどん小さくなっていくだろう。
「文士の生きかた」読了。徳田秋声と高見順、それからやっぱり近松秋江の章が面白かった。私には近松秋江が、どうも愛すべき人に思えて仕方ない。この辺りの文壇周辺のあれこれが面白いので、続けて小島信夫の「私の作家評伝」を読むことにした。ここでも徳田秋声が取り上げられていて、この人もまあ、いろいろ大変そうな作家人生であるなあ、と思う。
・購入物:なし
・朝、昼食:チンゲンサイとモヤシのラーメン 夕食:実家で、寄せ鍋、お寿司、麦酒
やっと今週も終わったよ、長かったなあ、この一週間。 金曜日になったら本屋さんへ行って本を買おう、もう破産するくらい、家の床が抜けるくらいいっぱい買ってやるのだ、と決めていたので、いそいそとジュンク堂大阪本店に向かう。
文庫と新書を何冊か買って、「文学界」を立ち読み。「フラゴナールの婚約者」と「静かな大地」は買うつもりでカゴに入れていたが、もう少し先の楽しみにとっておくことにして棚に戻したので、まあ今日のところは破産せずにすんだ。でも家の床はぼちぼち抜けるかもしれない。
楽しみにしていた大村彦次郎の「文士の生きかた」を半分ほど読む。 大正から昭和初期にかけての文士のあれこれを読むといつも思うけど、小説というのはまっとうに生きてたんでは書けないものなのか?この辺りの私小説家は揃いも揃って、自ら進んでややこしいほうへ、ややこしいほうへと行こうとするもんなあ。アクが強いというか、もうアクだらけという感じ。葛西善蔵とか嘉村磯多とか、小説を書かなければただのはた迷惑なおっさんだ。この二人の小説はまだ読んだことがないので、今度図書館で借りてこようと思う。 それから芥川龍之介の章を読んだら、またさみしくなってしまった。芥川が死ななくてもいい生き方をするためには、どうしたらよかったんだよう。谷崎などが言うように、小説家にならず学者になっていればよかったのだろうか。文壇の外にいれば天寿を全うできた、と。でも小説を書かずにいるなんてことが芥川にできたのだろうか。いろいろ考えみたところで、あのように生きるよりほかなかったんじゃないか、と思う。そう思うと、さみしさがぐぐぐと押し寄せてくるのだ。
・購入物:大村彦次郎「文士の生きかた」(ちくま新書) 矢野誠一「落語長屋の商売往来」(文芸文庫) 松岡正剛「遊学」(中公文庫) 志ん朝の落語2「情けはひとの…」(ちくま文庫) C・ブコウスキー「ブコウスキーの酔いどれ紀行」(河出文庫)
・朝食:肉まん、野菜と春雨のスープ 昼食:メロンパン、ベーコンとチーズのパン、牛乳 夕食:サンマの塩焼き、大根の煮物、豚汁、ご飯
昨夜よく寝たせいか、今日は何とか少しは頭が働いてくれたようで、ちょっと仕事が片付いた。こうやって何とかなっていくのだろうか。 誰かが乗っているんじゃないかと思うくらい、肩がこっていて重い。ホントに何か乗ってるんじゃないの悪い霊とか、とNさんは言ったが、悪い霊に乗られるような覚えが、はて、あるようなないような。
8時ごろ、ふらふら帰る。今日の月には薄く雲がかかっていて、それもまた美しい。天満宮のところに今日から始まった「古本まつり」の旗がはためいていた。
ご飯を食べながら「白い巨塔」を見る。財前教授は佐藤浩市ではアカンかったのかしら、少し年をとりすぎてるかな。まあ、田宮二郎が演じないなら誰がやってもおなじことだ。それから、関西弁の役が何人いたが、誰ひとりとして満足に話せていなくて、気持ち悪い。ものすごいヘタクソもいたぞ。私に方言指導をさせてくれたら、ビシバシ鍛えてあげるんだけどなあ。
・購入物:なし
・朝食:トースト、オムレツ、珈琲、リンゴジャム 昼食:サツマイモ、ミカン、珈琲 夕食:白菜と白ネギと豚肉の重ね蒸し、カボチャの煮付け、ご飯
疲れた。 考えねばならないこと、書かなければならないものが山のようにあるんだけど、脳味噌をセメダインでぴっちり固められたみたいに、全然頭が働かない。例えば、宛名書きとか、封筒貼りとか、ハンコ押しとか、頭を使わず黙々とやれば確実に終わる仕事がしたい。やったことが目に見えて、きっちり答えのでるような。 ずるずると体を引きずって帰る。献立を考える気力もないので、夕食は外で食べることにする。帰り道のカレー屋さんに入る。全員一人客で、私以外はすべて背広姿のおじさん。ほとんどの人がライス大盛りに、トンカツやエビフライをトッピングしている。あれはものすごくカロリー高いだろうなあ、野菜不足だし。でも、一日働いて疲れている時に、カロリーがどうのこうのと考えていられない気持ちはわかる。
月が綺麗だな、と思ったら今夜は十三夜だった。月を見ながらキコキコ自転車をこぎ、遅くまで開いているスーパーに寄って、朝食用の食パンを買う。ここは、300円のメロンパンや、400円のポテトチップスや、800円の牛乳を置いていたりする高級スーパーで、こういう店ってやっぱり客筋も上品だ。やたらと話しかけてくるおばちゃんや、鼻水を垂らした子どもがいない。小学生くらいの女の子が「ママ、ゴミが増えるからレジ袋はもらっちゃダメ」なんて言っている。エライね、アンタはエライ。
家に帰り着き、何にもせずに畳の上でバタンと寝て、11時半頃の地震で目覚める。地震がなければ確実に朝まで寝ていたと思う。パジャマに着替えて、さらに眠る。今度は朝までしっかり眠った。
・購入物:なし
・朝食:きつねうどん(卵入り) 昼食:ポテトサラダサンド、珈琲 夕食:外食、印度屋にて、野菜(ポテトとオニオン)入りビーフカレー
扇風機をしまう。また季節が戻る日もあるかと用心のため出しておいたのだが、もう使わないだろう。しまった途端、暑くなったりして。
残業。芥川龍之介似のWさんと打ち合わせ。あいかわらず口数が少ない人で、私が主にしゃべる。無口な人を前に話していると、自分がよりいっそうバカに思えてくる。 仕事の話は終わって雑談中、何で競馬の話になったのか忘れたが、私がライスシャワーについて熱く語っていた時、「アナタは、男だったらモテたでしょうねえ」と、Wさんがぽつりと言った。モテたでしょうねえ、って過去形なのは気になるがまあいいとして、その前の、男だったら、っていうのは何だ? 女ではダメなの?と聞いてみると、「ダメということはないですが、まあちょっと」などと言う。後は笑ってごまかし、逃げるように帰って行った。まあちょっと、ってどういう意味だろ。大人しいくせに、わりと言いたいことを言う人だ。
帰ったら、岩波書店から読者プレゼントの蔵書票が届いていた。岩波文庫の帯色に合わせた5色4枚づつのセットで20枚入り。花や梟や船の絵が書いてある、美しいカードだ。で、これはどうやって使うといいもんなんでしょうかねえ。
焼酎お湯割りとともに、チェーホフの「廣野」と「ともしび」を読む。
・購入物:なし
・朝食:コロッケパン、珈琲 昼食:おにぎり(カツオ)、野菜味噌汁 夕食:鮭のムニエルキノコソース、白ネギの卵とじ、ご飯
2003年10月06日(月) |
「チェーホフの感じ」 |
先週行ったプレゼンがとおったらしい。って、他人事のようだけど。これでまた、仕事が増えた。 本来なら、狂喜乱舞すべきところなのかもしれないが、あちょっと面倒くさい、と思ってしまうのが、私のダメダメなところ。でも表面上は喜ぶふりをする。よかったよかった。
そんなことより、本日私が狂喜乱舞したことと言えば、仕事中時間つぶしにふらりと入った天牛書店で、ロジェ・グルニエの「チェーホフの感じ」(山田稔訳)を見つけたことだ。何度も何度も図書館で借りて読んだこの本も、やっと自分の本棚に並べ、いつでも読むことができるのだ、ああうれしい。 それにしても天牛書店は、くるくるとめまぐるしく棚の本が入れ替わる。ここで買う本はいつもとてもキレイで、それでいてびっくりするほど安いので、一週間に一度は必ずチェックしなければならない、大好きな古本屋さんだ。
ジャガイモ、サツマイモ、カボチャなどが大量に届いたため、サラダや味噌汁にして、これらをいっぺんに料理する。今日の夕食は、モゴモゴしてなんだか喉につまるものばかりで、おいしくはあったが、食べにくかった。
・購入物:ロジェ・グルニエ「チェーホフの感じ」(みすず書房)古書
・朝食:きつねうどん 昼食:カレーパン、プレーンマフィン、牛乳 夕食:豚肉と小松菜のピリ辛炒め、ジャガイモとカボチャのサラダ、さつま汁、ご飯
泣きながら寝たので、朝起きたら目が腫れていた。泣き疲れて眠るなんて、まるで20代前半の頃のようだ、こんなに泣いたのも久しぶりだなあ、などど思いながら、8時すぎ起床。 枝雀の「高津の富」と「くしゃみ講釈」を聴きながら、朝食に玉ねぎと人参とサツマイモの野菜スープを作る。
梅田まで、昨日選定したCDとビデオを売りに行く。コーネリアスとかレニーニとかのCD20枚ほどと映画のビデオ4本で、1万円近くで売れた。臨時収入。臨時収入で何を買ったかというと、古本市をやっていたかっぱ横町で古本を買った。やっぱりね。4冊買って千円ちょうど。庄野潤三の「夕べの雲」は文芸文庫で持っているけれど、講談社文庫版の表紙の絵がかわいくてつい買ってしまった。畦地梅太郎の絵。
自転車で帰る。運動会をやっている小学校が何校かある。懐かしい、赤や白の帽子。運動会は、競技が全部終わって、だんだん日が暮れていく中で行われる閉会式のちょっとさみしい感じが、好きだったなあ。 小学校の頃は、勉強はさっぱりできなかったかわり体育はわりと得意だったので、運動会はまあまあ楽しかったが、一週間くらい前からやらされる「運動会の練習」というのが嫌いだった。あれはなんのためなのか、誰のためにやっているのか、さっぱりわからない。特に、リレーの練習を出場者だけ放課後に残ってやらされるのがイヤだった。面倒くさい、早く帰らせろ、と毎年思っていた。
夜、寝る前にまた落語を。「住吉駕篭」と「つぼ算」。ああ、好き。
・購入物:庄野潤三「夕べの雲」(講談社文庫) 山本嘉次郎「洋食考」(すまいの研究社) 小島政二郎「天下一品」(光文社) 藤沢恒夫「大阪の人」(光風社書店)
・朝、昼食:トースト、野菜スープ、りんごジャム、珈琲 夕食:カツオのたたき、油揚げの網焼き、卯の花の炒り煮(やっとこさ食べおえた)、麦酒、ご飯
休日にしては珍しく早起きをする。今日もよい天気なので、はりきって洗濯。それから台所を掃除して、売却するCDとビデオを選定する。CDをしまっている棚がもう飽和状態になってきたため、もう聴かないだろうと思われるものを売ることにしたのだ。かき集めたら、30枚くらいなった。
午後から外出。大阪城近辺をふらりとお散歩。草の匂いがして、風が気持ちよい。 京橋駅の近くで、取引先のAさんとばったり会った。京橋近辺に住んでいてダイエーに買い物に来たのだそうで、普段着姿だった。 Aさんが、今日は近所に来ただけだから化粧もほとんどしていなくてこんな私を見られるのはイヤだわ、という意味のことを言ってしきりに恥ずかしがるので、大丈夫ですよいつもと全然変わりませんよ、と言ったら「あ、その言葉ショック、大ショック。アナタひどいこと言うわねえ」とえらくにらまれた。なんか私、悪いこと言ったの? じゃあ何と言えばよかったのだ、ああ今日はブサイクですね、とか、化粧してなかったら見られた顔じゃないですねえ、とか言えばよかったのかあ?女心はわからぬ。
天満橋まで行って松坂屋のジュンク堂で、いろいろ立ち読み。九州物産展をのぞいてから、コートやスカートを試着したりなどもして、この秋冬にむけてどのような洋服を買わねばならないか、じっくり検討しながら帰った。
夜は、布団の中で「笑わせて笑わせて桂枝雀」を読む。 うえーん。泣く。この気持ちに、どんな言葉もあてはまらない。布団をかぶってひたすら泣く。
・購入物:ジム・トンプスン「取るに足らない殺人」(扶桑社)
・朝、昼食:卯の花の炒り煮、油揚げの網焼き(昨日もらった油揚げ。めちゃめちゃおいしい!)、寄せ豆腐、ご飯 夕食:外食、蓬莱にて、海鮮焼きそば
一日中、おでかけ。おでかけっていっても仕事なんだけど。神戸から伊丹あたりをうろうろと。 神戸に行ったのも久しぶりでうれしかったし、こんな天気のいい日に電車にゆられていると気持ちよくて、のんびり本を読んだり、うとうと居眠りしたり、つい仕事中ということを忘れて楽しんでしまった。
Nさんに、一丁600円の豆腐をもらう。以前、とてもおいしい豆腐がある、という話をしていた時、私そんな高級豆腐食べたことないですう、と猫撫で声を出して言ってたら、買ってきてくれたのだ。何でも言ってみるもんだ。これからは何にも食べたことがないようなふりをしよう。その他、おんなじ店で買ったという、油揚げとおからもくれた。無類の豆腐好きとしては感無量です、感謝。
週末恒例、帰り道に古本を買う。天牛書店で3冊ほど。全て200円。 今日はあんまり欲しい物がないかも、と諦め帰りかけたら、集めている川上澄生全集のうち一冊が見つかった。うれし。
帰って、早速おからをたいて、一丁600円の豆腐というのを食べてみた。大豆の味が濃くてなめらかで確かにおいしいのだけど、普通の豆腐よりかなりボリュームがあって、半丁も食べたらお腹がいっぱいになった。
・購入物:川上澄生全集第3巻「横浜懐古」(中公文庫) 萩原朔太郎「詩の原理」(新潮文庫) 池田健太郎「かもめ評釈」(中公文庫) 以上古書 「考える人」秋号:異文化都市「京都」を楽しむ・考える
・朝食:トースト、オムレツ、珈琲、みかん 昼食:鶏そぼろおにぎり、みかん、ヨーグルト 夕食:鰺の刺身、冷奴、卯の花の炒り煮、坊ちゃんカボチャのサラダ、ご飯
このしばらくの間、ごちゃごちゃとすすめていたプレゼンがやっと本日午前中に終了して、ちょっと肩の荷がおりる。やるだけのことはやったし、もう結果は神のみぞ知る。っていうか神も知ったこっちゃないと思う、そんなこと。もうどうにでもなってくれ。
今日は早く会社を出て、堂島のジュンク堂へ。買いそびれていた本、2冊を買う。そのうち、枝雀さんの本に透明ビニールのカバーをかけてもらう。一冊100円でかけてくれる。帯までぴっちりカバーできるので、大切な本が傷まなくていいかも。 ドトールで珈琲を飲みながら、目黒さんの「笹塚日記」を読む。カロリーを気にしながら食事をとっておられるようだけど、こんな外食中心の人がカロリーを低く抑えるのは至難の業だ、たぶん食べるもんがないだろうなあ、と思っていたら、後半では自炊を始められたようで、それは賢明な選択だ。やる気さえあれば料理は誰にでもできるし、自分で作ったものが結局一番おいしいよ。本を読むのが好きな人は、きっと料理も楽しめるんじゃないかと思う、なんとなく。逆はわからないけど。
家に帰ったら、スムースから「スムース文庫」が2冊届いていた。本屋さんで本を買うのも楽しいが、どこかから本が届くというのも、またうれしい。 ここのところ涼しくなったためビールはあんまり飲まないかわり、寝る前に焼酎のお湯割りを飲むようになってきて、放っておいたら本を読みながらいくらでも飲んでしまって、これはあんまりよろしくない事態だ。すこし節酒につとめなければ、まあとりあえず明日から。何事も明日から。
・購入物:上田文世「笑わせて笑わせて桂枝雀」(淡交社) 目黒孝二「笹塚日記 親子丼編」(本の雑誌社) スムース文庫「借家と古本」「詩集風来坊」これは届いたもの
・朝食:トースト、オムレツ、りんごジャム、珈琲 昼食:黒糖パン、みかん、ヨーグルト 夕食:豚肉の柳川風鍋、ピーマンのおかか炒め、ご飯
10月。これから11月にかけて、仕事やそれ以外でも、いろいろとややこしいことが待ち受けている。しかし、これを乗り越えないことには私に正月はこないのだ、ってもう正月の話か、早いなあ。
今日は久しぶりに映画でも、と思っていたけど、今上映中の映画になあんにも見たいものがなく、結局ずるずる働いてしまって、残業して疲れて帰る、というもっともつまらない展開になってしまった。 Tと待ち合わせて、近所のトンカツ屋さんで夕食。カツはTに半分あげて、お代わり自由のキャベツを山のように食べる。 その後、スーパーに寄って、みかんと卵とココナッツクッキーと珈琲のフィルターを買って帰る。
寝る前は「気まぐれ美術館」の続きを読む。 長谷川利行についてのこの文章、大好きだ。
『私はいつも、不思議に、利行の作品に勇気づけられる。利行の作品を数点並べると、たちまちそこには、自由で澄明な、きらきらするような美の世界が出現する。猥雑な市井の中にも、人間はこのような美を見出すことができると思うそのことによって、また、そのような美に憑かれて、「痴愚な人生」の底辺にまで恐れることなく沈潜して行った画家の勇気によって、私も勇気づけられるのである。』
長谷川利行の画集を見る。私も「痴愚な人生」に沈んでいく勇気を持っていたい。
・購入物:なし
・朝食:パン、珈琲、アスパラベーコン 昼食:お弁当(茄子の味噌いため) 夕食:外食(しそ巻きカツ、チーズ巻きカツ、キャベツ、味噌汁、ご飯)
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