街では風が止まっていて 子猫が茂みにそっと消え
道を行くのは車ばかりで 日傘の婦人はすがたなく
自分は一人くるまの中で 窓をあけて風を入れつつ
道の周りに何にもなくて 道の向こうに何も見えず
車の中にも風ははいらず 何も動かない街のなかを
僕は本当に動いてるのか 動いているのは時間だけ
涼を呼べ選挙の団扇裏にして
投票を呼びかける団扇が配られていた。 投票日をでかでかと書いた、その裏側には さわやかなひまわりの絵柄。
裏向きのまま、団扇たてにかけておく。
風呂あがり風を送りて夜もすがら
両肩に温熱当てて梅雨明ける
冷房に弱い。 風邪をひいたこともあって、冷房が肩や足に堪える。 シップが皮膚に合わないから、ということで 薬剤師が薦めてくれた、温熱器具。 両肩だけは40度、部屋は冷房で26度、 外は・・・。
梅雨明けもネットで知るや籠の中
雨音が恋しくなるや鰻飯
いつのまにか鰻の季節。 窓を開け、風通しのいい部屋で 蒲焼をほおばる。
夏の到来が嬉しいような、 雨の少なさが寂しいような。
食卓に涼ころがしてプチトマト
雨上がりページの中の花の寺
久々にまとまった雨。 かといって涼しくなるわけでもなく、うっとおしい夜。 京都の花の寺をまとめた本を家族でながめながら、 少し眺めのため息をついてみる。
窓際に置いてある、団扇立てだけが涼しげ。
お隣の芝より青し夏の京
申し訳程度の雨やテスト明け
暑い日が続く。 こんな季節に期末試験をかかえる生徒も大変。
街中を車で走る。 クーラーの調子が悪く、窓を開けようとすると 雨が降り始めた。
でもすぐにやむ雨。
みんな、勉強しろよーとつぶやきつつ。
テスト後も梅雨は終わらぬ気も晴れぬ
「御三家」に浮かれる母に扇風機
盆休みのプランを思い立ち、 食後のダイニングで切り出す。 途端に色めきたつ、妻と母。
銀座に宿を取って、ぶらぶらと。 妻は甘味処「鹿の子」に行きたいと喚き出し、 母が新橋演舞場のプログラムをみたいと騒ぎ出す。
画面に写されたプログラムには 「御三家」の文字。 狂喜乱舞する母。
でも、お盆休みのプログラムじゃないのに。 それでもさめやらぬ母。
団塊の世代を見るや夏の前
いつもより元気な曲をかけないと眠れない 君のいない夜には
妻が夜勤。 これまで数回あった夜勤の日は、 自分も夜に用事があったりして、 家に帰れば眠るだけ。
初めて普通に家に帰った夜。
時間と空間を持て余す自分。
携帯の液晶画面の向こう側君は元気に顔文字で笑う
雨音を枕に眠る二度寝かな
湿気の多い日が続く。 雨こそ少ないが、梅雨はまだまだ終わらない。 雨の音は、人を憂鬱にもさせるが、落ち着かせもする。
朝、雨の音で目がさめる。 一瞬、心が重くなったような、 いや、そのつかえも流されたような。
再び目を瞑る。 雨音が優しい。
心晴れて傘を優しくたたく雨
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