# 鏡
2001年02月22日(木)
目の前の鏡の映る風景を見てゐた。
窓の外には、遠く見える緑色の山と雲の流れる碧い空。
僕は空を見てゐる。遠い瞳で、鏡に映る空を見てゐる。
平面だけの鏡に、遠くを見る。
僕は鏡を見てゐるのではない。
ただの鏡に、遠くの風景を見てゐる。
僕はさう思ってゐる。
だが、其処に映ってゐるのはほんたうに僕の背後に在る風景なのだらうか。
僕は風景を見てゐるのではない。
ただの鏡を見てゐる。
鏡に見えるのは、ほんたうの風景ではないかもしれない。
振り返ったら其処には、無機質な建物と灰色の空があるかもしれない。
あゝ、僕は風景を見てゐるのではない、鏡を見てゐるのだ。

# 火
2001年02月17日(土)
燃え上がる炎
昇る煙
駆けて行く赤い車
無意識に僕は、其れを追いかけている

僕はあの“消防車”というモノを目にすると、
走り出さずにはいられない
ああ、僕は非道な人間なのだろうか
けれども、僕はただ純粋に、
あの紅蓮の炎を求めて其処に行くだけなんだ

# 好き
2001年02月11日(日)
「僕は君の事が好きだよ」

彼がそう云ってくれるから、僕は頑張れる。
君が好きだといってくれる僕を、
もっと磨こうって思ったりするんだ。

「僕も君のことが好きなんだよ」
そんなふうに云ってみた。
彼ははにかんだ顔をして、そう、とだけ云った。
なんだよ、もっと喜んでくれないのか。
そう思ったけど、許してあげるよ。
君はとても照れ屋だから。
そんな君が僕にあんなふうに云ってくれたんだ。
許してあげる。
照れてる君の、
俯いた横顔が、
夕日に照らされて、とても綺麗だったから。

# 飛行少年
2001年02月06日(火)
昼間は美術の授業で使われている四階の美術室。
隅には美術部員の画板や絵の具が無造作に転がっている。
少し狭くて、普段は授業中もひっそりとしている。
其処に漂う雰囲気はどこか静謐としていて、時が止まったようだ。
美術室の大きめの窓から見える空は、校舎のかげをかぶっていない。
どこまでも広がる空だ。
天気の良い日は、美術室の壁一面が青空に染まる。
差し込む光が、石膏に落ちた時、美術部員は溜息をつくという。
そんな、青空と太陽の光にあふれた空間が、美術室だった。

晴れた放課後。部活のない日。
彼らは其処に姿を現すという。
空を飛びたい少年達。
飛べると信じて、空へ両手を広げた。
彼らが空を飛べたのはほんの一瞬だけ。そのあとは。
その体が地面へ叩き付けられた後も、彼らの心はその一瞬の空にある。
飛びたい、あの空を飛びたい。
その瞳に映るのは、青空だけ。
そして、そのまま彼らの心は美術室に残っている。
誰もいない晴れた放課後、彼らは此処に姿を現す。
一番美しい青空を見るために。

# 楽園
2001年02月03日(土)
キャンディの薄いセロファンをぱりりと剥いて、
ぽんと口に放り込む。
それだけで僕は少しの時間、楽園に行ける。
ころころと口の中で転がる飴玉。
歯に当たって転がる音が好き。
大きな飴玉を口に含むと、ほっぺがぷうと膨らむから好き。
ゆっくり溶けて小さくなって、
気づいたら小さな破片になっている。
そのカケラをカリリと噛む。
ハイ、短い楽園の時間おしまい。


# 微睡み
2001年02月02日(金)
「いってくるよー」
「んー」
僕は床の上の彼の傍にしゃがみこむ。
寝息。閉じた瞼。
「ちゃんと留守番しててよー」
「んー」
白い肌。投げ出された細い手足。
「ねぇ」
こんな昼間から、死んだように眠り込む彼。
やめてよ。
「聞いてる?」
沈黙。
「ねぇってば、」
「んー」
いつもいつもそう。僕が出掛けるときに起きていたことない。
怖いんだ。怖いんだよ。
このまま彼が目覚めなかったらどうしようって思うんだよ。
「いってらっしゃい」
うっすら開いた瞳が確かにコッチを見た。
柔らかい、笑みを含んだ瞳が。

「いってきます」

安心して行っておいでって、そう云った気がした。

# 紫於の2001/2/1
2001年02月01日(木)
今日は都合により普通の日記でスミマセヌ。
実は新しくパソコンを買いました。
今まで使っていたやつが、随分前から調子が悪かったので。
新しいパソコンというのは、嬉しい。
でも、嬉しいなんて喜んでられない位、面倒くさい。
ソフトのインストールとか、もう面倒くさい!
私はHPを作るのに、ソフトを使っているのですが、
そいつがないと何にもできません(いろいろな意味で)
なので更新が随分滞ってしまいました。
もうしばらくしたら『飛行少年神話』の続きをUPする予定です。
・・・って、こんなトコに書いても誰も読んでないか。


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