♀つきなみ♀日記
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2002年03月22日(金) |
経る時/REINCARNATION。そして桜。 |
谷中の墓地へ行く道沿いにも、もう今年は桜が咲いて、でもまだ若い桜の花達は、強い風の中でも散ることはない。帽子を抑えながら少し先を歩む父の背中は、おんぶされて夢を見たあの頃より随分小さい。合掌する前に、家族で身体を寄せて火を点けるお線香も、今日は二つに折って、短く唱える経文が終わる頃には、煙も絶えた。
あの日私達は、千鳥ヶ淵のホテルにいた。今は居ない祖父の晴れの場で、その年は思わぬ春の遅れに、普段ならもう葉を伸ばしている桜は、僅かばかりの残りの花を、もう青の強くなった空に散らしていた。まだ私は幼く、恋さえ知らなかった。
祖父と祖母と父と母と私は、少し晴れがましい気持を持ったまま、ロビーでお茶を飲んでいた。その時に初めて聞いたのが松任谷由美の「経る時」だった。
「ほうっ」と祖父は声に出して立ち上がり、フロントで曲名を尋ね、その日の帰りに「REINCARNATION」をみんな揃って買いに行った。すこし祖父ははにかんで、私達は少し微笑んだ。そして祖父は往き、祖母が往き、そのレコードだけが残った。
恋があり、別れがあり、闇があり、そして今日がある。 たくさんのものを無くし、たくさんのものを得、そして今年も桜が舞う。 あのホテルはもう今年は無くて、きっとガラス窓越しに見た桜並木だけに花が咲く。
父の右手を支えて下る石畳に、少し雨の粒が落ちる。すこし滑った足元に、左のひじを母が支える。
私はいる。いるだけでもいいじゃないって思った。
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彼岸・桜ふたたび 桜。散華と豊穣
テキスト庵
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2002年03月14日(木) |
宗男ちゃん祭りの闇。ペイオフと恣意的報道。 |
って事で、ホワイト・デイなもんで持てないほどプレゼントを貰って、どうやって持って帰るか、思案投げ首のつきなみ♀っす。もちろん、夕ご飯は、おフランス料理のフルコースだしね。って昨日の夢だけど<=おい!
むねおちゃん祭りはまだまだ続きそうで、ちょっとどうしたもんかいなって感じになって来てるよね。国会もマスコミもこればっかりで、ゲンナリ。
森前総理の「神の国発言」の時にも書いたんだけど、確かに一国の総理が軽々にその言葉を口に出したのは論外として、あの時に論じなければならなかったのは、ハッキリ予兆が出ていたのにも関わらず、今みたいにボロボロになる見通し無しに運営されていた経済政策だったはずだ。ざっぱに言えば、本来目の前に突きつけられていた問題から国民の目を逸らして、小泉かっちょはいいけど恐らく何もしない総理大臣に圧倒的な支持を集め、具体的な論点を無くして「構造改革」っていうイメージって言うか御題目だけで、参院選、自民党大勝の流れを作ったのは、正に間抜けな野党とTVを中心とするマスコミだったはずだ。
ご存知のように、今年の4月からは定期性預金が、来年4月からは普通預金や当座預金がペイオフ解禁になる。これは本来、とんでもない大問題なんだけど、何時の間にか鈴木宗男せんせに主役の座を奪われている、っつうかまたまた恣意的な情報操作を感じる。
前提としてちょっと整理しておきたいのは 1.銀行の健全性を図る物差しが今日現在まで明確になりえていない。 2.不良債権区分も貸し出し企業の業種特性を加味しないまま本日に至っている。 3.会計基準の抜本的な見直しが間に合わないまま、銀行だけに「米証券取引委員会基準」を適用しても意味を為さない。
って問題があるままで、国民はどないして銀行を選択すりゃいいんじゃ、まったく。って企業はお金を何処に置いておきゃいいんじゃ。
それ自体について文句つけてると切りがないんだけど、スゲー問題が先送りにされているんで、今日はそれに絞るね。
さすがにちょっとずつ話題にはなっているんだけど、来年の4月から当座預金や普通預金がペイオフ対象になるって事は、手形や小切手も決済されないって事なんだよね。この対応が無茶苦茶遅れている。ざっぱに言えば、健全な企業経営を行っている優良企業が、支払の為にプールしておいた資金を預けているヘタレた銀行が潰れちゃうと、お金が1000万以上は吹っ飛んじゃうってことなんだよね。もちろん後で資産状態によって分配される可能性はあるけど、何時になるか判らないんだよね。月次決済が例え億単位、100億単位の会社だとしても。
この辺の問題はやっと浸透してきているんだけど、じゃ、「対応は?」って言うと五里霧中っていうか、どうにもならん状態になってきている。この原因は、ペイオフを実施する事自体は政策で決めちゃったんだけど、実務整備も法整備もまったく追いついていないっていう、小学校の学級会並の情けない事になってしまった。
ご存知のように手形小切手法は、司法受験生泣かせのやっかいな法律だ。しかもナニワ金融道@青木せんせ、じゃないけどその複雑な対抗要件と民法、商法との絡みで、こりゃどうなっとるんじゃっつうぐらい、抜け道と実務対応で補完されている部分がある。そこに、銀行破綻による決済不能が加わるわけなんだけど、どうするんだ、いったい。
って、銀行破綻によって資金繰りが行き詰まる場合に、対応措置として予定されているのが、未決済額に対応する緊急融資と仮払いって言うんだけど、間違いなくそれ目当ての手形がバカバカ切られて、融資を受けたヤバ系企業は返済までに偽装倒産かけて、はいそれまでよ〜〜って構図が今から見える。
そもそも、この不況の時期にペイオフを周到な準備無しで行おうとする事自体が無謀極まり無い訳だけど、これは1990年前後の6%前後の金利を付けた定額預金の満期が集中する時期に発表された事を忘れる事は出来ない。もし、郵便貯金から資金が流出していれば、今度は銀行の信用問題じゃなくて政府財政投融資、ざっぱに言えば国家の資金が枯渇する事態を強引に防いだって見方もできるんだよね。だって、郵便振替口座は全額保証を継続するもんで、35%も増加ときたもんだ。通常郵便預金の各種口座は20兆円も減っているのに。変なの。
う〜〜ん、書きたいこと多すぎてまとまり悪いなぁ・・。<=いつもです!
さて、そろそろホワイト・デイのディナーへ行こうっと。今日は奮発して「てんやの春盛天丼」だ。嬉しい。自腹で一人ぽっちだけど、うにゅん。
って事で、またね!
**************************************************************** 関連する過去日記 *人生はラクビーボールのようなもの?森さんは何に向ってトライしたかったのか *緊急経済対策って、何が緊急?誤解の根本。「米証券取引委員会基準」など *報道と言う名の宣伝?@自民党総裁選とその後の報道
テキスト庵
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2002年03月11日(月) |
長けりゃいいってもんじゃないよね!ぴったりじゃなきゃ!//名は体を表さず@斡旋利得法 |
え〜、昔から「長いほうが良い」なんてお噺も御座いますが、無駄に長いよりは、ピシッと一本芯が通っている方が、ご使用の節には役に立つなんて事もございまして・・。ふにゃふにゃはやはりヨロシクないんでげすな。特に暗い場所でお使いになる際にはですが・・・。
なんちゃって。<=おひ!
一昨年の11月、今騒ぎになっている当時の自民党改革の旗手YKKの当時一番手を走っていた加藤元幹事長が、野党提出の森総理不信任案に賛成して反旗を翻すや否やって時に、この法律は成立した。通称「斡旋利得法」と呼ばれている「公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律」っていう冗長な名前を持った法律だ。
加藤氏のドサクサで、この法律はなんと審議を経ないで成立しちゃった訳なんだけど、その後2回改正法案が提出され、2回とも否決されているのは余り知られていなかったりする。看板は早く上げたいけど、審議の過程で修正されたり、不都合な事が露呈するような国会討論はやりたく無いっていうのがミエミエな羊頭狗肉な法律でもある。
この法律は、本来政治改革の目玉とも言える法律で、ざっぱに言うと、本来「選良」であるべき議員さんや首長さんが、職責を背景に口利きをすることで利益を得るっつうのはマズカロウって事なんだよね。逆に言えば、この法律が出来るまでは、直接その時点で職位や職権に関わる贈収賄でなければ、法には触れないという事実が存在していた。そして今までの疑獄でも、明らかに示唆していると思われる大物政治家は法に触れないが故に当選を重ね、処罰されるのは「贈収賄」に該当した、その子分の陣笠政務次官であったり地方自治体首長であったり、官僚であったり職員であったり、秘書であった訳だ。でも、処罰されても野垂れ死んだ人物は殆どいない。ほとんどは、どこかの会社の「役員様」として余生を送るんだよね。
この法律の全文を読むと歴然としているんだけど、「口利き」自体を何か規制しようという思想はまったく無くって、「贈収賄の範囲をちょっくら広げて、御茶を濁しておこう」って意図がはっきりしているんだよね。
今回奇しくも、加藤元幹事長秘書と鈴木宗男センセの事件から、この法律が再度注目されている。それぞれの事件を伝える報道の中で象徴的なのは、「倫理的な問題」が連呼されていることにある。一般の感覚なら仰天するような、省庁への圧力や、立場や経歴を背景にした様々な出来事は「法には触れていない」という事実が厳として存在する。加藤秘書の逮捕も「所得税法違反」だし。
現在の政治システムについては、元民主党の鹿野道彦前副代表秘書の口利き疑惑や加藤元幹事長秘書の方が象徴している。そこに実体があるかどうかは別にして、「背景と経歴」が商売になるのが常態なんだよね、残念ながら。
今回野党四党の改正案には政治家の父母・配偶者・子・兄弟までを含み、焦点の私設秘書も対象とする。素晴らしい案だ。ってそんな事は無くって、元々公職選挙法の連座対象になっている私設秘書が立法段階で省かれていたこと自体に問題があるんだよね。そして、今回の改正案でも「後援会役員&専任職員」関連は省かれている。前秘書も、秘書の親族も。今、一番活発に動いているのはこの人たちなのに。切り易いトカゲの尻尾にこの辺の仕事は拡大し、不況下での雇用には確かに貢献している。って皮肉だけど。もしバレても「先生様」には影響しない。まったく。
鈴木宗男せんせの疑惑の焦点は「口利き」「斡旋」系ではなく、圧力っていうか省庁との「社会通念を逸脱した関係」に何時の間にかす変えられつつある。報道もこちらに重点が置かれていて、何だか又へんてこな流れになっている。
本来、日本的政治の暗部にガツンを一発突っ込む為の法律が、「不法行為では無い」という免罪符に変わって行く。「道義的責任」を果たした議員さん達は、法に問われる事はないので、次回の選挙で禊を経て国政の場へ復活する。
いきなり民間企業への口利きまでは拡大出来ないまでも、せめて問題の公社、公団、社団法人、財団法人、外郭団体、そして全ての自治体、国家の依属委員会も含めた「斡旋」「口利き」に法的規制をかけない限り、なんぼ掛け声をかけても本来的な構造改革なんて、私がアイドルデビューするよりも不可能な事だ。<=おい!
今回の一連の疑惑だけは無く、「社会通念に照らしてあってはいけない異例な事」を常態として活動している政治家さん達を、法的に規制しない限り構造改革もへったくれも無いと思うんだけどなぁ・・。つうか、それが普通だと思ってるんだろな、議員さんの大多数は。
斡旋して得られる利益は何も現金だけではない。後援者や票田の子息達の就職の斡旋と言う極日本的な慣例は、市町村レベルにまで浸透している。さすがに公務員は少なくなっているけど、待遇に「公務員に準じる」と記載されている様々な団体や法人の正職員に、異常な程「ぼっちゃん」や「おじょうちゃん」が多いのはどないなってんねん、ほんまに。局長さんとか事務長さんとか、いいとこの次男さん三男さんがこれまた異常に多いし。長男さんは丁稚奉公終わると、自分ちに帰るしおじょうさまはご結婚退職されるから、入れ替わりが多くてけっこう受け入れ側も重宝してたりはするんだけどね。
ま、この辺も含めて、一発ブスっと長くて太い法律で貫いて欲しいところだけど、今の流れだと違う方向へいっちゃいそうだね、せっかくの機会なのに、うにゅん。
って事で、またね。
テキスト庵
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2002年03月07日(木) |
指輪物語。そしてゴクリと鈴木宗男せんせ<=何? |
ラルフ・バクシ監督は、60年代のカウンターカルチャーを代表するロバート・クラムのファンタジーでアナーキーでしかもドラッグとセックスが炸裂するえっちいコミック「フリッツ・ザ・キャット」を劇場アニメ化する事で一発当てた。時に1972年(日本公開は73年。一週間で打ち切りになったけど)。そして大胆にもって言うか無謀にもファンタジーって言葉しか共通点の無いトールキンの「指輪物語」に挑戦したんだよね。
この作品は実写フィルムに絵付けをしてアニメ化する(ロトスコープって技法です)手法が挿入されていて、けっこう私は「うにゃっ」とした普通のアニメに比べると異常に滑らかな動きは好きだったりする。話自体はけっこう原作に忠実なんだけど、途中のエピソードや先へ繋がる伏線をまったくすっ飛ばすは、いくら後編の予定があったとは言え、エンディングは「なんじゃこりゃ?」て感じになっちまった。この作品は「旅の仲間」と「二つの塔」の途中までを前編として作成され、興行成績は今三っつうか滅茶苦茶だったもんで、後編は作成しないまんま、とんずらこいてしまった。時は 1978年。指輪ファンつうかトールキンフリークは脱力しながら怒りをふつふつと湧かせた事は想像に余りある。そして、苦節24年、今回のアカデミーショー有力候補の呼び声も高い、実写版に期待を膨らませているんだよね。
バクシ版指輪物語で、原作よりウエイトが高く描かれていたのはゴクリだ。ゴクリは前段となる童話として出版された「ホビットの冒険」で、なぞなぞ合戦の末、「指輪物語」で活躍するフロドの叔父にあたるビルボに指輪を奪われる、元はホビット族だったとされる化け物っつうか、気の毒な変態っていうか、私が一番ピッタリくる言葉は「亡者」だ。
「王の帰還」の巻末「代々の物語(追補編B)」の第三紀,2463年には「この頃,ストゥア族のデアゴル,一つの指輪を見いだし,スメアゴルに殺害される」と書いてあって、このスメアゴルこそが、「亡者」になる前のゴクリだったりする。彼は指輪をはめると姿が見えなくなることを知り、さまざまな悪事を働く。彼は指輪を「いとしいしと」と呼ぶ。そして指輪に魅せられ、魅入られ、支配されてゆく。そして姿も思いも変わり果てる。それでも物語の中には善良なゴクリと指輪の虜となった悪いゴクリが反問する場面がある。
もうじゃ【亡者】 (1)〔仏〕死んだ人。特に,まだ成仏せずに迷っている魂。 (2)金銭や権力などに対する執念にとりつかれている者。「権力の―」(新辞林)
TVに写る坂田利夫さんに似た鈴木宗男せんせを見ていると、何だかゴクリを思い出す。「ホビット」の挿絵のゴクリにもどこか似ているし。
なんちて<=おい!
さ、御仕事片付けて早くおうちに帰ろっと。って事でまたね!
テキスト庵
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