今年になってはじめて実家に足を運んだ。 留学から帰って来てからまだ挨拶にも帰っていなかった。 だいぶ遅くはなったが、新年の顔みせも兼ねた帰省だ。
最近は、実家に帰るたび祖父母に確実な老いを感じて とても切ない。それでも話すたびにこぼれる笑顔が 唯一の私の救いでもある。
この町自体も、ずいぶんと時の流れが遅い場所なのだが、 その町の中にある私の家の、父の部屋は、本当に時が 止まっている。…父が亡くなってから、誰も手をつける事が 出来ないのだ。五年経った今も、誰ひとりそこをいじる気に なれない。おそらく祖父母が亡くなるまで、このまま この部屋の時は明けないのだろう。
実家において、全ての人がこの部屋の時間を無視している。 以前のように不必要に過去を振り返りはしないけれど、 この部屋の時間が本来流れるものだという事を、無視している。 私は、いつかこの部屋の時が明けるのを待っている。
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