人は、どうなったら死ぬという状態になるのだろう。
以前祖父に、生きるってどう言うことだと思う?と聞いたとき、
彼は私を見て、人は、個人としての尊厳を失った時に死ぬから、
そうならなければ生きてゆけると、教えてくれた。
生きて行くことは、難しいとか大変だとか言うのではなくて、
ただ漫然としたものでもなくて、意志あって存在するものなのだと
いうことなのかな。ちゃんと生きるのって、大変なんだなァ。
…子供心にそう思った。
少しだけ大人になったとき、大事な人を亡くして、初めて肉体的な
現実の死を思い知ったけれど、そこにある死というのは、それまで
確かに存在していたものが完全に無くなって二度と戻らないという事実と、
少しずつ薄れていく記憶と、それでも消えない心の隙間に吹く人肌の風が、
これから一生私の中でそのように働き続けるという事でしかなかった。
だから、それはもう悲しくない。
けれど、まだ生きているのに、何かが死んでいる人を見ると、私は何でか、
悲しくなる。そんな人を見るたび、世の中は不公平だと思うからだ。
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