飼えない子犬を拾ってくるのは、本当の優しさじゃない。
昔、小さな子供のカマキリを、自分で可愛がりすぎて
殺してしまったことを、未だに私は後悔している。
自分でそれを殺してしまった時、それまで動いていた柔らかく白い腹や、
薄い背中の羽、うす黄緑の半透明の身体も、とても好きだったのに、
死んでしまったあとは、ただの不浄な抜け殻で、魂の抜けた身体を、
呆然と握り潰していた私の手は、小さく震えて、力が入らなくなった。
どうせ殺してしまうなら、悲しみも苦しみも感じないように、
してあげられたら良かったのに。
どうして羽をもいだり、してしまうのだろうか。
残虐な子供の心は、良心など知らない。
私の中に、やさしい子供は存在しない。
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