一橋的雑記所
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2006年04月01日(土) |
君が、嘘を、ついた。※ホントは20120825. |
知ってる。 裏も表もないあの子が、本当の事言えない時、どんな顔になるのか。 嘘なんてつけないから、言葉にする前にぎゅっと飲みこんだそれをお腹の中にため込むの。 だから、いつも少しだけ上を向いてる口角に、ぐっと深い溝が刻まれて。 それは、泣きだす寸前の表情に、ちょっとだけ、似てる。
収録の合間の、休憩時間か何かだった。 少し前にあの子がやった映画のヒロインの話になって、あれはちょっと分かりにくかったけどすごい純愛話だったね、なんて言いあってる内に、話題が転がって、ああいう男の子は好みのタイプがどうとか、そういう他愛のない話になっていった時。
ねえ、好きな人でも出来たの。
共演者の一人が、ずっと大人しく聴き役に回ってたあの子に不意に話題を振った。
な、なんで今の流れでそれを私に振るんですかぁ。
困ったように眉を下げて、手をいつものように上下させてたあの子に、だって最近良くこういう話してるからラジオで、と相手が返したから、ますますその動きが加速した。
あれはぁ、構成作家さんの陰謀でぇ…。
なんて言いながら、台本で首元に風を送り出すあの子に、その場にいたみんなが微笑ましげな眼差しを向けはじめた。
でも、恋愛話好きだよねえ。 そうそう、FMの方とか、若い子の恋愛相談にのっちゃったりして。 いつの間にこんな百戦錬磨になっちゃったのって、みんな言ってるよ? 百戦……?!違いますよもうーっ。
あー、暑い、なんてつぶやいて唇を尖らせるあの子を中心に、一斉に笑い声が上がったところでブースの扉が開いて、スタッフさんから声が掛った。みんながそれぞれ立ち上がりブースに向かうのに少し遅れて、あの子がテーブルに手を着いた。その瞬間。 縋るような、躊躇うような、困惑するような、色んな、らしくない感情が入り混じった眼差しが向けられた。 受け止めたのは、ほんの一瞬。 気付いたそぶりも見せずに逸らした視線で、あの子の、強く惹き結ばれた唇の端を確かめて、あたしもブースへ向かった。
正直者のあの子は。 いつまでその嘘を、貫けるんだろうね。
<終わっときます。>
久し振りなんで、ちょっと勝手が分からへん…。 分かり辛いのは仕様としても。
告白の前でも後でもありそうな話になってるといいなあと思いつつ。
あと。 泣きだしそうなの堪える時、瞬き増えることは多分、みんな知ってるから、いじめにならないように手加減して貰えてると思う(何の話だ。
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