一橋的雑記所

目次&月別まとめ読み過去未来


2004年12月14日(火) 余白。

そんな感じで一つ。


そう遠くない未来に。



強い風に吹き散らかされた黄色い葉を踏み締めながら。
何処へ向かうでもない爪先を見下ろしながら。
季節に似合わない温もりに満ちた街路を歩く。

今の自分が俯き加減に歩くのは。
夜になればまた人の目を引くであろう電飾が。
其処此処のオブジェや植え込みに巻きつけられ。
陽光を集めては弾いてきらきらと目を刺すからで。
決してこの胸の中に鬱屈するものが残されている訳ではないと。
少しだけ言い訳じみた思いを。
軽いため息に乗せてそっと、道端に吐き出す。

輝かしい夏が過ぎ。
慌しい秋が終わって。
気がつけばまた、冬の中に自分は、身を置いている。
そんな当たり前のことを当たり前に繰り返す内に。
少しでも、自分は、ましな人間に為っていけるのだろうか。

無意識に左の掌で包んだ右の手首には。
冷たい鎖の感触も、それと引き換えに巻き付けられたあの腕時計も今は無く。
自身の肌の、頼りなげな温もりだけが残されている。

愛されたことを。
愛したことを。
どれほど深く心に刻んだところで。
それだけでは人は生きては行けないと分かっていても。
繰り返し、繰り返し。
出会いと別れを重ねながら。
何処までも自分は、求め続けるのだろう。

あの夏の日を。
あの雨の日を。
あの桜の日を。
あの秋の日を。

そして、あの、冬の日を。

それから、あの、春の日を。

失った心の欠片と共に、いつまでも何処までも。

それを幸せだったと心から振り返る事の出来る日が訪れるまで。
いつまでも、何処までも。


ゆっくりと歩を進めるこの足取りの下で。
季節に遅れて散り始めた黄色い葉が微かな音を立て続けている。
そう遠くない過去に繋がるその音の記憶を手繰り寄せながら。
そう遠くない未来にいつかそんな日が訪れることを。
心の何処か奥深いところでそっと、祈り続ける。


神でもマリア様でも、過ぎ去っていった面影にでもなく。
自分自身に向かって、祈り続ける。



2004.12.22.



一橋@胡乱。 |一言物申す!(メールフォーム)

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