母が私を産んでくれた日
当時は今みたいに洗濯機がどこの家庭にも有った時代ではなくて。 盥で屈んで洗濯していた時に、水を溢れさせたわけじゃないのに 足元が濡れ出して初めて「破水したのだ」と気が付いたそうな。
予定日には2ヶ月程あったけど破水してしまった以上 「いつまでもお腹の中に置いておくわけにはいかない」と 産婆を呼んで出産する事になったそう。
ところが陣痛が起こらないというのは難儀なもので 産婆が馬乗りになって、力加減せずお腹を押しても産道を降りてこない。 一向に産まれてこないどうやっても産まれてこない。 一日経ち、二日経ち。さすがに体力が限界に来てて「コレは危ない」って事で 最後の手段として戦時中軍医をしていたという医者を呼んで来て 手づかみで引き出すように出産させたらしい。
命がけで産んでくれた 母
難産の末ようやく生まれた8ヶ月の未熟児。 「この子は一年と持たないかもしれない」と言われたらしいけど そんな事、誰も信じてくれないくらい大きく成長したのは 溢れる程に出た母乳のお陰かと。 大事に慈しみ育ててくれた母のお陰かと。
私を産んでくれた母はもう居ない。 小さく生まれた私に苦労した母は、全てを忘れた人になり 私の知ってる母は母でなくなって、最後に私を困らせて。 写真の中で微笑む人になった。
お母さん お母さん 産んでくれてありがとう。
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