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2002年09月29日(日) カムイ・ユーカラ

■力の勝るもの■

オオカミの子が氷で滑って転んだ。
氷の力が勝(まさ)っているからでしょう。

氷が勝るといっても太陽が溶かしてしまう。
太陽の力が勝っているからでしょう。

太陽が勝るといっても雲がこれを覆い隠す。
雲の力が勝っているからでしょう。

雲が勝るといっても風がこれを吹き飛ばす。
風の力が勝っているからでしょう。

風が勝るといっても地球(ペソ)は吹き抜けない。
地球の力が勝っているからでしょう。

地球の力が勝っているといっても地上に木が生い茂る。
立ち木の力が勝っているからでしょう。

木の力が勝るといっても人間(アイヌ)はこれを薪にする。
人間の力が勝っているからでしょう。

人間の力が勝っているといっても死んでいくではないか・・・。
死神の力が勝っているからでしょう。

死神の力が勝るといっても人間を絶滅できない。
やっぱり人間の力が勝っているからでしょう。

カムイ・ユーカラ(アイヌ・ラッ・クル伝)
山本多助著・平凡社


・・・突然、なんでこんなことを書いてるのかと申しますと、
実は最近になって私の所属しているジャンルが「読書感想」
だったってことに気が付いたからなんです(爆)

どうやら最近「エンピツ」のジャンルが増えたようで、
私の知らないうちに読み日記のジャンルが読書日記に
変わってたんです(爆)
・・・っということは、私は今まで読書日記のジャンルで、
永遠とバカな、どーでもいいくだらない日常日記を書いてた
ことになるんです(汗)

我ながら恥ずかしい限りです。

そもそも、なんで最初に登録する時に「読み日記」のジャンルを
選択したのかは今となっては良く覚えてはいませんが、恐らく人
に読んでもらう日記って事で、ここを選択したような気がします。

ってことで、読書感想日記のジャンルで日常日記を書くのもどうかと
思ったんで今日は最初で最後の読書感想日記を書こうと思って
「カムイ・ユーカラ」というアイヌの童話の中に出てくる「力の勝るもの」
っていうお話を紹介した次第です。

ところで、何故アイヌの童話なのかと申しますと、実はつい先日、
とある本にてアイヌの童話が紹介されてて、とっても興味をもって
しまったんです。

私は今までこの歳になるまで一度もアイヌの民話や童謡とかって
聞いた事も見たことも読んだ事も無かったんです。
そんなわけで、読書の秋でもあるし、せっかくだから読んでみようと
思い立ち新宿の紀伊国屋で「カムイ・ユーカラ」を購入したわけなんですが、
コレが読んでみると非常に面白くって、はまってしまったんです。

アイヌの童話って、ただ単に面白いだけではなくって、長いアイヌの歴史
の中で培われた、自然との係わり合いだとか、死生観だとか、道徳心等々・・・
いろんな教えが話の中に、ちりばめられているのですよ。

しかも、この本は大人が読んでも充分楽しめるだけの
クォリティを持った内容なんです。

結構、大人が読んで楽しめる童話って無いじゃないですか?

以前、大人の為の絵本ってのが流行ったことがあったけど、
大人が読んで楽しめる童話ってのはあんまり無いような気がするんです。

私自身、宮沢賢治の著書は昔から大好きで、よく読んでいたんだけど
今回読んだ「カムイ・ユーカラ」は、その時以来の衝撃を受けました。

中でも一番好きなのが最初に紹介した「力の勝るもの」なんです。

なんだか一見すると童話「北風と太陽」に通じるものが
あるんだけど、こちらの方がよっぽど奥が深くって・・・。
結局人間がこの世で一番なんだって結論付けるあたりが
ものすごいなぁなんて思ってしまいました。

人間なんて自然を破壊したり動物を絶滅させたりって
感じでエゴの塊じゃないですか?

そのエゴの塊である人間がオオカミより氷より太陽より、
風雨や大地、ましてや死や地球よりも・・・。
何よりも強いってのは物凄い皮肉というか、
考えさせられるというか、とっても興味深い物語でした。

この「カムイ・ユーカラ」
是非一度、機会がありましたら読んでみて下さい。
読んで損はしないと言うか、きっといろんな発見が
あることと思います。

さて、さて・・・。
今日は長々と読書感想日記を書いてきたわけですが、
これから「ジャンル」のお引越しをしようと思います。
って、一体どこに行けば良いのやら(汗)

カテゴリーが多すぎて迷うなぁ・・・。









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