鍋をたたく...鍋男

 

 

底を知る人 - 2003年04月15日(火)

今でこそ普通に生活している鍋男ですが、ながーい間貧乏でした。ただそれは世間にくらべて貧乏だ、というだけで、光熱費と家賃さえなんとかすれば、後はなんとかなるもんです。
少ない食費でいかに健康な食生活を送るかというのは、なかなかにスリリングで楽しい。
このビンボーだった20代前半に「無駄喰い」をなくして胃を小さくするこつも覚えました。

とりあえず食費に困らない程度の収入が安定した頃、他のバイトを全て辞めて、音楽だけで生活するようになりました。25くらいのころかな。
バイトをやめたので、収入はまた減っちゃって、結局またビンボーなんだけど、それより音を出す時間が私には必要だったのね。その頃めちゃめちゃ勉強したのが、今でも役立ってます。

でもぜんぜん元気だったし、やる気まんたんだったな。金がなくて彼女もいなくて、へこむ事も多かったけど、音楽さえちゃんとできてればいいっていう開き直りがあった。だから強かったんだろうな。



そのさらに数年前、最初にトリニダードに行った時はもっときつかった。
大学やめて、家出して(というより勘当されて)、友人の家に居候して、一年かけて金ためて。トリニダードに数週間後に出発、って時にけがして入院してお金まったくなくなっちゃって。

生きている事自体、神に否定されたような気がしたのよ。落ち込んだけど、あの頃は時間があった。ゆっくり時間をかけて考えて、何が一番大事かを問いつめて、結局やっぱり行く事にした。時間を与えてくれたのは、居候をこころよく許してくれていた友人。ずっと足を向けて寝れません。

「人にお金は借りない」ってのが信条だった鍋男がたくさんの人に頭を下げて、お金集めて、包帯をまいたままトリニダードに飛んだ。
この旅行が今の鍋男のすべての出発点だったといってもいい。



底にいる時は上しかむけない。向上心の塊だ。しっかり見据える時間があるし、中途半端な位置から飛び上がるより登れるかもしれない。

お金の話だけじゃなくて、精神的に追い込まれた時も、病気して死にそうになってる時も、底にいる時は案外冷静になれるもの。

で、底を知ってる人たちは強い。少々の事ではへこまない、へこたれない。
這い上がって来た時には、知恵と勇気と優しさを身につけている。



今、底にいる人たちへ
あなたが世界で一番強くなれるのよ。
落ち着いて、ゆっくり自分とお話してください。


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