韓国旅記2002.1 - 2002年01月14日(月) やっぱり次の日には書かなかったのね。できない約束はするもんじゃないわ。 ということで韓国旅記です。ちょっと長いわよ。 今回の韓国行きは、2000年の年末の話にさかのぼる。 2000年夏に知り合った韓国の伝統音楽サムルノリのグループ「ヌルマチ」のリーダーさんが「なべおさん、12月いそがしい?わたしたち、コンサートやります。Steelpan、たたいてください。いっしょにあそびましょう」と、たどたどしい日本語で言ってくださった事から始まる。 韓国はうまい。キムチも何種類もあるし、辛くないものももちろんいっぱいあって、なむるとか、さんげたんとか。おー、行こう行こう。(食い気だけか?) いろんな話をしているうちに、ヌルマチでベースパンを作ろうという話になった。で、9月に一度製作のために、韓国を訪れた。 ヌルマチの若い衆が総出で手伝ってくれた。元気いいのが、10人ほどで、がんがんやってるうちに、2本か3本の予定が、7本ものベースパンを作ってしまった。問題はチューニングだ。 形はできているものの、ベースパンを見たこともない人たちが、鍋男の口頭での説明だけで作った物。(しかも私は韓国語は話せないので、英語で説明するか、日本語で話して、ボランティアで来てくれてた、韓国に語学留学している日本人に通訳してもらう。んー、まだるっこしー。やっちゃん、その節はお世話になりました。) まずはだいだいの形になっている物を、いい音が出る形になおしてやらないといけない。メーキングは終わっていないのだ。いい音が出る「いい顔」にしてやるのには、三次元的なイメージがもちろん必要で、それを持っているのは私だけ。自然、ここから先の作業は私一人でしなければならない。 いい形ができたら、いい音を出すために、上から下から何回もひっくり返して、さらに打面をマッサージしてやる。ちなみにベースパンは、ドラム缶のふた部分だけを切り取って、底を打面に、周りの筒部分を反響箱として、ドラム缶サイズそのままを使用する。重さはドラム缶そのままと大して変わらない。そいつを何十回となく、ひっくり返して、ドラム缶の中に頭を突っ込み、またひっくり返しては、音を作る、という作業を繰り返す。 普段、体力づくりとは縁のない生活を送っているミュージシャンには、これはきつい。ちなみにベースパンのチューニングに使うハンマーは、メーキング用の物と同じ9ポンド(4.0824kg)の物。女性なら肩いわしてます。 前置きがながくなった。 で、12月のコンサートには約束のベースパン二本の製作、チューニングは間に合わせたものの、あとの4本(今回のベースパンは6本でワンセットの6ベースと呼ばれるもの。そのうちの一本は作りがよくなくて、割れてしまったので、予備として一本余分に作った。)はそのままになっていたのだ。 もちろん演奏はばっちりさせていただきました。好評だったようです。演奏で韓国をまた訪れる機会ができることでしょう。 コンサートが終わって、「暇とお金ができたら、韓国に来て、残りのパンを仕上げますね」と言ったきり、再びこの地を訪れるのに、まるまる一年もかかってしまった。「時間がかかっても、約束は必ず守る」そういう人でありたい。という事で、予定外に休みが多くとれたこの正月、突然、韓国のリーダーに電話して、時間と場所を作ってもらったのであった。都合、三回目の訪韓である。 今回の成果は、すでにチューニングが狂ってきていた2本の完成品を、Re-tuning。 それとまったく手が付いてなかった、パンを2本仕上げて、Bb/F, C/G, D/A, E/B の4本のベースパンができあがった。下から順番にいくと、C, D, E, F, G, A, Bb, B, それにオクターブ上の C, D, E, F の12音。とりあえず、Cキーでドレミができるように。 Bbが出るので、Fキーにも使えるし、ベースラインだけなら、ある程度Gキーにも対応する。 これだけするのに、ハンマーをふるっていた時間は、全部で15時間ぐらいか。一日5、6時間もいかつい騒音と戦っていると、筋肉やら間接やらもがくがくになるけど、耳がダメになってくる。 最後の日は、音楽理論の初歩から、コード進行とベースラインの基本のレッスンに時間を使った。生徒はヌルマチの中では中堅の、今回世話をしてくれた、二人。レッスンは基本的に英語。それに漢字の筆記。なによりも大切なのは音で説明することだった。 二人とも、音階のある楽器をしてないとはいえ、さすがプロのミュージシャン。真摯な態度と、解らないことはくらいついてくる姿勢が、とても教えやすく、いい生徒だった。 いやー、充実した日々だった。 何より最後のレッスンのあとに授業料としておごってもらった「かるびたん」がうまかった。豚の焼き肉もたらふく食べたし。 三回も行ってるのに、さんげたん、まだ食べてないのよね。 また行かなきゃ。 -
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