心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2011年04月15日(金) ビッグブックのやり方分類

AAテキスト(ビッグブック)を使ったステップのやり方について、分かる限りで分類を試みてみました。

1) 「バック・ツー・ベーシックス」
Wally P. の "Back to Basics" や、第1回ビッグブックの集い研修会で使われた「バック・ツー・ベーシックス」(ワリーさんとは別著者)。このフォーマットが日本で一番流行ったのは2003年。これを使っている人たちは、その多くが後述のビッグフットに移行してしまいましたが、一部にはこのフォーマットを使い続けている人がいるそうです。

2) 「ビッグフット」
AA四谷ビッグブックグループのメンバーを中心に作られた「ビッグフット」フォーマット。2004年前半は会場に毎回100人近くを集めるほどの人気を博しました。AAミーティングでフォーマットを使うことの是非が議論を呼びましたが、常任理事会はフォーマットの利用には反対しないものの、一部のAAメンバーの解釈がAA全体の意見だと誤解されかねないので、AA外部での使用(病院メッセージなど)は謹んで欲しいという要請が出されました。その後このフォーマットの利用者は減ったものの、現在でも水曜日のメリノール宣教会での会場で地道に使われています。

3) 「ドゥー・ザ・ステップス」
アメリカから日本に戻ってきたメンバーSさんが広めたやり方。ドクター・ボブからの流れを汲むという。2泊3日程度で集中的にステップの受け渡しと実践が行われる。使われるテキストはビッグブックのみ。終わった後に棚卸し表を燃やしたり、伝承者以外に内容が知らされないなど秘儀的な要素がある。前述のビッグフットがビギナー向けのフォーマットだったのに対し、それを終えた人が本格的にステップに取り組むために、両者を組み合わせて使う人が多かった。現在でもこのやり方を愛する人々は一定数います。

4) 仙台方式
米軍三沢飛行場に勤めていたメンバーが受け取ったステップ。その後この人が仙台に移って広まったためにこの呼び名があります。東京のアラノンメンバーの一部にも広がっているとか。中身について知りたければスポンシーになるしかないという秘儀的な要素があり、内容についてはよくわかりません。

5) 大崎(東北)
東北のRさん、大崎在住の英国人Jさんが中心となり、毎年「ビッグブック・ラウンドアップ」という一泊二日の研修が行われていました。2003年の資料で第7回とあるので、ずいぶん前から開かれていたようです。その後スタッフ不足で第8回を最後に開かれていません。内容については僕は行ったことがないのでよくわかりませんが、資料の一部を入手して僕のスポンシーの一部に試したことがあります。どれほど広がったかわかりませんが、その後日本のBBムーブメントの屋台骨を支えた人の多くが、一度はこの大崎BBラウンドアップに参加した経験を持つことは特筆に値します。

・4) 仙台方式と5) 大崎を分けて書きましたが、この二つは同一のものだというご指摘を頂きましたので追記しておきます。

6) Sさんのやり方
ステップがない日本のAAに絶望してアメリカに渡ったというAAメンバーSさんが、日本に持ち帰ったやり方(彼は東京タワーグループを設立している)。基本は後述のJ&Cですが、彼独自の視点が加えられ独特のものになっています。また琉球ガイヤから現在大阪に戻っているPさんの寄与も大きいとか。♭代々木や神奈川のつくし野グループを中心に、池袋のウェルカムグループあたりにこれを受け継ぐ人が多い。四谷BBから始まった流れと双璧をなす、大きな流れの一つです。

7) ジョー・アンド・チャーリー(J&C)
ジョー・マキューとチャーリー・Pの二人によって、ビッグブック・スタディという週末2日のセミナーが開かれており、これを録音したテープが広まったことがジョーの名前を皆に知らしめました。このセミナーによって影響を受けた人は30万人以上と伝えられています。ジョー・マキュー(オールド・ジョー)亡き後は、ジョー・マッコイ(ヤング・ジョー)がその代わりを務めて継続していましたが、ヤング・ジョーが病に倒れてからは開催されていないそうです。アメリカ人メンバーのDさんあたりが日本に持ち込んでいるようです。このやり方をしている人は「自分はジョー・アンド・チャーリーのやり方だ」と言わないところが特徴かも。

8) ジョーのステップ
前述J&Cの片方ジョーのステップのやり方。J&Cとは細かいところが違っています。依存症からの回復研究会(回復研)はこのやり方を広めることを目的としています。AA内部では意外と広まっておらず、AA以外の12ステップグループへの展開が目立っている気がします(それがジョーのステップそのものであるかはわかりませんが)。このやり方を依存症の施設のプログラムとして体系化したものが「リカバリー・ダイナミクス(RD)」なので、AAなどのグループの中で使う場合はRDとは呼びません。

ざっと見渡しただけでもこれだけのバリエーションがあります。しかし知らない人にとっては、みんな一つのやり方に見えるようで、「ビッグフット」も「バック・ツー・ベーシックス」も、♭代々木も回復研も、区別はつかないようです。しかし、中身はかなり違っています。共通点は、みんな12ステップのやり方をビッグブックに求めることであり、同じようにスピリチュアルな目覚めを体験することでしょう。

「うちでもビッグブックをやっている」という声を聞くことがありますが、その多くはミーティングでビッグブックを読み合わせて普通のテーマミーティングをやっているに過ぎません。バリエーション(違いが)あると言っても、ビッグブックに従う以上欠かせない共通要素はいくつかあり、それを欠いてはビッグブックのやり方とは呼べなくなってしまいます。また自分のやり方がどれか分からない人は、スポンサーからさらにスポンサーへとたどっていけば、上の八つのどれかにたどり着くと思います。もし僕の知らないやり方をやっている人があったら教えてください。訂正情報も歓迎です。

今、日本のAAでビッグブックのやり方が広がっているのは関東だけと言っても良い状況です。東北や僕のいる長野、京都や中四国で、回復した人が小集団を作っていますが、それだけです。全国展開はこれからでしょう。また、AA以外の団体の状況については詳しく知りません。当然AAでのバリエーションが、AA以外のところにも反映され、いろいろなやり方が伝わるでしょう。

バリエーションごとの細かな違いを気にする人もいますが、僕はやり方の違いについてはそれほど気にしていません。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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