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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2010年02月20日(土) 車輪の再発明 車輪は人類最大の発明かもしれません。
車輪は自動車にも、鉄道にも使われていますし、飛行機や自転車にも使われています。家具の下にもついています。もし車輪がなかったら、ものを移動したり輸送するのに大変な労力が必要になり、文明はここまで進歩しなかったでしょう。
車輪が発明されたのは太古の昔で、人類はずっとその恩恵に与ってきました。もし誰かが、車輪をもう一度発明しなおしたとしたら、その人は偉大な発明家として人類史に名を残すでしょうか? いや、どこでも手に入るものを再発明したバカと言われるだけでしょう。
このように、車輪の再発明には意味がありません。
さて、Joe McQは12ステップ(酒のやめ方)をチーズケーキのレシピに例えました。僕はチーズケーキの作り方は知りませんが、レシピを手に入れて、その通りに作ればたぶんチーズケーキ(っぽいもの)は出来るでしょう。おいしいチーズケーキにはならないかもしれません。でもともかく食べられるものはできるはずです。
しかし、レシピに頼らず、自分でチーズケーキを作ってみることもできます。
材料は何が必要でしょうか。チーズケーキっていうぐらいだから、チーズはいるよね。あとはタマゴと小麦粉と牛乳と砂糖と塩ぐらいか。これを適当に混ぜ合わせて、適当な温度でオーブンで焼けばできあがり。・・・でも何が「適当」なのか僕は知りません。
どんなチーズがいるの? 材料の分量は? どの順番で混ぜるの? 下ごしらえは? オーブンは何度で何分にセットするの?
わかんないのでテキトーにやってみると、出来上がったものは、たぶんチーズケーキとは似てもにつかない失敗作でしょう。けれど、それにメゲずに、何度も何度も試していけば、いつかはおいしいチーズケーキが焼けるようになるかもしれません。しかし、それまで何ヶ月、何年かかることか。
自己流の断酒を試みる人がいます。これもチーズケーキと同じです。世の中には断酒の手段として確立している方法があります。AAであればステップだし、断酒会であれば例会参加でしょうか。そういうレシピに頼らず、自分で断酒の方法を編み出そうという人もいます。
チーズケーキだったら、一日に何度も焼いて試せます(一日に何度も失敗できる)。けれど断酒はそうはいきません。自己流(自分で考えたレシピ)が失敗だとわかるのは、断酒が3ヶ月続いたあとかもしれず、3年あるいは13年続いた後かも知れません。そうやって、長いスパンで失敗を繰り返しながら、もし仮にいつか自己流の断酒レシピが完成したとしても、それまでに10年、20年すぎてしまいます。いや、最終的に断酒を達成できない可能性のほうが高いわけです。
車輪やチーズケーキの再発明がバカらしいように、断酒法の再発明ほどバカらしいものもないと思うのです。
自己流のチーズケーキにこだわりたいのだったら、まずレシピ通りに作れるようになってから、それをアレンジすればいいわけです。そのほうが、時間の節約になるし、好きなことに一生を使えます。AAや断酒会でレシピ通りに作るやり方を憶えて、後の人生は好きなことをやればいいと思うんですけど。
自己流断酒にこだわって、断酒に一生を費やすなんて・・・。僕にはとても出来ません。人生は楽しまなくちゃ。
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