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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2008年04月19日(土) Jさんの物語(その9) このときの僕からの返信は10日以上遅れています。
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Jさん、ひいらぎです。
ずいぶん遅くなりました。
知り合いのあるアルコホーリクは、家を飛び出してアルコホーリクの彼女と暮らしだし、そして二人で飲んでいます。母は殴っても、彼女は殴らなかった彼もいまでは立派に彼女を殴っています。
それでも彼女は彼の元にとどまり続けています。彼を助けたいという一念で。
男がアルコールに取りつかれ、依存しているように、また暴力というパワー幻想に取りつかれ、依存しているように、女もまた「私ならいつか彼を助けられる、いま面倒を見られるのも私だけ」というパワー幻想に取りつかれ、依存しています。
男が酒をやめるためには、酒に対する敗北を認めなければならないように(暴力も同じ)女が男の元を去るためには、敗北を認めなければなりません。それをお互い嫌うのです。
ようするに、面倒を見る方も、酒を飲むのと同じ依存症の心理に陥っているのです。だから、アル中の家族のグループアラノンでは、AAと同じ12のステップを使います。
いかなる人間的力も、取りつかれ病んだ心を救済することはできず、それができるのは(その人の)神様だけ。
敗北を認めなさい。あなたに彼は救えないし、彼もあなたは救えない。
無力を知り、助けを求めなさい。
酒と暴力はイコールですから、そのことを忘れないように。進行性ですよ。
――――――
数日後のJさんからの返信は、彼への依存を認めつつも、やめられない心情を吐露しています。そしてまたまた半年経つのであります。
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