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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年08月07日(火) 書評『ビッグブックのスポンサーシップ』(2) (続きです)
ひるがえって日本の状況を見てみると、二千数百人までは順調に増えたAAメンバー数も、その後の十数年は漸増あるいは停滞にとどまり、ようやく四千に届いたかどうかと言われるぐらいです。日本AAの創始者の一人、ピーター神父がステップすべてを経験し、伝えるべき明確なステップを持っていたことは間違いありません。それはビッグブック日本語版の個人の物語を読めばわかります。日本AAも始まりは確かにスピリチュアルなものだったに違いありません。
しかし、後年AAをのぞきに来たピーター神父の同僚が「AAからすっかり霊的なものが失われていて幻滅した」とつぶやいたと伝えられます。
AAの現在の停滞は、ステップを行うメンバーが減り、新しい人にステップを伝える能力が失われたからだと、僕は断言します(個人的意見ですからきっぱり言います)。ステップ12までどころか、ステップ4の棚卸しすら行わないメンバーが当たり前になりました。そして「仲間の交流」のフェローシップにばかり熱心な人が増えました。
AAメンバーが増えないのは、多くの飲んでいるアルコホーリクがAAを知らないからで、もっとAAを広報すれば良いという議論があります。それはその通りですが、もう一つの視点があります。多くの人がAAのドアを開けて入ってきますが、同じぐらい多くの人がいつの間にかミーティング場から消えてしまいます。また2〜3年はAAにとどまるものの、その後去ってしまうメンバーも少なくありません。それは現在の日本AAに「ひきつける魅力」がないからでしょう。
新しい人は、ただ飲んでいないだけの人には魅力を感じません。ステップを経験し、スピリチュアルに目覚め、生きる喜びを感じることが「ひきつける魅力」です。AAメンバーが伝えていくべき「このメッセージ」とは、スピリチュアルな目覚めと、そこへいたる手段であるステップのやり方です。この本の翻訳出版ばかりでなく、さまざまな「原点回帰」の試みが日本のAAでも盛んになってきたことを、大変頼もしく思っています。
(明日まで続きます)
ビッグブックのスポンサーシップ――依存症から回復する12ステップ・ガイド――
http://m-pe.tv/u/page.php?uid=krkjimu&id=1
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