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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2003年05月19日(月) 愚痴 愚痴を言うのは楽しいものです。
もうちょっと正確に言うと、愚痴というより「ぶ〜たれ」だったり、単なる噂話だったり陰口だったりします。AAらしい用語でいうと「他人の棚卸し」と言うのでしょうけれど、僕は聖人ではないので、他人の棚卸しが得意技であります。
昔入院していた病院の医師が、「陰口はアルコールのように人を酔わせる」と言われました。続けて、「アル中になる人は陰口が楽しめないからダメなんだ。もっと陰口を楽しんだらアルコールなんかに逃げ込む必要なんかないのに」と暴論を展開されていましたけど。
でも、僕らはしらふになっても酔いを求めている部分はなくなりはしません。陰口や噂話ほど私たちの一体性を損なうものはない、と警告がされていますが、それはこの共同体の中が他人の棚卸しで満ちていることの裏返しなのでしょう。それはきっとブーメランのように返ってきて、いつか僕を傷つけるのでしょう。
仕事の愚痴は職場の中で、家庭の愚痴は家庭の中で、でもAAの愚痴は・・・。家庭ではなかなか言えません。「あなたの病気の問題を、これ以上家庭に持ち込まないで」と言われれば、それは正論だから黙るしかありません。でも、AAのメンバーの誰にでもできる話でないのも事実です。僕は楽になっても、相手の重荷になってはいけませんから。だから、慎重に相手を選んで愚痴をこぼす必要があるのです。
一番いいのは、本人の前で直接文句を言うことだけど、それは「陰口」とは言わないし、それに酔える人間もまた困ったものでしょう。ああ、言い訳ばっかり。
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