心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2001年09月13日(木) ステップ1と敗北宣言

病院でのミーティングに行きました。テーマは、ステップ1です。ステップ1は、アルコールに対する敗北宣言です。ほかの問題であっても、自分が何かに敗北したことを、受け入れるのは難しいものです。再挑戦してみよう、という考えを持つ人がいてもあたりまえです。ハンドブックの3章の終わり付近の文章は、「納得できるまで、再挑戦してみればいいよ」という主旨でしょう。再挑戦して、そのたびに敗れ去り、そのたびに何かを失っていく。何かを失ってみて、もしくは失う予兆が出始めて、自分がとっくの昔に敗北していたことを、認めざるを得なくなるのです。

さて、前からスポンシーに、名刺を作ることを頼まれていました。パソコンとプリンターがあれば簡単な話です。専用紙もあるし。僕が作った下書きには、彼の住所に「○○荘○○号室」が入っていたのですが、彼はそれを取り去ってほしいと言ってきました。気持ちはわからなくもありません。○○荘○○号室があれば、アパートの一室に住んでいることが明確になり、なければ一軒家に住んでいるかもしれないと思わせることもできるのです。「それがなくても、郵便も届く」と彼は言いいます。そうでしょう。そのたびに、郵便局員や宅配便の人に、余計な苦労を背負わせていることに、気が付いていないのです。結局は自尊心の問題であり、虚勢をはることは、謙虚と正直とは反対の方向なのです。そして、その方向には酒瓶が待っている。
そのことは、沢山の仲間によって、証明されているのです。



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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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