一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。


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2004年04月02日(金) 第二部  その19

「爺ちゃん!家、売って町へ行くぞ!」

「お父さんも町へ出たら、死ぬ気で働くぞ!それでも、うまくいかなかったら、その時、考えよう、今よりは希望があると思う。」

私も、ついついお父さんの考えに賛成してしまった・・・それは、あまりにも里子ちゃんが純粋で素直ないい子だったからでしょうね、話に聞くと町の方にお父さんの友達もいるから仕事も相談してみるとの事・・・

人生まったく絶望という事はなく、どんな境遇にいても、人間は結構、強いもので、ましては家族がソバにいれば苦しいながらも、きっと、道が開けると、思うし、小さい頃、私の父は逃げたけど、残された家族で這い上がって来た事を話した・・・そして最後に伝えたかったのは、「地道に少しずつ稼いでいれば、いつか一度はきっと、またいい時が来ますよ!私が今、そうなんでよ!」

お父さんは・・・泣いていた・・・私も何故か、あの、家を追い出された時、母が後を振り向き泣きながら私たちの手を引いてた頃を思い出して涙が止まらなかった。


           またこの次
        


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