一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。


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2004年02月23日(月) 第二部  その10



第二部  その10


修行時代も6〜7年経って、私も料理など作るようになってた、ある夜の日・・・

みんな集まるように店の親方から号令がかかった、めずらしい事なので、みんなザワザワ!
親方がみんなの前で・・・。
「ところで、みんなは貯金はどれぐらいあるんかな?」

「・・・・・・」「しーーん」
誰一人、貯金どころか、ほとんどの人が給料を前借りしてて(笑)、みんな下を向いたまま「しーん」

昭和39年頃から、オリンピック・など日本高度成長に入り始め、大阪万博と景気のいい頃もだんだんと
悪くなり、昭和48頃にオイルショックが来て、グリル一平も当時従業員が14人〜15人もいたのですが、
親方も、ここらでおもいきって店をもう一軒、出そうと思っていたそうです。

親方が・・・みんなの通帳をみながら、
「もう一軒、ノレン分けをしようと思ってるが、貯金をしてないんじゃ、商売をする以前の問題やな!」
「ん・・・!この通帳は誰や!・・・」・・・・・・・・(ドキ!)

「こんな大金をどうしたんや!田舎からでも送ってきたのか?」・・・・・・・・(ちがいますよ!)

「いえ・・・毎月二万ずつ貯金してたんですけど・・・」

「二万円って、お前の給料は二万円だよね・・・」   「小遣いは?」

「残業代が小遣いで・・・、」  「毎月90時間ちかくあったんで、何とか」

「確か・・・田舎へ仕送りもしてたよな・・・」      「あ・あ・ ハイ!」
 
「100万もなー   で、小遣いって幾らぐらいあったんや!」・・・

「仕送りした残りで5000円ぐらいはありました。」   「で!5000円ぐらいで足りたんかいな!」

「あ・ハイ!夜の食事は卵を買ってきて寮のご飯に卵ごはんにして・・・」

「・・・わかった!・・・それで店やってみたいんか?」



                これからは、また次の機会に



 






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