S+Rip*blUe
Diary index*|past|will
この暑い中、夏生まれなのに夏に弱いあたしは駅まで送ってもらった。 帰るといいつつ執拗に求めるあたしは、本当は此処を去り難かった。
よく判らない音楽の機械やギターやそんなものが転がっている部屋。 音楽の趣味が全く合わないので、苦心しながら選んでくれた。 ビートルズの楽譜、音楽理論などがカントやサルトルに混じって積んである。
そうだこのひと純とおんなじ大学だった。頭いーんだっけ。 小難しい学術書を並べながら純のことをちょっと想い出した。
「ちょっと聴いてて。音悪いんだけど」 といってMDが掛けられた。
悪くはないけど、好きな種類の音楽じゃない。
「えっもしかしてこれけんちゃんがつくったの?すごーい」
本気で音楽やりたいんだぁ。
なんて思いながらもう一回いちゃいちゃした。
こんなあたしにそんなことしてくれなくていいのに、彼は電車が去るまで見送ってくれた。改札口から反対側のホームに降りたら、彼の姿を見つけて、ちょっと胸が痛んだ。余り表情が顔に出ない人だから、どう捉えていいのか迷って、自分に都合良く取りたい身勝手な感情に胸が痛んだ。 浮気もないしこういうことも非日常的だという人。
でも、タブーは快楽を加速させる。 共犯罪は密の味。 「秘密はまもる人でしょう?」
彼は優しかった。 怖がるようなことは一切しないし。 顔にペニスを突きつけられてあたしが少し怯えて、怖いと呟いたのですぐ止めてくれた。
「ごめんあたしダンコンキョーフあるかもなの」 というと彼が笑った。
「今度は浴衣着てくるから、浴衣でしようね」
それにしてもこんなところにキスマークを付けられたら、大量殺人を狙ってるような暑さの中で、キャミソールが着られない。
彼の前の彼女のことや、哲生のことを話した。あたしに似てるらしい人。純も「彼女は君に似ている」と云っていた。 声質やタイプやそういうものが。 趣味も少し被っているらしく、彼女に借りっぱなしだと云う山田詠美さんの本が置いてあった。
タイプ。
「甘えられるのは才能だよ。可愛がられるのも。そうしたくてそうできない人もいるのだし、別に責める必要はない」 気が付くとこういう態度をとっているというあたしを一応慰めてくれてるらしい。 今度彼の部屋へ行くときには、椎名林檎を持って行こう。
哲生はきっとあたしのこういうだらしないところを忌み嫌ってるんだよ。あの人あんなんだから色気無いんだよー。なんて、哲生のこと大好きとか、愛してると云ってる女の台詞じゃないけど。 うん、愛してるんだけどね。人として。
爪は塗る。綺麗な爪が好きだから。
哲生から一年前貰った手紙を見つけた。 「頼むからあまり心配させないでくれ」 と書いてあった。 これを読んでわんわん泣いたことを想い出した。
うちに帰って、一眠りしたら、コワイユメばかり見た。 いろんな人にいろんな事を責められる夢。
前の会社の上司が出てくる。 こんな夢を何回か見た事を想い出した。 いつも彼女の夢は怖いな、と思った。 嫌っているつもりはなかったのに。
るう
|MAIL
*My追加してくださってるかたどうもありがとう。
|