きょうは節分であるが、もちろん豆まきなどはもう何年もしていない。 子どもが小さいころは、一応形ばかりのわずかな豆を投げて、 とりあえず風習を教えるくらいのことはしたものだが、 もう子どもも、鬼は外福は内のまじないを楽しむような年齢ではない。 それよりも、節分の意味や、日本の季節について知るべき歳である。
さて、時々生徒に「2月4日は何の日?」と尋ねるのだが、 即座に正解が返ってくることは、まずない。 生徒たちはまず、14日じゃないから、ヴァレンタインデーではないと 思うところから始まるに違いない。 それから、誰の誕生日なんだろうと考えるみたいである。 最初にこういう質問をするのは、たいていは梅雨時だから、 2月4日はかなり遠い過去になっている。 めちゃめちゃな返答ばかり来るので、ちょっと質問してみる。 「その前の日は何する日?」 「節分」「豆まき」などの答がたいてい返ってくる。 「なんで豆まくの?」「鬼を追い出して福を呼ぶのはなぜ?」 などと聞いているうちに、「春分の日」と答える者がいたりする。
「鬼を追い出して福を呼ぶのは、明日から春だからだ、1年の始まりだ」 みたいな説明をして、さあ春の最初の日を何と言うでしょう、、、で、 「立春」という語を知っている生徒はどれだけいるのか定かでない。 それから、立春・立夏・立秋・立冬を教えて、その前日は全部節分と教えて、 それぞれの季節を半分で分ける日を春分・夏至・秋分・冬至と教えて、 それぞれの今の日付と、旧暦ではだいたい何月何日ごろと教えて、 梅雨時は旧暦では5月だから、梅雨時の雨を「五月雨」と呼び、 梅雨時の晴れを「五月晴れ」と呼ぶのだという話に進んで行くわけである。
こういうことを、私自身高校時代までは知らなかった。 知ったのは大学時代だったのか教員になってからだったのか定かでないが、 たぶん、大学時代に知って、教員になってから説明するために調べたのだ。 つまり、1度も、親からも教師からも教えられていないのである。 これは、日本の教育の不思議なところではないかと思う。 英語教育にはなかなか熱心だったり(そう効果が上がってるようでもないが) そして、理数や社会科で細かい難しいことも教えたりするけれど、 基本的な日本の文化については、実におろそかにしている。
さあ、明日行くクラスで、「きょうは何の日?」と聞いてみることにしよう。 どれだけの生徒が、半年前に体系的に教えたことを覚えているだろうか。 今までの経験では、もうそろそろ元の木阿弥になっているころである。
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