TENSEI塵語

2001年05月28日(月) 貴乃花の優勝

夕方6時少し前になって、ハッと忘れていたことに気がついた。
大相撲千秋楽、貴乃花はどうなったのか。。。
昨日、武双山に敗れたのは、車のラジオで聞いていた。
歩くのが難儀なほど、右膝を痛めたという話で、
きょう出場できるかどうかも危ぶまれていた。
貴乃花が休場すれば、武蔵丸が、結び、優勝決定戦ともに不戦勝となり、
武蔵丸が優勝することになっていた。
昨日は土俵から支度部屋に帰るときに、踵も着けないほどだったというから、
たとえ出場できても武蔵丸相手に互角に戦うのも奇跡だろうと思われた。
昨日の苦戦は、武双山のまわしが緩すぎたためだというので、
まったくつまらぬことになってしまったものだと、残念だった。

もう取り組みは全部終わっているとわかっていたけれど、テレビをつけて、
驚いた!! 表彰式に臨んでいるのは何と貴乃花だった・・・えっっ!!
番組の最後に、いくつかの取り組みを連続して流しているのを見ただけでは
よくわからなかったので、ニュースでやるのを待ってみた。
2つ前の場所だったか、貴乃花が優勝したとき、
本割ではあっさり負けてしまったが、決定戦では気迫を露わにして勝った。
あの時の表情は、実によかった。
そしてきょうも、期待していたあの時のパターンだったと知って、
時間を共にして感激できなかったのを口惜しく思う。

ニュースを2つほど見たけれど、しきりの間も膝の痛みを気にしてたようだ。
蹲踞を何度もしなきゃいけないわけだから大変だろう。
決定戦の立ち合いの時、さっきと同じようにはたかれそうになったけれど、
そこはよく見てしのいだ後、珍しく突っ張りで向かっていった。
右脚はほとんどないに等しいにも関わらず、組めばいつもと遜色なく見える。
最後は、左から右方向に投げたので、びっくりしてしまった。
右膝に最も負担のかかる投げなのではないだろうか。。。
そして、紅潮した顔で、やった!! と叫んでいる表情。。。
こういう表情を、こういう時にしか見せてくれない。
録画で見ても、熱くなる瞬間である。

貴乃花の相撲は、本当に相撲らしい。惚れ惚れする。
特に最近はこういう力士が少なくなってきた、というか、
常にこういう相撲を見せてくれる力士がいなくなってきた。
やたらと無駄な動きが多くてバタバタしてたり、
突っ張りにばかり頼りすぎていたり、
今場所は大関陣でも、かわしたりはたいたりが目立った。
貴乃花の父親の現役時代も、しなやかで粘りのあるいい相撲を見せてくれたが、
貴乃花の通常の相撲は、今の時代の模範というべき相撲である。
寄り切りで勝つことが多いが、寄り切ったときに
しっかり相手を抱きかかえているあのスタイルも、好感が持てる。

物足りないのは、しきりの間のいつもの表情である。
なんとなくぼんやりした、気迫を表に出さない表情である。
解説者は「横綱らしい風格」なんて言うけれど、
どうもあの淡々とした顔つきは好きになれない。
きょうはそうではなかっただろうけど、ずっと長い間、
貴乃花・武蔵丸戦なんてのは、見ちゃいられないほど、
ふたりとものらくらのらくらとしきっていたものだ。
あまりに淡々とした表情とインタビューとが、
今ひとつ、貴乃花ファンになりきれない理由なので、
きょうの千秋楽を見忘れたのは、返す返すも残念なことである。

ちなみに、表彰式では、パフォーマンス家の小泉首相が、
「よく頑張った!! 感動した!!」と叫んで、賞状・賜杯を授与した。
賜杯が巨大で、いかにも重そうだった。彼も頑張っていた。。。


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