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■ 君の悪意
気付かなければ良かった、知らなければ良かった。 君のしなやかな指の関節、伸び上がる涼しげな口角。 羽毛のように柔らかな瞳と、鋭利な刃物のように時として誰かを傷つけるその声の先。 腕を伸ばせばたやすく抱き締められる距離で、君は悠然と笑い僕に切り札を投げつける。 「友情」か「愛情」か。 その答えを持つべきは君。 その答えを待つべきは僕。
気付かなければ良かった、知らなければ良かった。 君が震える過去、君が恐怖する未来。 求める腕も、縋る涙も。 絶望を語るその唇で愛を囁くその唇で、君は僕を変えようとしている。 何気ない素振りで触れる冷たい手のひらに込められた君の悪意。 三歩前を歩くときに見せる無防備な背中に込められた君の失意。
「友情」は君を甘やかすもの。 「愛情」は君を追いつめるもの。
痛みを抱えたまま振り返り溜め息をついた君の上に、雪が舞う。 気付かなければ良かった、知らなければ良かった。 そんな君の姿を世界から隠してしまいたくなる、この衝動の理由を。
愛という、その言葉の意味さえも。
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久しぶりのポエマー天竜。リハビリのようね。
2002年11月10日(日)
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