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天竜



 便利屋シリーズ「傷ついた男」第三話UP

「偉大なる歌人へ」 作:ポエマー天竜


哀しみを歌に込める詩人は、
ナルシストだと嘲られ、
喜びを歌に込める詩人は、
偽善者だと後ろ指をさされる。

怒りを歌に込める詩人は、
エゴイストだと罵られ、
愛を歌う詩人は、
インポテンツだと陰口を叩かれる。

果たして、この世に歌う歌はあるのか。
果たして、この世に生きる意味があるのか。

歌えない詩人は、そう嘆き、絶望した。
歌えない詩人は、人々を憎み、自らを呪った。

その時、神が詩人に囁いた。
それこそが、歌なのだと。
それこそが、魂なのだと。

詩人は笑って答えた。
「お前など、豚の餌になるがいい。
民衆という、小汚い家畜に喰われてしまえ」

それを聞いた神は、大きく手を広げ
そして叫んだ。

「まさに、大いなる喜劇だ」と。



2002年05月01日(水)
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