偽記
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2003年09月20日(土) |
左頬が痛いし(ちょっと前の事) |
「サッカーやってるよ」
さぁ泥のように寝るぞ、と しこたま酒をかっ食らい、勢い勇んで帰ってきた部屋の中に 親の仇にでも放つかの如く 低く、怨みがましい、冷たい声。
瞬間、本当に幽霊でも居るんじゃないかと マブタが閉じかかる目を何とか見開き部屋を見回すと TVだけを点け、布団の上で女子W杯の中継を見入っている 本当に幽霊と見紛うような同居人の姿。
回らない頭を無理矢理回して声にだす 「き、今日は居ないんじゃ…?」
幽鬼のような同居人は言う ――居ちゃいけないの? と。
顔を覆いながら言う 「あ、あの、どうやって…?」 鍵は来ない日はウチに置いて行き持ってないはずで 俺も家を出る時は玄関の鍵は掛けて出たはずだ。
幽鬼は答える 「おかあさんに…借りてきたけど……?」
(全く、余計な事をしてくれる…) とも言えないので唯一の光源であるTVに目を向けると ノルウェーが先制点を入れていた。 選手達は試合に懸命で、極東のこんな辺鄙な地で 一人の男がスポーツとは違うとても厭な汗を流してる事など露知らず (当然) 先制点の喜びに踊っている。
「どこで飲んでたの…?」 「と、とりあえず、電気つけましょう」 明るくなった部屋においても、尚、彼女は鬼の如くの面構えだった。
その形相に臆した俺はもう何も言い返す言葉を持って無かった。 甚だ、情け無いと思う…。 何しろ、とてもじゃないがこの場で口に出して言えるような 飲み屋さんじゃなかったんだもの。 それも致し方ない―。
それでも サッカーってのは人種、性別を問わず やっぱり、面白いもんですね。
と、思いながら見てました。
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