偽記
目録|過去|未来
エイプリルフールが及ぼす功罪について考えてみた。
〜学園編〜
「先輩、ずっと好きでした!付き合ってください!」 「うん・・・いいよ」 「え!本当ですか!?」 「なんつってな、騙されないよ?だって今日4月1日だろ?アハハ。まだまだだな〜木下は」 「・・・・・・」 「木下・・・?まさか・・・ほん・」 「まっさか〜!ウソですよウ・ソ!あ〜あ」 「何だよ、ビックリさせんなよな〜」
家に帰った木下は涙を隠すようにシャワーを浴びながら 「何で、あんなバカの事好きになっちゃったのかなぁ・・・ それにしても、エイプリルフールってなんなのよ・・・」 と呟いたのであった。
とか。
〜会社編〜
「課長・・・実は、本日付けで辞めさせてもらいたいのですが・・・」 「田村君・・・き、君・・・」 「な〜んつって!冗談ですよ!だって今日・・」 「よし、分った。よく言ってくれた田村君」 「え?」 「実は上からリストラの話しが出てきててな、この課から一人って事になってたんだが、会社としては自主退社と言う形が望ましいらしくてな」 「い、いや・・・あの今日はエイプリ・・」 「君がそう言うのならもはや止めない。むしろよく言ってくれたと感謝したい。早速人事部に話してくるよ」 「か、課長!だから・・」 「今までありがとうな!田村君!送別会はパーっとやらせてもらうぞ!」
翌日、公園のベンチに座りながら田村は なんだよ・・・なんなんだよエイプリルフールって!!と叫びながら バカな冗談を言ってしまった自分とエイプリルフールと言う訳の分らない日を 怨むしかできないでいた。
とか。
〜家庭編〜
「おかあさん・・・なんか頭が痛い・・・」 「や〜ね、風邪?」 「わかんない・・・なんか・・・フラフラし・・て・・」 バタン! 「ちょっと!アキコ!どうしたの!?」 「ハッハッハ。母さん落ち着け、今日は4月1日だ」 「あ、そういう事。んもう、いやな子ねぇ」 ―5分後― 「おい、アキコいつまでそうしてるんだ?中々の演技だったがもう充分だぞ?」 「そ〜よあっちゃん。母さん騙されたんだからもう充分でしょ?」 「・・・」 「・・・アキコ?おい、アキコ!しっかりしろ!!」 「やぁねぇ、お父さんまで仲間なの?」 「違うぞ母さん!!こりゃマジだ!おい!救急車呼んでくれ!」 「キャー!あっちゃん!!しっかりして!」 ―病院にて― 「残念ですが・・・娘さんは・・・病院にくるのがあと5分早ければ・・」 「そんな!そんな先生!!娘はアキコは!?」 「恐らくですが、意識の戻る可能性は・・・」 「いや〜!!あっちゃん!あっちゃん!!起きて!!」
娘の寝ているような穏やかな顔を見ながら父ノリオは 「あの時・・・あの5分が・・・許してくれアキコ・・・許してくれ・・・」 そう言いながら涙を流すだけであった。 母サチエはと言うとあれからエイプリルフール撲滅運動なるものを展開してるらしい。
なんて事があるかもしれない。
そんなこんなで4月スタートです。
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