tama * fuwariのサイト内、tama の日記。視点はふわりふわりと思いつくままに
BACK ←
INDEX
→ NEXT
先週、ミニ引っ越しをした後、チョコチョコと家の中のモノを整理しながら、収納しなおしている。天袋の奥から、小さなダンボールの箱が出てきた。父の遺品。会社の机の中にあったものを詰めて送ってくれたもののようだ。もう30年近く前のものなので、ガムテープが変色している。それをはがして、開けてみた。パスポート、免許証、社員証、もらった名刺の束。亡くなる1か月ほど前に作り直した新しい名刺が3箱入っていた。たぶん、この名刺はほとんど使わなかっただろう。その年の手帳も入っていた。1月にはすでに入院していたが、たまに、病院から出社していた時期もある。そのことが手帳に書きこまれている。定期会議らしき記号や、仕事の打ち合わせをした相手の名前なども、角ばった几帳面な父の字で書かれている。そして、亡くなった日を境に、記載がない。続くはずの生活が、そこで終わった。それまで生きていて、この手帳を手にして、仕事のことを考えながら、書きこんでいたのに。命がそこで尽きたということを、目の前につきつけられて、急に悲しみが込み上げてきた。もう30年近く前のことなんだけどね。この手帳を、母も見たのだろうか。それとも、見ないまま、箱にしまって封をしておいたのだろうか。それを母に聴くこともできず、私は、また箱に封をして、天袋にしまった。
よろしければこちらにもお立ち寄りくださいませ → NEWS Watching
HOME | BBS | MAIL
(C) Copyright 2001-2007 tama all rights reserved. 文章の無断転載はご遠慮ください.