たりたの日記
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2008年07月25日(金) 安達太良山で聞いた笛の音

また1週間ほど日記の日付が空いてしまった。旅日記はまだ終わっていない。
遠野へ行った翌日、6月28日、29日、友人と安達太良山へ遊ぶ。

こ日、うっかりカメラを持参しそびれた。山に集中するためにはその方がかえってよかったが、その山行きを思い出すきっかけになる写真が残っていないことをやはり残念に思う。
かといって、詳しい山行きの記録を綴る気持ちは今は起きない。
せめて言葉で印象に残ったことを残しておくことににしょう。


安達太良山頂の少し手前、眺めの良い開けた場所で休憩した時のこと、どこからともなく、笛の音が聞こえてきた。ソプラノリコーダーよりも高音の鳥のさえずりのような音だったからソプラニーノに違いない。いったいどこから聴こえてくるのだろう。

登山道から離れた場所、ちょうど山々の折り重なるところが見える崖のようになっている場所に中年の男女のカップルがいて、男性の方が笛を吹いているのが見えた。
曲は聞き覚えのある曲。気をつけて聴いてみれば、それはパブロ・カザルスの「鳥の歌」のようだった。もともとチェロの曲だが、意外にもソプラニーノに合っている。ほんとうに鳥が歌っているようなのだった。
ちょうど、わたしたちもここで昼食休憩を取ろうとザックを下ろしたところだったので、弁当を食べながら耳を傾けていた。
しばらくすると、笛の音は別の曲に変った。これは、マリー作曲の「金婚式」だ!
そちらに目をやれば、今度は女性の方が吹いている。
それにしても懐かしい・・・中学生の頃、この曲をソプラノリコーダーで吹いたものだった。

笛の演奏が終わるや、山頂の方から、この「金婚式」のはじめのフレーズが今度は口笛の音に乗って聞こえてきた。山頂を目指していたグループからのもののようだった。拍手の代わりに口笛で「聴きましたよ」という合図を送ってよこしたような調子で、愉快だった。その笛のカップルも口笛の聞こえてくる方に向かって顔を上げ、女性の方が手を振ると、山頂付近からざわめきのようなものが伝わってきた。
山の中での音楽を通しての交流だ。
山頂を目指していたそのグループも、わたしと同様、突然、山の中に響いた鳥の声のような音楽に驚き、またそれを楽しんだのだろう。

そこから安達太良山の山頂はすぐだった。


たりたくみ |MAILHomePage

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