たりたの日記
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| 2004年12月19日(日) |
マグニフィカート わたしの魂は主をあがめ |
そこで、マリアは言った。 「わたしの魂は主をあがめ、 わたしの霊は救い主である神を喜びたたえます。 身分の低い、この主のはしためにも、目を留めてくださったからです。 今から後、いつの世の人も、わたしを幸いな者と言うでしょう、 力ある方が、わたしに偉大なことをなさいましたから。 その御名は尊く、 その憐れみは代々に限りなく、主を畏れる者に及びます。 主はその腕で力を振るい、思い上がる者を打ち散らし、 権力ある者をその座から引き降ろし、 身分の低い者を高く上げ、 飢えた人を良い物で満たし、 富める者を空腹のまま追い返されます。 その僕イスラエルを受け入れて、 憐れみをお忘れになりません。 わたしたちの先祖におっしゃったとおり、 アブラハムとその子孫に対してとこしえに。」
今日の日記はいきなり聖書の言葉から始めましたが、これは乙女マリアが、天使から救い主を身ごもっていることを伝えられ、神を讃美した言葉でルカによる福音書1章46〜55までの記事です。
このマリアの讃美はマグニフィカート(その詩のラテン語の最初の語)として、さまざまな曲が付けられ、世界中で歌われているので、マグニフィカートという言葉はお聞きになった方も多いのでないかと思います。
今日の降誕節第4主日の礼拝説教の中で、最も印象的だったのは、このマリアの讃歌の冒頭にある、マグニフィカート、「あがめる」という言葉の持つ意味についての解き明かしでした。
あがめるという事はどういうことでしょうかと説教者、S牧師は会衆に問いかけます。確かにあがめるという言葉は日常の中では用いない言葉ですし、改まって聞かれてみると、具体的にはどういうことなのだろうと、思わずその言葉の前で立ち止まりました。
S牧師は、「あがめる」という言葉のもともとの意味は大きくする、増大するという意味があると言います。この大きくするという言葉にはっとするものがありました。
この聖書の箇所の冒頭を英語の聖書で見てみるとこのように始まっています。
And Mary said, "My soul magnifies the Lord, and my sprit rejoice in Lord my Savior,
「あがめる」という日本語が「magnifies 」という言葉で表わされています。magnifies の同類語にはmagnification (誇張)magnificence (壮大・豪華)magnifier(拡大鏡・虫眼鏡)などがありますが、どれも大きくするという意味を含んでいます。そういう言葉が派生してきたもともとのラテン語がマグニフィカートということなのでしょう。
神の大きさにわたし達が生きるということが、神を大きくすることだと語られ、この「神の大きさに生きる」という詩的な表現がとてもすんなりと心に入ってきました。 自分ひとりの力で生きるのではなく、神の力に守られ、神の力といっしょに働くというその事が主をあがめるということだと知らされました。あがめるということは、言葉だけ、あるいは感情だけのことではなく、実際の生き方、足取りの中で表わしていくものなのでしょう。
また、美しい神の働きは山や野原や海や川、わたし達を取り巻く自然の中に見ることができますし、そうした美しい自然はそのままで、神を「あがめて」いるわけですが、わたし達人間の存在もまた、神を「あがめる」被造物として差し出されているということを思いました。
小さなわたし達が、マグニフィカート、神を大きくすることは、具体的にはどういうことなのでしょう。きっと人間にとっては、生きるというその事自体が神を大きくするのではないだろうかと思いました。懸命に、こつこつと日々なすべき事をなし、正しい思い、美しい思いの中で生きるのであれば… それは、けっして大きな業績を残すとか、名前を知られるとか、社会的に地位を築くとかそういう事ではなく、野の花や空の鳥のような生き方の中にあるのではないかと。
また、大きな神が小さな人間の姿で来られ、人間の一番弱い、死の姿の時にも、勝利に向かって生きる力を得ることができる、神が心の向きを変えてくださると語られましたが、クリスマスというのは、大きな神が小さな人間の姿で来られたまさにそのことを祝い、記念する日、そしてまた、自分の心の向きを確認する時なのだと心に止めます。
今日は礼拝の中で、教会学校の子ども達が聖書の箇所を順番に暗唱し、クリスマスの讃美歌を歌いました。 このまっすぐな子ども達を見ていると、その存在そのものが、山や川と同じように、神をあがめていると思えてきます。
♪ 神さまの愛はしみとおる、 わたしたちの心に 日の光のように
山も丘もいっしょに さんびの歌を歌おう 海も小川もいっしょに さんびの歌を歌おう
森も林もいっしょに さんびの歌を歌おう 鳥もけものもいっしょに さんびの歌を歌おう
こどももおとなもいっしょにさんびの歌を歌おう 男も女もいっしょにさんびの歌を歌おう
さあみんないっしょにさんびの歌を歌おう いつまでもいっしょにさんびの歌を歌おう
神さまの愛はしみとおる、 わたしたちの心に 日の光のように
(こどもさんびか40番)
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