たりたの日記
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2002年11月04日(月) 林の中の温泉 ベルツの湯

このところ夫の仕事が忙しく、わたしもジムだのミュージカルだのとうつつをぬかす日々、しばらくいっしょにでかける機会がなかったが、今日は急に思い立ってどこかへ出かけようと話がまとまった。行き先は紅葉の美しいところで温泉がある場所。伊香保に狙いをつける。ゴージャスな秋晴れ、車内に差し込む陽射しは熱く日よけが必要なほどだった。

ところが美しい紅葉の中を走り榛名湖のほとりまで来たところやけに寒い。太陽は出ているのに風の中には粉雪が混じっている。ロープウエイで榛名富士まで登ると頂上にいたしばらくの間は風が止んでいたものの、帰りのロープウエイは窓からの景色が白くかすむほど雪が吹きすさんでいた。薄いジャケットしか着ていなかったわたしたちは凍えながら車へ飛び込む。しかしこのくらい体が冷えると温泉に入る前からその温かさを思ってうっとりとなる。すぐにベツルの湯へと向かった。

ベルツの湯には6年前に来て以来、また来たいと思っていた。露天風呂は林に囲まれていて、森林浴をしながら温泉に浸かることができる。しかもお湯はかなりぬるめなので何時間でも入っていられるほどだ。最近は設備の良い日帰り温泉がいくつもあり、そういうところと比べればここは入浴料が高い割りには設備が良くないのだが、それでも他の温泉にはない魅力がある。それはこの施設全体に落ち着いた欧州の赴きがあるからだ。

「金太夫ベルツの湯」は別名「伊香保バーデハウス」(ドイツ語で温泉入浴館の意)と言われ、ドイツ人医師ベルツ博士の指導で作られたもので、各種の浴槽があって、楽しみながら温泉を医学的に利用して、健康づくりに役立たせることが出来る、と説明されている。日本の温泉のイメージとはまた違ったドイツ人の感覚がこの温泉の中に今だに生きているというわけだ。

露天風呂も林も以前来たときのまま、静かで物思いにふけるにはもってこいの空間だった。音楽はずっとモーツアルトの室内楽が流れていてファゴットの奏でるちょっと物寂しげな響きが紅葉した木々の姿に呼応していた。豊かな2時間ほどの時間をそれぞれに過ごし、帰りには蒸かしたてのおいしい温泉まんじゅうを子ども達へのおみやげに買って帰路へ着いた。




たりたくみ |MAILHomePage

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