たりたの日記
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2001年11月17日(土) |
映画「地球交響曲第4番」 |
「地球交響曲第4番」の上映と龍村仁監督の講演会に行く。 深い感動と慰めを覚える。世界の平和が揺らいでいる今、私の国という意識から、私の地球という意識へ移行しなければならない今、この映画の持つメッセージが光りを放つ。まるで、私たちが直面した9月11日の同時多発テロとそれ以後の大きな出来事を予感して、その解決の糸口があらかじめここに啓示されたかのような印象さえ受ける。
その糸口とは何か、それは私たちひとりひとりの内にある霊性、スピリチャリティー。人種にも民族にも、国家にも 組織にもよらず、人がひとりで立ち、「わたし」と地球との関係について思いを凝らし、地球上のあらゆる生き物とまた大気や水と繋がるということ。「わたし」がここに生かされていることの意味を知ろうとすること。「わたし」を生かしている力を、地球をいかしている力を感じそこと交流すること。
この映画は今を生きる4人の人間の生き方を通じてそのことを示している。 生物物理学者のジェームス・ラブロック、レェジェンド・サーファーのジェリー・ロペス、野生チンパンジー研究家のジェーン・グド−ル、版画家の名嘉睦稔の4人だ。 彼らはそれぞれに異なる分野の仕事をしている人達であるがいくつかの共通点があるように思う。4人が4人ともまことに肩の力が抜けていて自然体であるということ。そしてふっきれたとでもいうべき実に気持ちのよい顔つきをしているということ。彼らの存在を通して人間というものがそもそもどうあるべきかを知らされる思いだった。
彼らは科学者として、またスポーツマンとして、アーティストとして偉大な業績を残す人達には違いない。しかし、彼らが偉大なことをしたからすばらしいのではなく、彼らの人としての確かさやその霊性の豊かさが彼らをして偉大なことをなさしめたと感じさせられる。 そこからは あのように偉大なことは私にはできないというのではなく、この人たちの中にある霊性はわたしたちひとりひとりに同じようにあるのだということが導き出される。
龍村監督はこの映画の企画意図を「21世紀に生まれ育つ子どもたちへ」と明示しているが、これをすべての子どもたちに見せたいと思った。子どもたちは大人よりはるかに鋭い感性で、4人の人間のスピリチュアリティーと接触するような気がする。その時はめだった反応は見せなくても、その出会いは深い意識の底に沈み、そこでゆるやかに育っていくのではないだろうか。名嘉睦稔が描き出す生命力溢れる美しい絵が、彼が子どもの頃に出会った沖縄の美しい自然のリフレクションであるように。
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