Water Garden
あや



 ちょっと笑える微笑ましい話


地下鉄の中。

疲れた体を扉に凭れ掛からせ目を伏せていると
すぐ近くでもめている気配を感じる。


普段から野次馬根性が旺盛であると自覚している私は、
勿論視線を向けずにはいられない。


視線の先には、真新しい制服が目にまぶしい女生徒と
一房の白髪と顔に刻まれた深い皺が、
様々な人生を思い起こさせる一人の男性が居た。
揉めているのはこの二人だった。


よくよく話を聞いてみると、女生徒が席を譲った事に対し、男性が過剰にお礼を言っているだけの話のようだ。


微笑ましい。


揉めていると勘違いした事に、心の中でそっと謝罪し
再び目を伏せる。


「そんな!困ります!」


女生徒が声を荒げると同時に、必然的にざわめく車内。
車内の全ての視線が二人に集中する。
彼女が困っている原因。


それは男性の手の中にあった。


……


Σ(゚Д゚)


板チョコかよ!


結局おじいちゃんは、女子高生の鞄の中に
「いーからいーから」と板チョコをねじこんで
居眠りを始めちゃいました。


肝心の女子高生は
「すみませんすみません、
ありがとうございます、すみません」
の繰り返し(笑


そして女子高生が降りる直前
「これ、受け取ってください!」
と、飴をおじいちゃんに渡してました。


勿論、おじいちゃんは受け取ろうとはしないんだけど
そこはそれ、さっきと同じ手段で鞄の中にねじこむと
「お元気で!」と叫んで、降りていきましたとさ(笑


なんちゅーか、
おろおろする女子高生も可愛かったし
板チョコでお礼をしようとするおじいちゃんも
かなり微笑ましかったです(笑






文字が変わるエンピツ投票ボタンです。



ま、こんな文章にする事は
年に一回も無いと思うんで許してください(笑


2003年04月09日(水)
初日 最新 目次 MAIL HOME

MYは非通知にしています
エンピツユニオン