2005年05月08日(日) |
「グランドフィナーレ」/阿部和重 |
妻に離婚され、会社も首になった主人公。離れ離れになっている愛する娘の誕生日に、一目娘をみたい、プレゼントを渡したい・・・、という気持ちは理解できるんですけど。 読んでいくうちに、離婚や娘に会えない原因は、主人公がロリコンで自分の娘や他の女の子の写真をたくさん撮っていた&副業にしていたのがばれたことによるものだと分かってきます。(分かったときにはけっこう脱力してしまいました) そしてだらだらと無職な日々をすごしている主人公の日常や周りの人間との会話がかなりリアルでおもしろいというか読みやすかったし、終わりのほうで出会った二人の少女の気持ちがなんか伝わってきて可愛らしいな、と思ったり、それで主人公もちょっとはまともになるといいな〜と思ったり、したのですが。
でも帯の「文学が〜追いついた」はどうなんでしょう。 おおげさに言うと、「現代タブーとされている一歩間違うと(いやすでに)ロリコン=幼女虐待、そうなる男の心境がテーマ」になっていると思うんだけど、読みやすさと主人公の適当な軽さがかえって、「こうゆう人実はいっぱいいるんだろうな」と思わせて恐ろしい。女性としては拒絶感を覚える人もいるかもしれないと思いました。 小説として読めば小説でしかないのだけど、読む人によって感想も分かれるだろうな。この話はテーマがテーマだけに。 でも他短編2作はあまり印象に残りませんでした。 文章はとてもウマイというかおもしろいので、また長編が読みたいですね。
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