縁側日記  林帯刀





2007年01月14日(日)  夜空。


あきるまで星を見上げてみたい。
家にはベランダがなくて、障子を開けて見上げても、
軒と山にはさまれたせまい空しか見えない。

夜の山は空より暗く、
影がそのまま立ち上がったようで、つかみどころがない。
吸い込まれそうになる。

ここからは北極星さえ見えない。
北に延びる小高い尾根があって、高い木が何本も生えているから。

北極星。
その明るさを私は他の土地で星を見るまで知らなかった。

船乗りの目印。
揺るがない、よりどころのようなもの。
ここには今でも北極星の光は届かない。

あの星が見えたなら、
私はこんなにも不安にならずに済むんだろうか。
そんな馬鹿げたことさえ思ってしまう。

午前一時。
音もなく線路を照らすライトが落ちる。

あお向けになって流す涙は耳をふさぐ。
そのことさえ、あなたは知っている。
私は何も言うことができない。


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