晩年のクライバーのブラームス - 2005年08月22日(月) さっきカルロス・クライバーが指揮する ブラームスの「第4交響曲」をDVDで見て しばらく声が出ないでいます。 1996年にバイエルン国立管弦楽団との演奏。 これが昨年亡くなった不世出の天才クライバーが残した最後の録音・録画のハズ。 去年暮に買ったのですが、 何だか見るには覚悟がいるような気がして なかなかプレイヤーにかけられないでいました。 1994年にウィーン国立歌劇場来日公演の「ばらの騎士」の時から2年しかたってないのに随分と外見が老いたな・・・と思います。 老いただけでなく、死力をつくすように 自分の全エネルギーを使いきろうかの如く指揮をするクライバーが なんだか痛々しい・・・ にもかかわらず、この音楽は一体。 私はかつてクライバーがウィーン・フィルを指揮した同じ曲のCDを よく覚えていますが、演奏スタイルはそう変わらないのに 全然違う。 クライバーの目は、楽譜を読みながら、楽譜よりはるか遠くにあるものを見てる。 彼の耳は目の前のオーケストラから出ている音よりはるか遠くの音を聴いてる。 彼の指揮姿、そこから放射される音楽を見ているとそれがはっきりわかります。 しかしブラームスのこの交響曲はこんなに凄絶だったか、 そしてそれと同時に シューベルトの最後のピアノソナタやマーラーの「第9交響曲」にも通じるような こんな彼岸から響いてくるような音楽だったか。 ひさしぶり、本当にひさしぶりにそれを思いだしました。 何というか、辛い感動でいっぱいです。 ...
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