動物園と音楽界? - 2005年05月10日(火) ああ、ゴールデン・ウィークも終わってしまった。 10連休、ってまさにゴールデンな休みをとった人もいっぱいいるんでしょうね。 ま、でも私たちも足利の藤以来、 ちょこちょこと近場に出かけて退屈はしなかったけど。 ところで最近本にもなったらしいですが 北海道の旭山動物園が話題ですよね。 私は何ヶ月か前にNHK「クローズアップ現代」を見て知りました。 年間入場者数が上野動物園を抜いたとか、 破綻寸前の経営からの見事な再生、 そしてそれ以上の大躍進、ということで脚光を浴びている。 テレビ見て思いましたが、ホント実に魅力的で 「これならみんなこぞって行くよなぁ〜」と思うと同時に 自分がやっている音楽マネジメントの仕事のやり方についても 確信が持てたというか、励まされましたね。 どういうことかと言うと、 旭山動物園では、今までの「動物園」ってのは 動物をオリに入れて、それをみんなが周りで見るだけ、 という常識・固定観念から一歩も二歩も進めた、 というか考え直してみた、ということでしょうか。 つまり動物ひとつひとつの生態に合わせて 彼らのどういう行動が魅力あるのか、面白いのか、 というのをよく知り、考えた上で さあ、それではどんな「オリ」(?)を作り、配置をすれば良いか? はたまた観客もどこに、どんなかたちで居ればそれが見られるのか? というのを追求した結果が 入園者数の増加、リピーターの増加につながったのですね。 具体的にいえば、(私は一部しか知りませんが) 例えばペンギン。 普通見られるのは氷の上でヨチヨチしてるか、たまに水にザブンと飛び込むくらいですよね。 ところが彼らの泳ぎと言うのは驚異的に速い。 魚を追っている姿は相当に見ものなワケです。 ではペンギン館は普通に上から見るより、 客は水の下から見ればそうした行動が目撃できる。 アザラシなんかも然り。 またサルは、普通サル山を上から見て、 客はエサを放り込んだり、 母ザルが子供の毛づくろいをする姿とか せいぜいオス同士のケンカを見れるのが関の山。 しかし旭山では大きな高い木々の間に、 むしろ我々客の方がオリに入ったようなかたちになる。 そうすると上空に木々の間を飛び移ったりする、 見たことのないようなアクティブなサルの姿が見れる。 とっても基本に立ち返った工夫ですよね。 動物たちの魅力が120%発揮される。 そしてそれを見れる。 私なんかもこの仕事をしてると、思うわけです。 アーティストそれぞれに得意なレパートリーがあり、 光る部分があり、魅力の色合いも様々なワケです。 個性は十人十色、千差万別。 するとマネージャーは担当しているアーティストをみんな同じように売り込んだり(オーケストラやホールさんに)、 世間に同じようなアピールをしたってダメなワケです。 そんなことは当たり前…なハズなのに結構無頓着に、平気にそういう現状があるんですよ。 誰々の企画書、またどのマネージャーが作った企画書を見ても 区別がつかない。同じようにしか見えない。 違うのは写真だけ。 (すると当然見かけがいい方がトクなわけだ) このピアニストはオーケストラの定期公演で堂々と使ってもらうより、 ファミリーコンサートのような場でお話をしながらやってもらった方がずっと魅力がでる、とか このヴァイオリニストはドイツのレパートリー(ベートーヴェンとか)はいまいちだが 実は現代フランスの曲(ドビュッシーやラヴェルとか)をやってみたら誰にも負けない演奏をする、とかあるわけですよね。 (もちろんそれぞれレベルの差というのが存在するわけで、それは絶対に無視できないけど) つまりは対象をよく「知る」ということ。 よく「知れば」それぞれの打ち出し方が自ずとでてくるハズ。 発想がでてくるハズ。 そうして打ち出し方が的確であれば、アーティストの魅力も自ずとでてくるハズ。 旭山動物園の方々はそうしたことを突き詰めただけ。 私たち音楽関係者も本当はそうしなきゃいけないのにいつのまにかルーティン・ワークに陥ってる。 本当は簡単なことなのにね。 ...
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