はじめてのヨーロッパ その5 〜フランクフルトにて - 2003年04月16日(水) 続きを書く前に… 昨日は素晴らしいコンサート、最高のピアノ・リサイタルを聴きました。 ブラジル出身の大ピアニスト、ネルソン・フレーレ。 これは自慢するわけでもなんでもないのですが、私は今生きている「大家」といわれるピアニストはもうほとんど聴いていて、聴いていないのはあとほんとに数人。 その筆頭がフレーレだったのですが、あまりにもそれはそれは素晴らしいものでした。 温和で控えめな雰囲気なクマさんみたいな人なのですが、そのピアノたるや、赤ちゃんの産毛のような柔らかい最弱音から雷鳴の如き轟音まで、その間のどんなニュアンスもすべて微妙な音色にしてみせる。それにどんなに嵐のように疾走するパッセージも唖然とするような技術で、それも楽々と弾ききってしまう。 それに音楽が誠実で優しい風情で、そして気持ちが深いんです。 現代のピアノの大家といえば、ポリーニやアルゲリッチという人たちなのですが、間違いなくフレーレはそれに並ぶ最高級のピアニストだ、と否応なしに心が捕われてしまいました。\(^o^)/ さて、10年前の旅行記に戻ります。 大雨に見舞われたフランクフルト。 あまりにもすごいのでマインツ河のほとりの、なんだろう? 小さな小屋に駆け込みました。中には誰もいません。 「日本とは気候の変化が違うんだな〜」と呆れている内に、背の低いおばさんが警戒したような目で入ってきました。 2人でとっさに「I’m very sorry!」と謝りますが全然通じないよう。 Uがとっさにドイツ語で謝ります(コイツはホントに語学センスが凄い。ドイツ語なんてやってなかった筈なのに)が「???」って顔をしてます。 お互いになんだかわからないので、思わず双方とも苦笑。 そのうち身振り手振りで、時々英語、時々ドイツ語なんかでわからないながらも3人で話すと、そのおばさんはクロアチアあたりから戦火を逃れてここへ来て、とりあえず掃除婦をやっているらしい。 家族もあちこちの国に分かれたらしい。(その辺は絵を書いて説明してくれた。) 「いやー、日本ではなかなかこんなことはないし、何て言ってよいかわかりません。」 と伝えたら、 「いいえ、生きてるだけでも十分なんですよ。それよりあなたたちもせっかくの旅行存分に楽しんでね。」(← と言っていたと思われる。) いや、旅行っていろんな意味で「人」に触れられるんだよな〜、と実感してしまいました。 ところでUは方向音痴。 対する私はかなり方向感覚は確か。(最近それが少し崩れつつあるけど。) なのでUが私をドイツで置き去りにする宣言をしても、まあ何とかなるかな?と考えられるようになった。 時刻表を見るのも大好きだし。ヨーロッパの鉄道の旅なんて、実のところ憧れてましたからね。 「まあ、頑張って2週間旅するよ。」 「よーし、偉い!(偉いじゃねーよ) で、どこ行きたいんだ?」 「うーん、色々あるけどな。まずはプラハ行きたいんだよな。それからミュンヘン。あとブダペストとかねぇ。やっぱりこうなったら音楽会をできるだけ聞きたいな。」 …と言ったところで閃きが! 「そうだ。今この時期(7月の下旬です。)ミュンヘンではオペラ祭をやってるはずだったな!まずミュンヘンには行こう。」 「よし、そうしたら餞別に(ナニ?)それ調べてチケットの手配、俺が手伝ってやる。」 このミュンヘンのオペラ祭というのは、毎夏、ドイツ・オペラの総本山であるバイエルン州立歌劇場で2週間くらいに渡って行われるオペラの祭典。 必ず7月31日の楽日にワーグナーのオペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」で幕を閉じます。 バイロイトの代わりに行くにはうってつけです。 ホテルに戻りUは何やらフロントでホテルの人と話しています。 「おい、みゅう太。結構、チケットいっぱいらしいんだけどさ、R.シュトラウスの「薔薇の騎士」とヴェルディの「椿姫」の日はキャンセル待ちで可能性があるって。ちなみに「マイスタージンガー」は無理だ。」 「薔薇の騎士」! これは私が一度ナマでみたかったオペラ。(今はもう何度か見てるけど) これは音楽も話も極上に美しくて、豪華絢爛(っていってもすごく趣味の良い豪華さ)な、私の好きなベスト5に入るオペラ。 「見たい、見たい。絶対見たい!」 「じゃあ、一番チケットの可能性があるのがミュンヘンのJALらしい。担当者の名前は聞いといたからこの人を追っかけろ。」 「おー、サンキュー!」 目的が一つ決まりました。 あとはミュンヘンを中心に行けるところをシュミレートする。 私はこういうプランニングは何故か早い男。優柔不断なくせにこういうことは早い。 …というわけで フランクフルトをでたらまずニュルンベルク。そして国境を越えプラハへ。そこから南下してミュンヘン、そしてウィーンへ。 うん良いではないですか。 その晩、マインツ河のほとりにあるホイリゲで夕食を。 ビール、とっても美味しいんだけど、まあきついのなんの。ボディブローくらったような感じ。すぐフラフラになってしまいました。(もともとアルコールには弱い。) それと私はソーセージ頼んだら「なんだコレ!?」ってくらい巨大。(;゜△゜)ノ Uはステーキ(みたいな肉)頼んだら草履のようにやはりデカイ。(*_*; 「これはまさに昔マンガで読んでイメージしてたビフテキ!」 しかしどちらもあまりにも…って感じで、食いしん坊のUですら食いきれませんでした。 でもドイツの酒飲みたちって、本当に雰囲気良いです。 ワイワイワイワイ楽しそう。 こうしてドイツでの初日の夜は更けていきました。 《つづく》 ...
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