はじめてのヨーロッパ その3 〜モスクワにて - 2003年04月13日(日) さて、ダークグレーのバスに護送される囚人のように詰め込まれた私達。 空港を出るとしばらく荒れ果てた荒野のようなところをひたすら走っていましたが、しばらくするとモスクワ市街へと入っていきました。 中心までは行かなかったので街の様子というものは分からなかったのですが、印象に残ったのは道路を走っている他の車がなんとも汚い。 みんな泥だらけ。ガラスも砂ぼこりで「あれで見えんのか?」という感じです。 まだその当時ペレストロイカからそうたってない時だったから、相当経済もまだ混乱してた頃。 もっともそういうことなのか、単にキレイ好きな民族でないのか判断つきかねましたが。 あと2台分のバスがチューブでつながったようなのが走ってたのが、なんとも危険そうで怖かった。 そんなこんなで宿泊施設に到着したのですが、そこは自分たちがやはり護送されてるんだな、とますます錯覚させられてしまうような監獄のようなところ。 ものすごーく気分が落ち込んだのを昨日のように思い出しますよ。 部屋に案内されると、オヤ!ここは綺麗な部屋じゃん。(でもトイレは汚かったけど。水洗じゃないし。) それから夕食ということで大広間に誘導されました。 ところが出てきたのは「ナンデスカ?これ」って感じの油ドロドロの中に何か得体のしれない物体が浮いているような食べ物(?) ちょっとタジっとなってる私にUが 「これヤベーよ。やめようぜ、確実に腹いっちまう気がする。」 コイツはいつでもどこでも何でも食べ、食べ物さえ与えとけばご機嫌、というゴリラのような男。そんな奴ですらこう言う食事。 私は一にも二にも賛成で二人で部屋へ戻りました。 え?それでどうしたかって。 実は私の母がロシアはそういう所だと見ぬいていたのか、(まさかな)朝出掛けに二人分のおにぎりを無理矢理私に渡してくれていたんです。 それを食べました。 おー、母の愛は胃袋を通る!感謝、感謝。 その後二人でしばらくくつろいでいるとロシア人のおばさんで日本語を話せる人が突然訪ねてきました。 しかも前置きもなしに「日本円2000円くれないか?そしたら夜中内緒で赤の広場に連れてってあげる。」と言うのです。 我々はトランジットしてるだけで、ビザ持ってないですから空港関係の施設以外には行けなかったんですね。 それとこの当時(今はどうなのだろう?)なにしろ彼らは外貨を欲しがってましたから。 それでUは怖気づく私に「バカヤロ、赤の広場だぜ。普通じゃ行けないぜ。話のタネだぜ。2000円だったら全然OKだろうが。」 まあ確かにそうです。 考える前にUに引きずられてロビーへと行きました。 すると7〜8人やはり我々と同じ旅行者が待っていて、私たちは彼らとマイクロバスに乗りこんだのです。 車から見える夜のモスクワの街はなかなか綺麗で、昼見た汚れた車たちがウソのよう。 途中、なんとも豪華な作りのマクドナルドがあり、そのおばさんが色々解説してくれたのですが、ビックマックを食べるには自分たちの給料二ヶ月分がいる、とのことでした。 こういう話は今でこそ私も色々聞きますが、現地の人から直接聞くこうした現状というのはやっぱりショックです。 考えさせられました。 「着いたわよ。」 降りた私の目に入った光景。 うわ〜〜、おとぎ話?? クレムリンとかのあの何と言いましたっけ?あの帽子みたいな建物。 あれがライトアップされてて、もうちょー幻想的!!! あれは今でも脳裏に焼き付いてますが、これはホントに目の前に現実に立ってんの?ていう感じでしたねー。 ストロボは持ってきてなかったんですが、とにかく写ってようが写ってなかろうがおかまいなしにシャッターを切り続けました。(それなりに写ってましたが。) しばらく二人で「こりゃまじすげーな。来てよかったな。」とたたずんでいたら、数人の若いロシア人男性が寄ってきます。 ロシア語なんで何言ってるかわからないのですが、絵葉書とか人形みたいなのを持ってるので、それをどうも売りつけようとしてるんじゃないか? 「No。No。」とか言って断ってるうちにどんどん人数が増えてくるので、さすがに逃げました。 車に戻ると案内のおばさんがしゃあしゃあと「今日の私の勤務時間はこれで終わりだから、あとはこの車でさっさと戻ってね。」 …本当にさっさと帰っていきました。 いやー、でもいい体験でした。実に素敵なものを見ました。 翌朝起きると、う〜ん、これは北国のさわやかな空気ですね。 窓を空けると白樺のような木がたくさんと、カラスのようでカラスじゃない品の良い鳥が庭を歩いています。 朝食はパンと紅茶。 これなら大丈夫、と安心して食べました。 さあまたモスクワ空港に戻り、いよいよフランクフルトへ! この乗り換え線はルフト○ンザの機体で、エアバス。乗務員もドイツ人ばかりだったのでなんだかホッとしました。 で〜も、このフライト中、友人Uの発言で私はそのつかの間の平安から一気に叩き落されたのでありました。 《つづく》 ...
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