sasakiの日記
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2002年01月28日(月) 雨風景・パート2

     
  雨風景

 窓打つ雨はモールス 信号みたいに聞こえる
 暗号解読に大童  水たまりに落ちる雨は
 さながらアヴァンギャルドで 刻一刻変わる 絵模様

 とりとめのない雨の日を とりとめなく暮らすのも
 フランス映画みたいで 1人で悦に入ってる
 これで誰か ナレーションでもつけてくれれば
 決まるはずなのに 


 まだ大学がロックアウトされたままで、いつ授業が始まるか解らなかった頃、毎日掲示板の前で授業の休講を確認することだけが日課だった。
 ヒマを持て余す生活が続いていた。
 今着ているその服装のまま、ほとんど変わることなく、先生になるんだろうなと思われる人で学内は溢れている。古い建物に澱んだ若い幽霊達。
 やめるのなら早い方がいいに決まっている。問題は勇気だ。
 筒井康隆とドストェフスキーにどっぷりはまっていた。
 スラップスティックと生意気のど真ん中で僕は学生生活を送っていて、まわりの人間が無神経に見えて適度に苛つき、どうにも生ぬるく感じる空気を何とか撹拌しようとゆったりと増長していく。
 生協のブックカバーの裏に「白痴」や「カラマーゾフの兄弟」を隠し持ち、あたかも武器を隠し持つ雰囲気で僕は本にすがっていた。
 大学の間中ドストェフスキーを追いかけ、文庫本を全て読み終わり、個人の全集を揃えてようやくサモワールにさよならを告げた。
 それ以降一度も開いていない。涙を流すほど感激したのにもう何も覚えていない。多分、読んでいる自分に感激していたのだろう。
 いきなり文学からミステリーでは変節の度が過ぎると思ったで、ゴシック小説を止まり木替わりにしてみた。
 フルートを吹いていた伴寅夫が教養を身に付けるにはルパンを読むに限ると突然開眼し、練習の合い間や少年サンデー、マガジン、キングの間に読んでいた。
 苗穂の稲村さんの家に行くバスの中、エレキギターとサックスを担いだ僕と伴はシャーロックホームずとルパンで玉葱畑をやり過ごす。
 問題はシャーロックホームズだ。困ったことに神経病みのロシア人が書いた本よりも覚えていない。ものの見事に欠落している。
 シャーロックホームズはジャンキーだったんだという事だけが異常に増幅されて脳味噌に残ってしまった。僕の興味は本の中身よりも、主人公が阿片中毒患者だったんだと言うことのほうに重心がかかりすぎ、彼の日常生活には全く見向きもしなかった、それとモロモロの事情にも全く関心がなかったらしい。
 何冊ものホームズを読み、僕のノートに残った風景は「雨が信号のように窓を叩く」だけだった。
 もう何処にその一節があるかも解らないけど今、もし、ホームズを読んでいる人が居たら是非教えてください。
 もう20何年前の記憶だ。幻かもしれない。

 この歌を作ったときにはもうバンドはやめていた。
 僕はまだ静内にいて、隣のヤクザが僕たちの家の前の通路を一晩のうちに大根畑に変えた頃かもしれない。
 聡と僕、そして不二男さんは仕方なく収穫時期まで、窓を玄関替わりに使わなければならなかった。

 

 みなみさん。誕生日おめでとう。こんな寒い日に生まれたんだね。蝋燭がわりにストーブガンガン焚いて暖かい誕生日にしようね。
 はい皆さんも一緒にお祝いしてあげましょう。
 ハッピーバースデー みなみさん。
 金曜日はみちこさんだね。
 忘れないうちにハッピーバースデー みちこさん。

  


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