今となってはもう昔のことになってしまうのだが、私も持っているマーキュリーIIというハーフサイズカメラは、ある人が私のためにお取り置きをしておいてくれたものである。
その頃の私はまだウブで、「マーキュリーIIが欲しいんです」などと、目をきらきらさせてその人に語ったことがあったのかもしれない。親切なその人は、中古カメラ市の会場でマーキュリーIIを見つけ、私の名前でお取り置きをしてくれたのだった。そんなことをしてもらっては、そのカメラを買わないわけにはいかない。値段はやや高めだったが、私は、そのカメラを買うことにした。
それからも、私が「こんなカメラが欲しい」などとどこかで漏らすと、親切な方が「あのカメラならあそこのお店にありましたよ」なんて教えてくれたりもしたのだが、その度に、私は何かが違うような気がしてならなかった。私は、単にカメラを集めるというだけでなく、自分でカメラを探して選ぶという楽しみも味わいたかったのだ。お取り置きは、単にカメラを集めているだけの人にとっては非常にありがたい話なのだが、それ以外の楽しみ(つまりは、自分でカメラを掘り出すという楽しみ)のない買い方は、はっきり言ってつまらないと思う。たとえそれが多少難ありのカメラだったとしても、自分の使うカメラは自分で選びたいと思う。
※これは、ある程度初心者の領域を脱してからの主張である。クラカメ初心者の頃は、上記のようなことは肯定されてもいいと思う。
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