銀色の日記
モクジイク?|モドル?|ススム?
母の病院の桜桃の木に"サクランボ"の小さな実がなっていた。 去年も美味しそうな真っ赤な実がついていたのを思い出した。 桜の木はたくさんあるけれど、 何故か裏からの入り口にはえている一本だけが桜桃の木で実を付ける。 母が今年こそは実を採ると言ってきかない。 これは病院のだから・・・といってもほとんど子供、聞き入れてくれない。 挙げ句の果てに"採るな"と紙に書いて吊しておけと言い出した。 次に病院に行くときはサクランボを持っていこう。 持っていったところで食べるかどうかは疑問だけど。 何しろ"採りたい"だけだろうから。
いつも「じゃあ、帰るから」と言ってから30分は帰らせてもらえない。 今日はなんと1時間。 何回「もう帰る」を言ったことか。 聞こえているのに聞こえないフリをしている。 帰り際、久しぶりに"母親"のセリフを聞いた。 娘を思う母親の気持ちはどこか潜在的に残っているのだろう。 親子の繋がりを改めて感じた。
母の言葉を聞いて「櫻川」を思い出した。 日向の少年桜子は、常陸の櫻川で物狂いの母にめぐりあう。 心の奥底は何を想っただろう。
桜よりも白い花を咲かせる桜桃。 いつかこの木が想い出の木になるのだろうか。
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