揺籃の星(上/下)

J.P.ホーガンの新作「揺籃の星」を読了。いやあ,久々にホーガンの面白い小説を読んだよ。面白いぐらい出てくるキャラに個性がないホーガンですが,この小説では個人間の争いとともに組織間の争いが描かれていて,されがオモロイ。ホーガンはこういうのが向いていたのかも。
土星に移住した人々が,そこに(ホーガン的)理想郷を作り上げる。ある日彼らが地球の危機を知らせてくる。既成の理論に合わない事実を受け入れない地球側科学者は,土星人(じゃないけど)と激しく対立して,結局はその指摘を全て無視/放棄してしまう。ところが,突然土星から巨大彗星アテナが飛び出し,地球に接近。地球にはアテナの影響で大災害が訪れる。土星人(じゃないけど)のいう通りだったのだ..
そして何より素晴らしいのは金子隆一によるあとがきでしょう。ホーガンがこの小説のベースとしたヴェリコフスキーの「衝突する宇宙」論と,それをめぐる問題点を分かりやすく解説して「揺籃の星」のたつポジションを浮き彫りにしています。
あとがきまで読まないと,読んだことにならない本ですね。
2004年08月18日(水)

ま2の本日記 / ま2